「予告編がズルい」グランド・イリュージョン 見破られたトリック SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
予告編がズルい
まず言いたいのは、予告編がズルい。
映画はじまってすぐ、これ2なんだ⁉︎
って思った。予告編はあえて2だということを意識させなかったんではないかと思う。なんかそれズルくない?
前作があるんだと知ってたら、ストーリー予習して、「アイ」がなんなのか、ホースメンがなんなのか、調べたのに…。これらは最後までよくわからなかった。
あと、予告編で見せ場を全部見せてしまっている。
予告編だけ観るとむちゃくちゃ面白そうな映画だから楽しみにしてたわけだが、予告編で見せた以上の見せ場ほとんど残ってないじゃん…。ひどすぎるわー。
設定は、むちゃで漫画的なトリックを使うところが、ルパン三世を実写にするとこんな感じか、って思った。
現実味のないトリックばかりで、驚いて感動するより、「そんなんうまくいくわけないじゃん…」って思ってしまう方が勝ってしまって、素直に楽しめなかった。
一番は催眠術があまりに万能すぎるとこ。こんなことできんだったら何でもありじゃん…。推理小説で、もしこのトリック出てきたら、本叩きつけるだろう。
せめて、世界で1人しかこの特殊な催眠術はできない、みたいなしばりがあればまだ説得力あったけど、チューブ通る途中の光の点滅でかけるとか、なんやそれー。
これが冒頭にあるもんだから、この映画におけるトリックってのは、どうせ全部ご都合主義の、この現実とは違う物理法則の世界でされる類のもんなんだろう、だと意識付けされてしまった。
現実ばなれしたトリックを使うなとは言わないけど、トリックで驚かせることがキモの映画なんだったら、できるだけ現実にあり得るトリックを使って、ここぞというとこだけ飛躍したアイデアを使う感じがいいと思う。
雨が止まるトリックは普通に無理だろ。あれは、雨粒の落ちるスピードと光の点滅を完全に同期させないといけないけど、あんなふうにビルの一点から拡散させるように蒔いた雨ではできない。あんなにいろいろな光が散在する屋外でやるのも無理がある。
最後の飛行機のトリックも、振動や加速度が無いのでバレ無いはずがない。
映像的な面白さを追求するあまり、不自然なシーンが多かったと思う。
カードをセキュリティから隠すために、手品のカード移動のテクニックを使うのはいいんだけど、なんのために全員に順番に渡していったの? ほんとうは緊迫したシーンのはずだけど、なんかアホみたいだった。
全体にストーリーが雑だと思う。
たぶんアメリカでは、こういう感じのイリュージョンマジックショーの番組がよくあるんじゃないかな。それにちょっとストーリーを添えた感じの映画を作ってみました、みたいな感じなんだったら、納得。
1つだけストーリーで感心したのは、敵だと思ってたモーガン・フリーマン(?)が、実は味方だったこと。マジシャンとその批判者が実はグルだった、というのはリアリティがあるし、その秘密を明かせないことにも説得力がある。
にしては、鉄の箱に閉じ込められた主人公があやうく死にかけてたけど、それはええんか、って思った。
映像、演技、世界観は良かった。
ダニエル・ラドクリフはどんなんかなー、と思ってたけど、演技うまかった。でも、そんな印象に残る感じでもない…。他の人がこの役やっても、同じ感じなんだろうな、と思う。ハリポタの人って印象変えるのは、なかなか難しそうだ。