「シリーズ最高傑作!だと思う!※追記あり」スター・ウォーズ 最後のジェダイ ch229さんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ最高傑作!だと思う!※追記あり
前もって話しておくと、ひととおりは見ていますが自分は決して「熱心な」スターウォーズファンではないです。
スターウォーズの印象といえば、ファンタジーとスペースオペラを融合させた壮大で神秘的な独特の世界観があり、人、動物、機械それぞれに個性あふれ魅力的なキャラクターが無数に溢れている作品。
背景としての設定やデザインに恐ろしいほどの才能と労力をつぎ込んでいるにも関わらず、キャラクターの魅力を主軸に据えた作りフォーカスしているところが素晴らしい。
こういうのを日本の三流映画監督が撮ると、壮大で本格派で予算○○億円の超大作!なんて看板を預かり十中八九は予算かかってます映像の自慢の見本市と化し、血のぬくもりを微塵も感じない人物たちが操り人形のように心にもないセリフを吐き、奥深いテーマを持っていそうな謎を秘めている風のラストを迎え、お通夜のような雰囲気で劇場を後にするハメになり、クソ映画として語り継がれることになるのだ。
具体的な例を挙げれば最近なら3DアニメのInfiniおっと誰か来たようだ。
とにかくここのバランス感覚を正常に保ったまま、スターウォーズほどの伝説的な作品、脈々と続編をリリースし、今でも新鮮なインパクトを与え続けていることは賞賛に値する。
さてそこまで作品としてのスターウォーズをリスペクトしながらも、自分がスターウォーズの熱心なファンではないというのには理由があって、それはストーリーと演出が割と淡白なところ。
もちろん途中ではいろいろ紆余曲折はあるわけだけど、そのこと自体には積み重ねとしての意味はあまりなくて、あーこれつまりダースベーダーを倒して終わるんやろなーってだいたい解ってるし、この僕ちゃんが将来ダースベーダーになるのね、というのもだいたい解ってる。
そのへんの単純さには目を瞑って、キャラクターの魅力や壮大でバリエーション豊かな映像美だけでお腹いっぱいです!というのもよく解るんだけど、映画を見終わった後に胸にズシリと残るものがないのだ。
「エイリアン」や「猿の惑星」や「シンゴジラ」を観た後なら、あれが現実のことじゃなくてよかった・・・!という気持ちになって少しの間平和に感謝する気持ちになったりもするし、普段は天ぷら蕎麦大盛りにタマゴまでつけちゃって豪快に食うところを、「この世界の片隅に」を観たあとなんかは、安いかけそば一杯を少しずつじっくりと噛みしめるように味わいながら食べてご先祖さまを思ったりもする。
そういう重さ。
そこがスターウォーズの鑑賞後になると、ハンバーガーをかじりながら「最近の映画ってすげーなー」って思うくらいの感じ。
まあまあ前置きがずいぶん長くなったけど、スターウォーズってそんな映画。
それを踏まえた上で今回の「スターウォーズ 最後のジェダイ」なんですが、これまでの印象をいい意味で覆して!かなり良かった!
年老いたルークスカイウォーカーは、現役時代はバリバリ一流のプレーヤーでブイブイいわしてた伝説的存在なんだけど、指導者になってからは大きな失敗もしてパッとしません。
ヨーダやオビワンのような渋い味わいを持つ指導者になって、若いもんに含蓄ある言葉のひとつもかけて格好良く去るような、そんな年のとり方をするはずだったのに、何故このような有様に・・・
そして未熟なくせに桁違いに能力が高くて絡みにくい、新世代の若者たち。
わかるわかる。スターウォーズとともに歳を重ねてきた、おっさん世代の我々にはわかりすぎる。
劣勢の中、一縷の好機を逃すまいと命を賭してミッションを遂行しようとする新世代。
よしこれは巻き返せるぞ、まだやれるぞ、とおいらが観てても思うんだけど、上は撤退するって。
いやいや何いってんだ!戦うんだよ!ってなる。そりゃそうだ。おいらもそう思う。
でもそうじゃなくて、滅びないこと、次の世代に引き継いでいくことが大事なんだって言う。
そう、この映画のテーマは世代交代。
最後のカットで、レジスタンスのバッジを持つ子供が夜空を見上げる。
このさりげないシーンめちゃめちゃグッときて、知らないうちに涙がこぼれていました。
3世代に渡って描いてきたスターウォーズだからこそ、世代交代というテーマに焦点を当てたことに大きな重みがあります。
賛否両論あるようですが、私は歴代のスターウォーズシリーズの中で最高傑作だと、おいらもかっこいいオッサンとして死にたいと、天丼大盛りをかき込みながら思いました。
一点だけ、動物系キャラクターの動きが雑で良くない。ここがさりげなく自然な動きになると、世界観のリアリティがぜんぜん違ってくるのに勿体ないので、そこは減点。
※追記
この映画、思いのほか否定派が多いようなので、傑作派として反論を追記させていただきたいと思います。
映画の中で、重大な決断をしたはずなのに描かれなかった「空白の時間」があり、その後の展開に不自然な点があったことにみなさん気づいただろうか?
それが恐らく、次の最終章で大きなどんでん返しに繋がる伏線になっているはず。
あの場面必要だったか?あの行動はどうよ?といういくつかの疑問あるシーンも、そのとき改めて大きな意味があったことに気づかされ、「最後のジェダイ」は改めて凄い映画だったと評価されることになります。
たぶん・・・
少なくともルーク三部作を焼き直しただけのような、悪者やっつけてめでたしめでたし・・・のような古典的結末にはだけは絶対にならないと断言しておきましょう。
原理主義ファンがそれを望むかどうかは別の話ではありますが。