「大火災CGほとんど使ってません!って、そこじゃない感ハンパない。」バーニング・オーシャン さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
大火災CGほとんど使ってません!って、そこじゃない感ハンパない。
※絶賛してません。
面白かった!と思った方、閲覧注意です。
『バーニング・オーシャン(2016)』
原題 Deepwater Horizon
(あらすじ)
2010年メキシコ湾で起こった海底油田爆発事故「メキシコ湾原油流出事故」の映画化です。
石油掘削船(半潜水海洋石油採掘施設)「ディープウォーター・ホライゾン」は、十分な確認作業を怠り、ムリクリ始めた掘削作業中に発生した機材の不具合で事故発生→海底から逆流したガスに引火→原油が海に流れ出す→大規模災害に発展する。
船内に取り残されたマイク(マーク・ウォールバーグ)をはじめとする作業員達は、被害の拡大を阻止するべく奔走し、また脱出を試みる。
どこかで「アトラクション的な映画」と評されてる方がいて、全くその通りだと思いました。
だらんだらんと物語が進んで、急にやべwってなって、どかーん、どかーん、と爆発!火災!ってなって、多くの現場作業員が犠牲になっていく。
実際この事故で、11人の方達が亡くなっているんですよね。
でもー、登場人物達のバックグランドって、主人公のマイクくらいしか描いてないから。
亡くなった、この方って、どなた?ってなる。
残念ながら人間は、良く知りもしない人の死を悲しめないし、怒れない。
いやいや、実際にあった事故なので、ドラマティックな展開とかそんなないんですよ。
事故発生まで、何気ない日常を生きてたんですから。そこ、主人公以外はしょって良いでしょ?
なるほど!分かりました。
じゃぁ、しっかりしたテーマを、問題点を、掲げてくれよ!!
角田光代先生が、仰ってました。
1)テーマを決めて。
2)構成(ストーリー)を考えて。
3)そして(シーンなどの)アイデアを考えて。
この順番で考えないと、物語がおかしくなるって。
本作のテーマってなんだろ?
縦割り企業の、危機感のない対応だろうか?
その割には、その点について触り程度にしか言及していません。
冒頭は音声、ラストは実際の映像で裁判風景をちらっと流す手抜きっぷりですよ。
しかも亡くなった方達に関しては、実際のお写真がエンドクレジットで出ます。
触り程度過ぎるにも、ほどがある!
もっと、そこをがっつり描くべきでは?
ジョン・マルコビッチの悪い感じ=この会社も悪いんすよ!って軽く流さないで!
ここの会社、事故後も色々やってるじゃん。
政府の対応はどうだったんすか?
原油が流れた海、いまー、どうなってるんすか?
環境汚染とか、色々あるじゃん?
で!
もろもろの理由から、本作がどっかん、どっかん、シーン先行映画ってのがよく分かる。
製作者側が「実際にセット作って、ほとんどCG使ってない!」って言ってたけど、本作に限っては、全力で「そこじゃねぇ!」と言いたい。
これって、過剰な演出をして泣かせようとするより、もっともっと亡くなった方達に失礼じゃないですかね。
邦題も、ひどいよ。