リトル・ボーイ 小さなボクと戦争のレビュー・感想・評価
全37件中、1~20件目を表示
『この世界の片隅に』
始まりは、おとぎ話チックで、どこかのどかな成長物語を思わせる展開です。 そもそも、少年が生まれつき発育の悪いハンデの持ち主で、「リトル・ボーイ」と言ってからかわれることから物語が始まっているので、どうしたってその逆転を期待するじゃないですか。 なんとなく全体の色調もクレヨン画みたいに強めの発色で、記念撮影のシーンなんかモノクロで残っている写真に比べ、みんな鮮やかな発色の服をまとっているというコントラストが意識的に対比されます。その時うつむいてしまう主人公の男の子の行動も含め、まるで歴史上の事実であるかのような錯覚におちいります。この演出は実に巧妙に仕掛けられたトリックで、この全体写真のシーンがあると無いとでは、まったく違ったテイストの映画になったことでしょう。 コミック・ブックの魔術師にあこがれて、子供心に念力で奇跡を起こそうと考えるあたりは、この子が成長して、すごい人物になるんだろうな。という成長物語を想像していました。 物語が展開しだすのは、小さな町に日系人の男が越してきたあたりから。あからさまな差別どころか、直接に銃口を向けられて「この町を出ていけ」まで言われる扱いです。少年は神父の言いつけを守ってこの男と親交を深めていきますが、極めて冷静なこの日系人の行動に比べて、町の人の態度はやがて暴力にまで発展していきます。よくこんな状況で生きていけるなと、感心し、同情してしまいました。 歴史上の出来事にのっとり、物語は進むので、とうとう原爆が投下され、「リトル・ボーイ」というあだ名にちなんで、町の人から奇跡の男の子みたいに扱われるのにはあきれましたけど、まあ、ていねいに伏線を回収しているなと思いました。 この映画が優れているのは、それぞれの視点から物事を考えられるように、どちらかのサイドに考えが偏っていないこと。とくに、日系人のシニカルな態度は、ストレートに悲しみや喜びを表現する少年と対比して、戦争のもたらす悲劇的な側面を浮かび上がらせています。特に、日本人にとって、原爆が当時のアメリカ人たちにどう評価されたのかを知るにはいいきっかけかも知れません。 もちろん、物語の核心はそこではなく、親子、家族、友人、コミュニティが、戦争を通じて変化していく様子を上手に描き、少年の視点を通じて語られたことです。同じ時期に日本のアニメーション映画で『この世界の片隅に』が製作されたのは運命的な偶然ですね。 2作品とも、小さな町の生活を通じて、戦争で変わっていく街を描き、何かを失い、何かを手に入れる映画です。そして、間接的に原爆がかかわっています。日本側から見た『この世界の片隅に』アメリカ側から描いた『リトル・ボーイ』。面白い対比になっていると思いました。
プロローグの父子の描き方が秀逸❗
この、映画の素晴らしさは、父と子の両方通行の揺るぎない愛。子を愛するとはこういうことだと嫌味なしに直球に訴えてくる。プロローグでしっかりと伝わるからこその、戦争による別れは、何よりも戦争を無慈悲なものと憎みたくなる。子役の演技が圧倒的に素晴らしい。原爆とか日本人が蔑みを受けるとか(でも、なぜあそこに日本人が?とは思った)戦争には避けて通れないお決まり的な辛い展開もあったけど、ペッパーの揺るぎない信念、表情に圧倒され、ひたすら彼の側に立って応援したい気持ちでいっぱいだった。
反戦映画
まあ、原爆投下を正当化するような表現も多々あるけど、子供と日系人の友情はとても良かった。いじめっ子への仕返しや超能力を信じる子供ならではの可愛さも相まって、信じることの大切さや友情の大切さを伝えるいい映画だ
戦争がくれるもの
戦争がくれるものって
何もない
悲しみや怒り憎しみ差別
大人が戦争して子供が苦しむ
それは世界共通
ペッパーの父は幸いだったけど
靴を履いていた青年の事を考えてしまうと
喜ぶ事も罪のように思えた
信じる力。日本人には気分のいい話じゃない
第二次大戦最中のカリフォルニア州オヘアという海沿いの町が舞台。 リトルボーイというあだ名は後に効いてくる。 日本人ならピンと来るはず。 ジャップ連発される。 今作でマサオ・クメ役の日本人は、硫黄島からの手紙やHEROESに出ていた尾崎英二郎
なんとも言えない
主人公の少年が徴兵された父親が帰ってくる様に色々と奮闘する話。
コバヤシと徐々に仲良くなっていく所などはとても良かったが、リトルボーイ(原爆)が落とされ、村の人たちが戦争が終わると大喜びしている場面が日本人としてはあまりいい気持ちはしなかった。
しかし少年が原爆という行為の重さをしっかりと考えているシーンを入れてくれたので、その点は良かったと思う。
少年のただひたすらまっすぐな気持ちが実ったラストシーンはそれまでのモヤモヤする気持ちを忘れるくらい感動出来たので、ぜひみんなに見て欲しい。
むしろ反核、、、?
戦争を題材に扱った映画というのは、どうしてもそれぞれの国の人たちによって見方というのは変わってきます。 主人公のペッパーは体が小さいことから「リトルボーイ」と呼ばれていた。戦争に行ってしまったパパを帰ってこさせるために戦争を終わらせたいと思うペッパー。そこに飛び込む記事。米国が核ミサイル、通称「リトルボーイ」を放ったというもの。自分の思いが届いた!と一喜するペッパーであったが、その後リトルボーイによる広島の映像を観てショックを受ける。 アメリカには、広島、長崎への核ミサイル投下を正当化する人たちも多くいると思います。なのでこの描写が出てきた時、あぁこの映画もそういう感じなのか、、、と心の中で思ったのですが、その後の演出のおかげか嫌な感じは受けませんでした。むしろ私は反核の意識を感じました。日本人が作った映画ではないのにそれはすごいことだと思います。 あと、お母さんやお兄ちゃんが良い味出してる!観て損はないと思います。
誰も悪くないのに、戦争であるがために、暴力を否定しきれない
不思議な映画だった。 大好きな父ちゃんは帰って来ないのだが、なんだか感動する話だなぁ、と感じていた。示された「やるべきこと」の最後「死者を葬る」が父親のことになっちゃうとはね。 真珠湾で息子を失った父親、扁平足だったために父親を戦場に送る羽目になった兄、日本人だからという理由で彼らに排除されるハシモト。 誰も悪くないのに、戦争であるがために、暴力を否定しきれない。 原爆が落ち、戦争が終わる気配がくるが、母親は「都市がひとつ消えてしまったのよ」と素直に喜べない。やむなきこととは思うが、それをよしとしない姿勢には共感。 そんな中でひたすら父親が帰ってくるようにと、牧師の言いつけを守る主人公。異常時なだけに、その行為が心に潤いを与える。 ラスト 、どんでん返しあって、涙、涙でした。
ラストはああじゃない方がいい。
当時、日本がどういう風にアメリカから思われていたかを知ることができます。 日本人の中には不快な思いをする方がいるかもしれませんが、僕はこういう映画があっても良いと思いました。 子どもたちに勇気を与える映画です。子どもに見せてあげたいなと思いました。 ラストなのですが、次の二通りのどちらの終わり方で映画が終わるのかなと考えながら見守りました。 ①父親が奇跡的に帰還する ②父親が帰還することがない 僕はあの終わり方じゃない方が良かったのになと思ってしまいました。
思う一念岩をも通す
第二次世界大戦中のアメリカ。 小柄で、「リトル・ボーイ」とからかわれている8歳のペッパーが主人公。 戦争に行った父親が帰ってくるように、祈りの力を強めようと、司祭にもらった行いのリストを実行しようとするが、司祭がペッパーのために書き足したのは、憎むべき敵「ジャップ」ハシモトに親切にせよというもので……。 日本人のハシモトが「ジャップ」「ニップ」と蔑まれ、広島への原爆投下が喝采を浴びる、日本人にはいろいろ辛いところもある映画ですが、観てよかったです。 ペッパーが、いい子過ぎず、でもお父さんっ子の健気な子で、可愛いんです。 お母さんも、愛情深くて、凛としていて、よかったなぁ。 何より、個人としてなら友達にもなれる人間同士が、属している国や勢力の違いで殺し合う、戦争というものの愚かさと恐ろしさを、この映画は教えてくれると思います。 原爆使用の是非を問う以前に、そもそも戦争なんかしたら、勝っても負けても不幸がたくさん生まれるのです。 わたしは長崎県人なので、子どもの頃から長崎原爆や空襲の話を聞いて育ちましたが、負けた日本だけが犠牲を払ったわけではないことを、改めて考える機会になりました。 思う一念岩をも通す、というけれど、反対方向の思いがぶつかりあったら、どちらかは通らないわけで。 宇多田ヒカルさんの、「みんなの願いは同時には叶わない」という歌詞を思い出しました。 何はともあれ、健気なペッパーが可愛いので、観て損はないですよ。 あと、ハシモト役とサムライ役の二人には、今後注目しておきたいと思います。
なんとなく感想のまとまらない映画
少年は抜群に味があるし服装は可愛いしラストは普通にホロリとするし兄ちゃんもカッコいい。 ハシモトもいじめっ子もいいキャスティングだった。 最後のベンチに兄ちゃんが迎えに来るところはやっぱり見てほしいと思います。 ぎくしゃくしたものが全部溶けてなくなる瞬間ってあるなあ、心が同じ方向を向く瞬間って安心するなあって思います。 余談ですが映画館でみんなリトルボーイを親の気持ちで微笑みながら見守っているムードだったのが、原爆の時に一瞬空気凍ったかと思った。 まあ逆から見るとこんなもんなんですかね…若干血の気が引いた。
原爆投下
やっぱりあのシーンは素直に見れなかった。
やったーよくやったというのがアメリカ一般市民の当然のリアクションなんだろうけど。
子役ちゃんはホントに可愛くてかわいさにうるっとくる。
ハシモトさん高評価ですが、『ベストキッド』のミヤギさんとかぶってしまって(^_^;)
どうも入り込めませんでした。
しかもあのとってつけたよな日本風の部屋、
しっくりこなかったです。
家族全員の最後はうまく行き過ぎではないですか。
うっすら腹立つ。
なんでしょね、いい話なんでしょうが、モヤモヤが残ります。
わかっている理由のひとつは、子役が演技過剰ってことです。泣きの演技が特に。帰ってこない父が死んだってことが、はっきりわかって葬式でドラマチックに泣けるというところに冷めました。
あとは、お兄ちゃんが野蛮で苦手でした。
敵国の出身だからって速攻銃ですか。
時代もあって、描写に矛盾が、とか思うわけではないのですが、その精神に非常に嫌悪感が湧きました。
ハシモトを庇ってくれるのが、カトリックの神父様でした。こういう感じで出てくると宗教に意義を見出せます。
ハシモトの境遇が悲しかったですが、日本軍も捕虜を殺したり、酷いことしたんでしょうね。
原爆投下を喜ぶ町の人とペッパーへの怒りも感じました。
ハッピーエンドでええのか?と思うんですよ。お父さんの帰還は喜ばしいけど、兵士でない市民を山ほど殺して勝ったことを喜べるって。
こんな目にあって辛かったという告白の裏には、必ず報復をした事実があり、それが戦争なのかななんて。
ガキ大将からのイジメシーンも辛かった。
ペッパーの想像上の世界は楽しかったです。
お母さんもよかったです。
アメリカの戦時下を8歳の子どもの視線で見た映画。 カリフォルニアの...
アメリカの戦時下を8歳の子どもの視線で見た映画。
カリフォルニアの小さな街を描く最初のシーン、街がいかにもセットらしくて、この映画がある種の寓話、ファンタジーである事が示されている。だからかどうかはわからないが、あまり泣いたり感情移入せずに淡々と観ていました。
題名からヒロシマの原爆投下がどう描かれているのか興味がありました。原爆の廃墟は寓話的でしたが、お母さんの「街が一つなくなった」という言葉に深い悲しみを感じました。
ハシモトさんとお父さんが何とか生き延びるのも、リストが成就されるのも寓意的です。
ハシモトさんはとても面白い、不思議な映画でした。
名作
僕はいつも、映画を見るとあとどれくらいだろう?と、時間を気にして時計を見るほど集中力がないんですが、この映画は違いました。 シーン一つ一つに区切りがあり、とてもすんなりと映画を楽しむことができました。 子役の男の子がとにかくかわいいです。 そして日本人、ハシモトとの友情もまた、深いものです。 許す心許せない心、いろんな人の心情を分かりやすくかかれてます。とても楽しむことができました。
全37件中、1~20件目を表示