「サーガとして重要な転機点ではあるが…」スター・ウォーズ 最後のジェダイ Wataruさんの映画レビュー(感想・評価)
サーガとして重要な転機点ではあるが…
いわゆる古参です。前作でも古参はたたかれていましたが、
本作でもやはりたたかれていますね。
でも、同じ古参として、なぜ本作が受け入れられないか、わかります。
まず、ストーリーですが、これは絶対に語られるべきストーリーでしょう、と思います。
古いものは廃れ、新しい力が次のサーガを担っていく。
そう考えるとカイロレンの不安定さ(前作までの)も受け入れられます。
また、後半の戦闘シーンも、今まで描かれなかった惑星で緊張感があったのも良かったです。
しかし、本作で私が改善してほしかったのは、
・撮影の仕方
・キャラクターの練り直し
・盛り込むストーリー構造の精選
・笑い所
です。
まず、撮影の仕方ですが、途中レイヤが宇宙に放り出されたかと思うとスーっと戻ってくるシーンがあります。
あのシーンを受け入れられるのは逆にすごいと思います。
レイヤにもフォースの血は流れる訳ですから、レイヤが生還することには文句はありません(普通死ぬでしょとは思いますが)。
問題は、レイヤが戻っていく方法を完全に描き切ってしまっていること。そうではなく、例えば目覚めた瞬間に宇宙船の中にいて、仲間がそのときの状況を説明するとか。とにかく、直接的な表現は冷めます。あれは必要ないシーンでした。
キャラクターですが、これは前作やローグワンよりもひどいのではないでしょうか?感情移入がしにくいです。
特に整備士の女の子。これがまた地味なんです。
明らかなモブキャラなのにラストではフィンにキスをして死にます。冒頭で命を懸けて爆弾を落としたあの子の親族という設定もまるで生かされていません。
彼女はなんだったんだろう。生い立ちも辛い過去も後になって急いで語られても死のシーンで全く感情移入できません。
魅力のあるキャラ作りは7.8.9のエピソードで大きな課題になるでしょう。スノークがあっさり死にすぎなのも疑問です。
ストーリー構造ですが、これもなかなかに良くなかったです。
というのも、前半が長すぎたのです。後半の展開は非常に良く、レイとカイロレンの間の葛藤、暗黒面にレイが墜ちるのかというハラハラ、ファーストオーダーに追いかけ回されて絶対絶命。この辺の展開はファンだけでなく、皆が楽しめたと思います。ただ、前半が長い。ストーリーのまとまり具合なら前作の方が上でしょう。ローグワンですらここまで退屈じゃなかったのに。
裏切りとか意外な展開を盛り込みすぎて逆に一つ一つが浅いのです。「まだ中盤だけどこんな展開か、ふーん。」みたいな感じです。「みている者の心が大きく動かされる場面は一ヶ所にまとめる」この鉄則は守ってほしいです。
次に、笑い所ですが、これは「ジョークが面白い」ではなく、「真剣に撮っているのに笑いが起きる」です。これはスターウォーズとしては最低ですね。
狙ったジョークではなく、至極真面目な場面で笑いが起きてしまうんです。映画館でも子どもが笑っていました。子どもが真面目に観れないシーンを大人が真面目に見れるはずがないのです。
具体的には、レイの自己会話のシーン。なぜあんなにたくさんのレイをずらーっと並べたんですか…。伝えたいことは分かりますが手法を間違えています。
フォースの瞑想、自己会話のあたりで笑いが起きたことが本作では残念でなりません。スターウォーズを勘違いされたんじゃないか、と。
色々書きましたが、後半は見応えもあり、見る価値は十分にあります。
しかし、その他の点が荒いために星は減です。
【最後に】
最近のスターウォーズ作品では、「新しいファンを取るためにはこうするしかないんだ、古参は引っ込め」といった批判をよく目にします。
考えてください。これはスピンオフ作品ではないのです。
ナンバリング作品であり、スターウォーズのサーガなのです。
私より古くからスターウォーズ作品を愛してきた人たちが新たなサーガにワクワクできないのはナンバリングとしてダメなのです。
ストーリーに奇抜な工夫は必要ありません。ベタでいいのです。
これまでのスターウォーズに繋がる作品を作れないのであれば、ナンバリングをしないでほしい。
古参叩きの方にはそのこと、一人の古参としての意見、を分かっていてほしいのです。
簡単に荒削りのスターウォーズを受け入れられないほど、スターウォーズは私たちの身にこびりつき、大切なものになっているのです。
気を悪くしないでください。