「DIY女子サバイバルアクション」10 クローバーフィールド・レーン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
DIY女子サバイバルアクション
鑑賞後、あ、これ『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に構成が似てるなぁ、と。何でかっていうと、フロム・ダスク~は前半は逃亡劇、後半はホラーという作りで、この『10クローバーフィールド・レーン』は、前半は密室型サイコサスペンス、後半はなんとSFスリラー(!?)という、両極端な転がり方をしてくるんです。一粒で二度美味しいというか。
まあ、核シェルターで穏やかに暮らしてます風のあの予告から、「でもこのままじゃ終わらないんだろうな」と予感を持たせてくれるのが、この『10クローバーフィールド・レーン』というタイトルですよ。POVパニック映画の雄、『クローバーフィールド』と同じタイトルをまんま被せてくる訳ですから。何かしらのSF的?パニック的?な要素を挟んではくるだろうなぁ、と予想はしてたんですけども。けども、それにしてもサイコサスペンスにあそこまで力を入れるのかよ!という前半への並々ならぬ熱の入れ方ですよ。
突然、理不尽に監禁されちゃったメアリー・エリザベス・ウィンステッド扮するミシェル(本編の主人公です)。仕方なく善意で監禁をしたと力説するジョン・グッドマン扮するハワード。それと腕を怪我した同居人の男エメット。基本この三人しか登場人物は出てきません。で、このジョン・グッドマンが常に不安を掻き立てるんです。「ガチにコイツ狂ってるじゃんか。虚言癖だろ?」と思わせたり「いや、でもマジなん?ひょっとして一番マトモなんじゃないか?コイツの云ってること、正しいんじゃ?」と思わせたり、交互に観客の心を揺さぶってきます。どっちか分からない。何が正しいのか判然としない。ミシェルもハワードに対して懐疑的になってみたり安心してみたりして。
でもね、やっぱり密室型サイコサスペンスですから。いつまでも悶々とはしていられない訳ですよ。そこは脱出していかないと、密室だけに。
ミシェルが何故かDIY女子だったことが功を奏し、唐突な脱出突破が始まりッ!サバイバルアクションに変貌ッ!そのサバイバルアクション経由で待ち受ける、これまた唐突な後半戦ッ!なんとお次はSFスリラーだッ!
という、前半と後半で、ここまでフルスウィングで振り抜かれると、全く違和感が生じないですね。「そういうこともあるかもね」ていう(ないですけど)。いやあ、楽しかったですよ。
それとタイトルに込められた本当の意味ですが、ラスト付近で明かされます。そして、これがね、また衝撃的ですから(人によってはズッコケるかも)。それ含めて楽しかったですよ。