「前編の熱を後編も維持、基本的には後編も面白かった」3月のライオン 後編 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
前編の熱を後編も維持、基本的には後編も面白かった
前・後編二部作物は、大抵の映画が前編は面白かったのに後編は前編ほど・・・となる中で、本作は後編の方もある程度健闘したと言える内容だったのではないでしょうか。
勿論、前編で膨れ上がった期待を全て回収したとは言い切れない内容でしたが、まあでも限りある時間の中、愛の後編の名にふさわしい、まさしく愛を感じとれる内容に、十分見応えを感じた140分間でした。
まあ私は原作は読んでないし将棋も全然詳しくないので細かいことは正直よく分かってませんけど、、将棋でしか生きられない孤独に苛まされた主人公・桐山零が、将棋を通して様々なことに気付かされ、心の成長を遂げていく青春映画的成長物語として十分楽しませてもらいましたよ。
ただ今回は「家族」がクローズアップされた分、個と言う点では多少弱かったと言うかインパクト薄だった印象は残りましたかね。
特に家族枠の無い島田や二階堂は前編は見せ場たっぷりだったのに今回は見せ場少なめだったり、画的には素晴らしかったが宗谷との絡みも全然満足いくものではなかったりと、後編だけでも140分の尺がありながら、個の面で見るとまだまだ見足りないと思わされる部分があったりで、その辺りは前・後編物の配分の難しさを改めて感じた内容ではあったかなと思いました。
しかし前編で物凄く癒された川本家が前編以上にクローズアップされた点に関しては、個人的に大満足、あの家族があったからこそ、桐山は人の痛みも知りつつ更なる成長を遂げれた訳ですし、ホントいつまでも見ていたくなる家族だったな、そしてあの家族を、見ているこちらも何とか守ってあげたくなってしまうような、そんな衝動に駆られてしまうぐらい、温かい家族でほっこりとさせられました。
ひなたのエピソードはちょっとビックリでしたけどね・・・でも、演じた清原果耶が可愛かったなぁ(泣きの演技とリアクションの可愛さが光りました)、ひなたやモモのその後の成長譚も見てみたいですね。
伊勢谷友介はさすがにあの役は年齢的に無理があったかな、でもいい感じの怪しさでした。
ちょっと気になったのは、やや微妙な評判の香子を演じた有村架純、個人的には原作を読んでないこともあってか今までにない役どころに新鮮味を感じて前編は世間の評判とは裏腹に思いのほか悪くないと思ったものでしたが、後編は香子のオチも含めてこれでいいのか?と若干微妙に思った部分も・・・幸田家の家族の話のまとめ方が良かっただけに、最後のあれはどうなのかなぁ。
とは言え、基本的には前・後編とも十分面白かったです、桐山零を演じたのが神木隆之介だったからこそ、ここまで楽しめたのは間違いない事実、ホント桐山=神木で同化してましたよね、素晴らしい演技でした。