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2008年の映画『クローバー・フィールド/HAKAISHA』の続編。
地下シェルターに閉じ込められた若い女性ミシェル。彼女の脱走劇と、世界に訪れた異変を描くSF・サスペンス。
製作は前作に引き続きJ・Jエイブラムス。脚本に若き天才監督デイミアン・チャゼルが参加している。
ブラッドリー・クーパーが声だけで、むっちゃチョイ役で出演しているのもポイント。
前作『クローバー・フィールド』がモキュメンタリーかつパニック系怪獣映画だったのに対し、本作はジャンルを完全に変更。普通の三人称視点かつ密室でのサスペンス映画となっている。
この変更は個人的には大賛成。モキュメンタリーは酔うので苦手だし、前作の内容も面白いとは思えなかったので…。
『クローバー・フィールド』の続編ということであまり期待していなかったのだが、予想に反した映画の出来に大満足!これ、密室サスペンスの傑作では!?
冒頭から突然の交通事故。そして何故か監禁されているというショック。監禁している男はどう見ても不気味だが、自分は命の恩人だと言う。男は名をハワードと名乗り、世界は滅亡し地上は汚染されていると彼女に説明する。
ここまでが非常にスピーディーに展開される。そのため全くダレないし、観客はミシェルと同じ様に混乱し早く先が知りたいと思う。
この映画の凄いところは、登場人物がシェルターの中にいる3人だけという点。(厳密には助けを求めてやってくるおばさんがいるが、話を展開するのはこの3人だけ。)
ハリウッド映画にも拘らず、ここまでコンパクトに作られた映画というのもなかなかないのでは?
コンパクトだから地味でつまらないのかというと決してそんなことはない。
謎の男ハワードがむちゃくちゃ不気味なため常に緊張感があるし、彼の言っていることのどこまでが本当かわからないため、このおっさんが良い人なのか悪い人なのかわからないというミステリーに、どんどん引き込まれていく。
ミシェル、ハワード、そして第三の男エメット。密室での時間を3人で過ごしていくうちに徐々に打ち解けていき、和やかなムードになるが、ある出来事でそんな雰囲気が一変する。
ここからの展開も手に汗握る感じでよかった。ハワードいい奴じゃん、からのやっぱヤバい奴!
展開としてはベタだが、演出のうまさと俳優の演技が相まって濃密な緊張感が生まれていく。
ただ、勿体無いと思った点もあり。
ハワードは実は殺人鬼でした!という展開なら、やっぱりシェルターの何処かから白骨化した遺体が出てくるとかじゃないと。
死体というブツが出てこないとハワードの殺人行為が曖昧になってしまってちょいとパンチが弱い。エメット殺害のシーンがスピード感があり良かった分、少し残念だった。
クライマックスのSF展開は正直蛇足だと感じた。ハワードからの逃走による緊張感に比べると、宇宙人に怖さが足りない。
しかも最後は手作りの火炎瓶であっさりと…ちょっと拍子抜け。
元々は『クローバー・フィールド』の続編ではない、別の企画の脚本だったらしいが、確かにこれは『クローバー・フィールド』でなくても良いかも。
前作を期待している観客から「こんなのクローバー・フィールドじゃない💢」という感想が出るのも致し方ないか…。勿論『クローバー・フィールド』のタイトルが入るだけで興行成績が大きく変わるのだろうが…
SF要素がなくてもしっかり面白かったので、どうせ宇宙人オチにするのなら、もっと絶望的な恐怖を与えないと映画全体が尻すぼみになってしまうな、と。
エンディングはかなり好き。人生に逃げ続けてきた主人公が、最後は自ら戦いを選ぶ。これまたベタだけどクールじゃないですか。
デイミアン・チャゼルがどれだけ関わっているのかはわかりませんが、彼の作品はどれもエンディングがビシッと決まっているので、観ていて気持ち良いです。
世界滅亡の危機という世界設定の中で、たった3人の登場人物を使い、ミニマムなサスペンスを展開するという意欲作。個人的には大満足です!