「このスタンスでいくなら早く終わるべき。」スター・ウォーズ 最後のジェダイ 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)
このスタンスでいくなら早く終わるべき。
8作目スター・ウォーズ。宇宙空間での激しい攻防戦のCGが素晴らしく、今回は特にジャンプシーンが多いが、本当に一瞬でびょんっ!!と戦艦が移動してくるのを見るのはとても面白かった。また、カジノから逃亡する足の速い動物やチューイに懐く鳥類が表情豊かで愛らしくて気に入った。
ラストのおんぼろスピーダーが真っ赤な塩の埋まる地面を掻きながら疾走していくシーンとか、超カッコイイじゃないですか。これぞスター・ウォーズ。映像としては完成度が高い。映像としては。
肝心な映画の中身は辻褄の合わない箇所が目立った、というのが素直な感想。
最も大きなツッコミどころは『ルーク!!お前燃え尽きてどうせ死ぬなら生身で来いよ!レイアに失礼だろ!』という点だが、生身で来ていたらファーストオーダーからの集中砲火であっけなくやられていたのかもしれない。それにしても、フォース使い切ってあんな風にフッと消えるように逝くなら、わざわざ精神飛ばした意味は?と問わざるを得ない。
加えて本作の山場はスノーク最高指導者の死というカイロ・レンが悪のリーダーとして覚醒を始めるシーンだと思うが、あの死に方は「スノークは弱い嘘つきヴォルデモートでした」と言わんばかり。レンの思考はすべて読めている、意図も理解している…と言いながら、隣でカタカタとライトセーバーが動いているのにも気付かないでそのままお陀仏。あの、思考…読めてるん、です、よね……??レイがフォースでライトセイバーを自分のもとに呼ぼうとしたのを一瞬で阻止した強さは、知ったかぶりの前に散った。正直萎えた。
フィンもそろそろちゃんと役に立ってくれないと、本当にただのクズ。7⇒8作目からの流れで突然絆が芽生えすぎてるレイとフィンの扱いも謎に満ちる。別に君たちそこまで仲良くないよね?他にも、何だかなぁ無理やりだなぁと思わせる箇所がチラホラ。
9作目もおそらく劇場へ観に行くだろうけれど、8作目がこれじゃちょっと怖い。でも引き伸ばさずに早く終わって欲しいとも思う。
自分は特にスター・ウォーズファンではないが、ファンが観たらもっと腑に落ちないのではなかろうか。