「何回観るかって聞かれたら、600~900回ってとこだろ」アベンジャーズ エンドゲーム アンダーアーマンさんの映画レビュー(感想・評価)
何回観るかって聞かれたら、600~900回ってとこだろ
「アイアンマン」を劇場で観てからはや10年以上、なんだかんだで全作品追って観れたことが我ながらどれほど誇らしいことか。
それもこの作品を最高の状態で鑑賞するための必要条件と考えると、これほど観客の『愛』を試す映画もないだろう。
そして、その『愛』が深ければ深いほど、この作品はその人に最大の『感謝』をもって応えてくれる、そんな映画だ。
今思えば、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下「MCU」)はいつだって観客を楽しませるために全力で映画を作ってきた。
フェイズ1では、誰もが実現不可能と言ったアメコミヒーローたちを集結させる「アベンジャーズ」を実現させ、BIG3(アイアンマン/トニー・スターク、キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース、マイティー・ソー)が中心となりスクリーンの中で共闘する一幕で我々をMCUの世界に(無理矢理にでも)引き込んだ。
フェイズ2では、新たなヒーローとアベンジャーズの溢れんばかりの魅力に焦点を当てながら、正義を巡るヒーロー間の対立を描くことで、MCUに大きな変化をもたらした。
そして、シビルウォー/キャプテン・アメリカから始まるフェイズ3では、フェイズ2で浮き彫りになった対立構造がヒーロー同士の大きな決裂をもたらし、遂には最凶の敵サノスとの一大決戦に向けて動き出すという、まさしく「インフィニティ・サーガ」の最終幕に相応しい展開を我々ファンに提供してくれた。
しかし、今作の前作にあたる「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(以下IW)」では、我々を大きく裏切る形で物語が進行していった。
いつになく不穏な雰囲気の中から始まる冒頭では、これまでアベンジャーズと対立しながらも、そのどこか憎めないキャラクターが愛されていたソーの弟ロキが、宇宙最凶のヴィランであるサノスに無残に殺されるシーンが描かれていた。
この時点で、IWは我々が求めていたいわゆる「アベンジャーズ的」なストーリーテリングではないのではないかという不安を、観ているファン全員に否が応でも植えつけてくる。
そして、その不安は作中でも大きく増長されていき、遂には我々が想定した(あるいは無意識的にそうだと思い込んでいた)エンディングとは大きく異なる終焉を迎える。
すなわち、ヒーローの敗北。
ヒーロー映画であるはずだから、ヒーローが勝って終わるのは至極当然だという、一種の固定観念が我々の中に少なからずあったのは、これまでMCUが積み重ねてきた数々の映画がそうであったからである。
ここにきて、我々はこれまでのMCUを全否定されることとなったのだ。
今作「アベンジャーズ/エンドゲーム」は、そんな失意の真っ只中に残された者たちによる『復讐』からはじまる映画だ。
物語を語るには、ネタバレなしではとてもではないが叶わない映画であるため、レビューとしてはここまでにしておくことにする。
しかし、一つだけ言えるとすれば、この映画はまだ観ぬあなたの手によって救われる一本であるということ。
ぜひ劇場で、あなたの『愛』を試してほしい。