「優しい世界を夢見すぎた」アベンジャーズ エンドゲーム 2638さんの映画レビュー(感想・評価)
優しい世界を夢見すぎた
「優しい世界を夢見すぎた」という感想を得た箇所はふたつ。ひとつは「ナターシャ、ガモーラ、ヴィジョン、ロキの犠牲」。もうひとつは「悪の哲学」。
「ナターシャ、ガモーラ、ヴィジョン、ロキの犠牲」
誰も犠牲にならない展開というのは、まあ多分無理だろうなとは思っていたが、それでも「少数で済まないかなー」と少し期待していた。リーダーであるキャプテンかトニーのどちらか一方が欠けて終わりになるのならば、(寂しいけど)頑張って受け入れられそう…と思っていた。
が……蓋を開けてみてこんなにつらい犠牲が多いとは思わなかった。これは自分が「優しい世界」の作品に触れすぎたせいもあるのかもしれないが、それにしてもちょっとつらかった。彼らが居なくなってつらいのではない。居なくなった後に、みんなが受け入れてしまっていることがつらかった。3時間でちゃんと終えなければならないから、エンディングに至っても引きずった顔のままで終われないのは分かるんだけども…、
ブルースは? 床割っただけしか描写なし? スターロードは? 家族が減ったけど船出できる? ワンダは? ソーは? 前作で死んだ人に関してはもう良いのか?
こういう感想を持つのは、まだアベンジャーズ初心者だからなのだろうか…
「悪の哲学」
前回うっかりサノス論理に納得できてしまったせいで、サノスの論理にどう対抗するのかという点が非常に気になっていた。
まどマギで例えると「何だかんだ言ってQBシステムは宇宙のためになってるんだよなあ…」からの「でもそんなに悲しいシステムやめて!っていうまどかの気持ちは分かるよ」といった具合の、そういう納得が欲しかったのですが…
前回「宇宙守るために生命半分にするやで」
今回「やっぱ半分残したら駄目だったから全部消すやで」
前回のお前の理屈は何だったんだよ!! ガバガバにも程が有るぞ!! あそこまで大仰なことやらかしたんだからアベンジャーズ来たくらいでひっくり返してんじゃねーよ! 独りよがりでも自分の論理を堂々と掲げて有言実行するのがサノスの悪役としての箔だったのに、シリーズのラスボスがただの小物になったじゃねーか!
悪役に対しても、登場人物の一人として平等にその主張、正義、哲学を見たかった。「悪の哲学」がしっかりしないと、ヒーローもお互い様で、「独りよがりの正義」になってしまう。「どっちの言い分もわかるけど、やっぱりヒーローの言い分はこうでなくちゃな」というヒーローへの憧れのためにも、サノスには自分の理論を揺らして欲しくなかった。それも「優しい世界」だからできることだったのだろうか。
色々あったが、これでおしまいだから、仕方ない。アクションやビジュアルの美しさよりも、今回はこっちの方が気になってしまった。
…本当にソーの続編にロキ居なくて大丈夫? チーズ入ってないピザみたいにならない? いや、確かにチーズ入ってないピザもあるけどさ…でもさ…
その後しばらく考えたので追記:
サノスの論理への反論について。「間違っている」ものに反論はいらないという姿勢は独りよがりの「うっせーバーカ(暴力)」でしかないのでそれこそ「論外」なんですが、アベンジャーズ側の反論で想定できるものは「いのちだいじに」が一番ヒーローらしいかと思います。生命礼賛ですね。多分映画でもそうだったのだろうと思うのですが。
ですが一方サノスの方も一見生命軽視に見えはしますがそうではなく、IWの彼は宇宙というものを生命として見ているのではないでしょうか。自分としてはそう見えました。だから「半分減らすのは心苦しいが生命維持(宇宙の存在維持)を考えるなら致し方ない」という発想で、結果あれと解釈していたのですが。
自分ががっかりしたのは、「半分そのまま残す」のが駄目だと分かるの早くね? という点なんですよ。そこまで壮大な計画ならシミュレーションくらいしとけって。最初から「全消し&半分の数で再建」にした方が良いなとなっていれば、宇宙的規模で考えるときのサノス理論は完璧だったのでは? そこができてなかったからEGでの彼は「ただの悪役」に成り下がったように自分には見えたわけです。
アベンジャーズとサノスでは「生命」の
の見方考え方が違うんで、話が通じないんだろうなあとは思うのですが、だからそこを暴力じゃなくてまずは論理で攻めろよと思った次第です。その結果、「宇宙規模ならサノスは正しい」「でも自分たちには受け入れられない。よってしね!」となっても良いし、「いや宇宙規模で見てもサノスは間違ってる。何故なら…」となっても良かった。
その場合はちゃんと言葉で視聴者に話して欲しかったな…「言ってたじゃん」という人がいるのかも知れませんが、少なくとも自分にはまだIWの時点でサノス優勢に見えたので。
>前回うっかりサノス論理に納得できてしまった
何をどう考えれば、サノス理論に納得できるのでしょうか?
もし、一瞬でもサノス理論で宇宙が救われると思ったのなら、考えがあさはか過ぎませんか?
>前回「宇宙守るために生命半分にするやで」
>今回「やっぱ半分残したら駄目だったから全部消すやで」
あくまでも「全部消して、半分作り直す」です。
結果、半分にしようとする意思には何ら変わりありません。
それなのに、エンドゲームのサノスに失望する人の何と多いことか。
サノス理論へのアベンジャーズの反論が聞きたいという意見が見られますが、
そもそも間違っている理論に反論など必要ないというのが私の意見です。