「ありがとう、そしてこれからもよろしく」アベンジャーズ エンドゲーム 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとう、そしてこれからもよろしく
マーベルシネマティックユニバース(MCU)は今までの作品ほぼ(エージェント・オブ・シールド シーズン5以降、エージェント・カーターシーズン2以降、ジェシカ・ジョーンズ、デア・デビル、ルーク・ケイジ以外)観賞済。
「インフィニティー・ウォー」の衝撃から「アントマン&ザ・ワスプ」、「キャプテン・マーベル」を経て何とかサノスに勝てそうな気になってきたものの、この状況をどう打破するのか心配しながらエンドゲームを見た。
三時間の観賞後、スタッフロールが流れる頃にはMCUをこれまで続けてきたマーベルスタジオへの感謝の念でいっぱいだった。
「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」が衝撃的だったので、まさかその後の物語である「アベンジャーズ エンドゲーム」で2008年公開の「アイアンマン」から「キャプテン・マーベル」までを総決算してくれるとは思わなかった。
ほぼ全ての作品をリアルタイムで観てきたので、一度観たシーンが再解釈されていく度に頬に涙が伝わり、それをシリアスだけじゃなくコメディを織り交ぜて描くことで観賞後に悲しいだけじゃなく、キャラクターそれぞれに感謝の気持ちが湧き、また昔の作品を見たくなる、劇中引用されている「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズみたいな効果を生んでると思うし、長期間続けた作品でこういう感想を持たせるのは後にも先にもこのシリーズだけなんじゃなかろうか。
また、MCUの中でも比較的評価が低い「マイティ・ソー ダーク・ワールド」自体の評価を底上げさせる離れ業まで成し遂げた功績も素晴らしかった。
また、基本フェイズ3までのキャラクターのみで物語を展開させていくことに関してはフェイズ4以降次世代へのバトンを渡す役割も担ってる様に感じた。
アイアンマンからスパイディへ、キャップからファルコンへ、ソーからヴァルキリーへ。
個人的には後半の女性ヒーローがスパイディ(未来)を繋ぐシーンは、「キャプテン・マーベル」で描かれたテーマがそのままMCU全体を引っ張っていってくれるんじゃないかと期待出来るシーンだったんだけど、原作を調べてみるとA-Forceって言う女性ヒーロー軍団があってそのオマージュの意味もあったのね。
もちろんルッソ兄弟が「キャプテン・アメリカ ウインター・ソルジャー」や「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」、「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」で描いてきた現代へのメタファーは今回も描かれていて、サノス=トランプが選ばれ人種分断が起こってしまった後のifの世界で、ヒーロー達がヴィランをただ倒しても解決出来ない巨大な問題に、本当に問題を解決するための"アベンジ"とは何かを描いていたと思う。
人によってはバトルシーンが少なかったり問題解決が最善手じゃないって感想があるかも知れないけれど、実際の世界だって問題解決は裏方が担ってることは多いし、その過程で失敗することもある、それを初代アベンジャーズの面々が体現し肯定してくれているからこそ観終わった時には観客自身もそれぞれ"アベンジャーズ"になれるんじゃないかと思う。
夏には「スパイダーマン ファーフロムホーム」、そしてフェイズ4と、これからもマーベルスタジオにはお世話になるけれど、マーベルスタジオならこれからも私たちを熱狂させてくれると確信できた。