LION ライオン 25年目のただいま : 特集
25年間迷子だった男が故郷を見つけた方法は……なんとGoogle Earth!
まさに現代の奇跡! “映画を超えた驚がくの実話”いよいよ公開!
アカデミー賞で作品賞を含む全6部門ノミネート、ゴールデングローブ賞でも4部門ノミネートを果たしたヒューマン・ドラマ「LION ライオン 25年目のただいま」が、4月7日に公開される。25年間迷子だった男が、Google Earthを使って故郷を見つけたという驚きの実話を基に、デブ・パテル、ニコール・キッドマン、ルーニー・マーラら実力派キャストによって、胸を打つドラマが描かれる。
迷った距離1万キロ、探した時間25年──信じられない実話がまだあった
ヒントは5つだけ! 彼はどうやって自分の故郷を探し当てたのか――?
「まさかこんなことが本当にあるとは……」と驚かずにはいられない、信じられない実話がまだあった。それは、25年間迷子だった青年が、かすかな記憶だけを頼りに、Google Earthを使って広大な世界地図の中から生まれ故郷を見つけ出したという事実だ。
5歳のときにインドで長距離列車に迷い込んで遠い街へ運ばれてしまい、養子としてオーストラリアで育った青年サルーが、25年ぶりに家族を探そうとする。離れ離れになってしまった家族を探す映画は過去にもあれど、その方法が“Google Earth”なのだというから驚き! これが2017年の「母を訪ねて三千里」の姿!?
たった5つしかなかったヒントを基に、サルーはどうやって自分の生まれ故郷を探し出したのか? 彼の無謀かつ大いなる挑戦は、まさに現代の奇跡。映画を超えた驚がくの実話が、見る者の胸を打つのは間違いない。
駅に停車中の列車の車両に、兄と離れたほんの一瞬で迷い込んでしまう。それは長距離の回送列車だったために、降りたくても降りられない! 知らない大都会に運ばれるのにかかった時間は「2、3日」。
いったいどれくらい遠くまで、自分は運ばれてしまったのか。運ばれた日数に列車の運行スピードを掛け合わせれば、移動距離を算出できる。ネットで検索して当時の情報を集めると、判明したのは「時速約22キロ」。
自分が保護された都市を中心に、算出した距離の大きな円を描く。この範囲にある路線の膨大な駅の中に、自分が電車に乗り込んでしまった駅があるはず。そう……記憶に残っているのは「大きな給水塔」。
もっと何か手がかりになるものは覚えていないか。フラッシュバックするのは、兄の笑顔と母の優しい表情。そういえば母は岩を運ぶ仕事をしていたような気がする。そうだ、故郷の裏にあったのは「岩山」。
迷い込んだ大都市では、言葉も通じず、暮らしていた町の名前を話してもみんな首をかしげていた。その町は実在するのか? Google Earthには乗っているのか? 名前は確か……「ガネストレイ」。
気鋭監督が描く疾走感と生命力──
“他にはない”この物語の《作品力》が、アカデミー賞ほか賞レースを席巻
インドで迷子になり、オーストラリアで成長した青年が、Google Earthを使って故郷を探し出したという物語は、その奇抜さと同時に、「自分とは何者か?」と揺らぎ始めたアイデンティティと自分のルーツを取り戻そうとする主人公の苦悩と葛藤も描き出す。
壮大な“探しもの”の果てに、彼が見つけ出すものは何か。「スラムドッグ$ミリオネア」を思わせる疾走感と、デブ・パテル、ニコール・キッドマン、ルーニー・マーラという豪華実力派キャストがそろった本作は、アカデミー賞で作品賞を含む全6部門にノミネート。自らの手で奇跡を引き寄せる青年の姿を描き切り、賞レースを席巻した圧巻の感動ドラマなのだ。
驚きの実話映画のメガホンをとったのは、オーストラリア出身でCMや短編で注目された気鋭監督ガース・デイビス。本作で長編初監督を務めたが、作品を包むインドスラム街のエネルギーに満ちた姿、そしてその中を駆け抜ける少年の疾走感と生命力の描写は見事だとしか言いようがない。
「スラムドッグ$ミリオネア」で強い印象を残したデブ・パテルが今回も主役を熱演。子役だった彼が身体もビルドアップして堂々たる成長ぶりを披露。今作では見事アカデミー賞助演男優賞ノミネートを果たした。
脇を固める共演陣も実力派ぞろいだ。主人公サルーの義母役で家族のきずなの要となるのが、「めぐりあう時間たち」のオスカー女優ニコール・キッドマン。サルーの恋人役には、「キャロル」「ドラゴン・タトゥーの女」で2度のオスカーノミネート経験を持つルーニー・マーラが扮した。キッドマンは今回もオスカー助演女優賞にノミネート。
製作陣にアカデミー賞受賞チームが名を連ねているのも見逃せない。プロデューサーを務めたイアン・カニング、エミール・シャーマンは、アカデミー賞作品賞含む4部門に輝く「英国王のスピーチ」の製作チーム。「SHAME シェイム」「奇跡の2000マイル」も手掛けた敏腕だ。
高い作品力に批評家たちも高い評価。アカデミー賞では作品賞含む全6部門、ゴールデングローブ賞では全4部門ノミネートの快挙を果たした。その他の賞では、英国アカデミー賞でパテルが助演男優賞を受賞したほか脚色賞も受賞。ハリウッド映画賞助演女優賞、ロンドン・イブニング・スタンダード英国映画賞の栄誉にも輝いている。
人生に起きえるウソみたいな奇跡、それを体験させてくれるのが《実話映画》
映画ファンが引き込まれる厳選された《現実を超えた実話たち》──
広大な宇宙やどこか別の世界を舞台にした、イマジネーションあふれるフィクション世界も楽しいが、それよりも、実際に起こった事件や実在の人物を描いたノンフィクション=「実話映画」の方が好きという映画ファンもきっと多いことだろう。「事実は小説より奇なり」という言葉がある通り、ときに現実はフィクションを超える。私たちの人生は思いもよらない展開を迎えることがあり、ちょっとした出来事が、一生を大きく変えたりもする。ふとしたハプニングが大きな幸運を運んできたり、何気なく踏み出した一歩が、それまでの悩みを吹き飛ばし希望の光を届けてくれたり……。そんな人生の奇跡をスクリーンに見せてくれるのが、実話映画のだいご味だ。
そんな「ありえない実話」の傑作映画といえば、アカデミー賞監督ダニー・ボイルが、手首を岩に挟まれた登山者の極限のサバイバルを描いた「127時間」や、女性に振られた腹いせをきっかけに誕生したSNSが世界最大に成長していくさまを追ったデビッド・フィンチャー監督による「ソーシャル・ネットワーク」、巨大企業を相手に史上最大級の集団訴訟に勝利した学なし・文なしのシングルマザーにジュリア・ロバーツが扮してオスカーを手にした「エリン・ブロコビッチ」が挙がる。ソマリア沖で海賊に拉致されてしまう貨物船長を描く「キャプテン・フィリップス」(ポール・グリーングラス監督、トム・ハンクス主演)、ひん死の事故から生還した伝説のF1ドライバーの生きざまにオスカー監督ロン・ハワードが迫った「ラッシュ プライドと友情」の壮絶さも印象深い。
そして、今回の「LION ライオン 25年目のただいま」で、実話が持つ「ありえない度」は、またもやアップデートされた。25歳の青年が迷子になってしまった状況、そんな彼が生まれ故郷を探すのにGoogle Earthを駆使したこと、そして再び故郷に戻り家族と再会を果たしたこと──数々の信じられないような設定が並びながらも、それは紛れもない事実。だからこそ持ち得るリアリティが、ラストに待つ圧倒的な感動を約束する。かつてないほどの「オリジナリティ」に包まれた本作は、厳選された実話映画の歴史で、また新しい輝きとなったのだ。