「完璧!とは言えないけれどお伽噺を僕たち・私たちの話に戻してくれた記念碑的作品」スター・ウォーズ 最後のジェダイ 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
完璧!とは言えないけれどお伽噺を僕たち・私たちの話に戻してくれた記念碑的作品
スター・ウォーズシリーズは1~7、ローグ・ワンのみ観賞済。
スピンオフのアニメ作品やゲーム、小説などは未見。
前回観たローグ・ワンが良すぎてそのままep7を見て、今回の公開が楽しみでワクワクしながら待っていた。
でも、公開後すぐは流石にどこも満員なので、観るのはちょっと待とうかな…と思ってたものの、公開から2日も経たず我慢が効かなくなり、朝イチの回のチケットを取り、ストームトルーパーのメット型ケース付きポップコーンを買って、ウキウキワクワクしながら上映を待った。
観終えた結果、ep4の公開に立ち会えなかった自分が、リアルタイムでこの作品の公開に立ち会えた事に感謝した。
見る前は上映時間が約3時間な事と、ライアン・ジョンソン監督の前回の作品「LOOPER/ルーパー」がSF設定的にダメだと言われていたのを聞いたのだけが懸念材料で、例え出来がアレだったとしても新キャラのポーグたんが可愛いのでそこが観られればそれで良いと思っていたけれど、超大作にも関わらず予想以上に挑戦的な事をやってくれていて、そのチャレンジ精神に感動した。
ローグ・ワンでは本編では"フォースの才能に長けたスカイウォーカー一族"を描いていたからこそ、スピンオフでの"名も無き人々の活躍"を描けた事が素晴らしいと思っていたけど、まさか本編もそういう流れになるとは思っていなかったので、(勿論英雄譚のまま突き進んでいく方法もあっただろうけど)ディズニーになったから、と言うよりはep4~6、ep1~3から時間、年月が立ち過ぎた事で"固有の誰か"じゃなく、"民衆達が"主人公になるって描きかたになったんじゃないかと思う。
後半のレイとカイロレンの共闘&今までで一番泥臭いアクションは個人的には旧三部作並み(もしかしたらそれ以上?)に好きかも知れない…。
予告編でも流れてたフィンとキャプテン・ファズマの闘いも素晴らしかったし、個人的にはベルチオ・デルトロさん演じるDJがスター・ウォーズと言うよりも007やマーベル作品に近いキャラ付けで予想外にお気に入りになった。
確かに展開や宇宙空間での兵器の使い方などは雑に感じられる(or疑問を感じる)部分があったし、進んでいる筈なのに停滞してる様に感じる部分もあったけれど、フォースの聖典(今までのスター・ウォーズ)を燃やし、イコンとなったルークの最期を描く事で、"今までのスター・ウォーズを捨て去る"と言う英断をした監督の決意は称賛すべきだと思う。
ep4特別篇やep1~3を作ったジョージ・ルーカス監督に対するファンのヘイトを集めた「ザ・ピープルVSジョージ・ルーカス」や、ep7公開時に『懐古的過ぎる』と叩かれたJ・J・エイブラムス監督のことを考えると、ここまで振り切ったものを観て叩く観客がいるなら全てのファンの期待に応えるのは無理なんじゃないかな。
ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルでは散々扱き下ろされていて、その個々の意見には納得する部分もあるけれど、それを聞いても尚、個人的にはライアン・ジョンソン監督良くやった!と言いたい。
そしてこの流れをJ・J・エイブラムス監督がどうまとめてくれるのか、不安半分、期待半分で待ちたいと思う。