「最高のアベンジへ」アベンジャーズ エンドゲーム awahiraさんの映画レビュー(感想・評価)
最高のアベンジへ
不満はある。だがそれ以上に、この完結には感服した。
この作品は映画ではない。予備知識があまりに必要であり、1つの映画として楽しむことはできないだろう。しかしMCU(Marvel Cinematic Universe)の完結として、これ以上のふさわしい終幕があるだろうか。
シリーズ1つ1つの映画からの伏線、引用の膨大さ。その全てが意味のある繋がりであり、本シリーズを追ってきたファンには感涙の連続。ストーリーの流れとして過去作に再びダイブするため、自然に過去作を振り返り、懐かしみ、裏で起こっていたことに驚くことができる。ヒーローはかつての後悔や悲哀と向き合い、結末を変えないながらも、受け入れ乗り換える。ビック3と呼ばれるアイアンマン、キャプテン・アメリカ、そしてソー。自らの歩みを振り返った上で彼らが下した決断は、今までの理想「あるべき姿」とは全く異なる「ありたい姿」だ。ヒーローを待ち望む我々としてはとても悲しい、しかし彼らに人間としての幸せを望む我々としてはとても喜ばしいラスト。
そして散々、散々焦らされていた「アッセンブル」。絶望的なIWからの、この復活。正直わかっていた、キャップのこの発言も含め、生き返ることを予測していた人は多いだろう。それでも、涙を止められなかった。
不満点をいくつか。
サノスの扱い。「楽しむ」発言でヒーローの勝利が確定した、と言っていいだろう。完全な小者になってしまった。しかし一晩考えたが、彼は娘の死を乗り越えたサノスではない。IWの高い志を持ったサノスは、あの死で確立されていたのか。そうすれば、本作の彼は未だ成熟しておらず、あの発言も理解できる。やはりIWはサノスの物語だったのだな…そしてヒーローは、あの高潔なサノスには最後まで勝てなかったのか。
勝利と犠牲について。サノスは全体の幸福には犠牲はやむを得ない、という考え。ヒーローは戦闘での犠牲は仕方ないとしても、死が確定してしまう選択肢は選ばなかった。前作のヴィジョンしかり。しかし本作では、キーとなる石のために犠牲を出してしまう。そういうルールではあったが、多少抜け道であっても、そのような犠牲は出してほしくなかった。
あとはハルク。もっと活躍してほしかったなぁ笑
これだけ感動しているが、私は今までの作品を全て見ているわけではない。
だが、本作が上映中の間に全て鑑賞し、また映画館で彼らの勇姿を見たいと思う。今以上の感動が待っているはずだから。