ダンケルクのレビュー・感想・評価
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時空がゆがんだりはしない
戦勝者側の転機、功労者への敬意を表現する側面が強いので、ちょっと感情移入しにくいかもしれません。英国の方は語り継がれ習ってきた歴史なので思い入れが強いシーンが多いだろうことは伝わってきます。空軍機のラストシーンが美しい。
ノーランらしい劇場型の体感映画
個人評価:4.0
逃げる、攻める、助ける。三つの登場人物の時間軸。ノーランらしく時間を操作し、見る側に考える事と、場面を繋ぎ合わせる楽しさを与えてくる。
ノーラン作品常連のキャストも見応えあり、また初起用のバリー・コーガンも、彼らしいキャラクターでいい味を出している。
ノーラン作品らしい劇場でこそ、本当の楽しみ方が出来る作品だ。
マスターベーション以上のものが…。
ダンケルクの戦いとなっているけど、順次撤退でカモになる恐怖。臨場感、圧倒的はもちろんあります。が、テーマパークに行きたい人はいいんだろうけど、映画としてはやはり鑑賞して何が残るか。戦争体験「したかのように」シアターから出てくる人を生み出すだけ。あぁ怖かった。楽しかったと。アトラクションですね。人物もテーマも浅くて、最終的には撤退オメデトウ&死んだ少年も報われました。プロパガンダで帰還お祝いですという。
陸海空の時間軸もノーランは方法論は面白いけど、あまり結実して唸るというのがコレに関しては無かったかな。むしろ、没入感への意図が出過ぎてて、そっちが気になるという皮肉も。特に音がね、宣伝としてはそこが特徴なんだろうけど、音楽も含めて常に製作者が先行してる感じで怖いぞ!、起きるぞ!と出来損ないのホラーのよう。
メメント、インターステラーは大好きなのは、人間の本質に迫っていたから。生き残りに必死なんて当たり前で、兵士に感謝とか挙国一致で乗り越えたとか、騒ぎ出す輩を生み出しそう。アカデミーで激賞と、幼稚さで共通するからノーランも映像職人以上のものは無いんだろうな。残念だけど。まぁそれだけでも大した才能ですが。子供的大人向け。
実は大した事が起きてない
見せ方は巧いので最後まで観れてしまうのだが、よくよく考えてみると大した事は起きてない。脱出作戦というとキスカのようなドラマチックな展開を予想していたので拍子抜けしてしまった。
調べてみると、包囲していたドイツ軍がドイツ軍側の事情で手をこまねいてて、普通に1週間ぐらいかけて撤退してる。大量の民間舟が助けたというのも誇張があって、実際は沖合の大型戦艦までピストン輸送が主だったという。どうも国民を鼓舞するために美談に仕立てたものだったらしい。
派手な戦闘もないし、ドラマチックな脱出作戦もなしで、ここまで観られる映画を作るクリストファーノーラン監督の凄みを感じるけど、やはりもの足りない。
リアル志向
これはきっと劇場で観るべきやつ。
体験型というか、忠実に描いた「ダンケルクの戦い」に身を投じるというか。
きっとIMAXでなら、薄いスクリーンのすぐ向こうで起きてる事を見るような
歴史的な出来事の仮想体験ができたことだろうと思う。
ただ僕が見たのは自宅のテレビ。
映像をものすごくこだわってつくったんだな、ってことは伝わるけど
分かりやすいストーリーがないせいでちょっと退屈してしまった。
もちろん、名もなき人々が生きて帰るってところが大事なわけなんだけど。
僕ら日本人が沖縄戦や東京大空襲、そして広島・長崎に特別な想いを馳せるように
欧州の人たちにとっては「ダンケルク」が大事なのはよく分かった。
まあ敢えて誰かに勧める価値はないかな。
ノーラン節戦争映画
リアル思考なのはわかるがいまいちな作品。ノーランはアクションシーンを魅せるのが下手だと感じていたが今作はカットバックが上手くいってない。時間をちょいずらして陸、海、空と描いているがいいシーンですぐにカットバックして主観がかわるため感情移入ができない。わざと感情移入させないようにしてるのかもしれないがこの時間軸ずらし意味あるか?
ハクソーリッジと比較するとメルギブは画面内で何が起きているかを俯瞰したカットで位置関係をしっかりさせて撮っている。今作は駆逐艦が沈むシーンや、船内が浸水して溺れ死ぬシーン、なにがおきてるのかいまいち伝わらない。
そして、どう見ても500人くらいが脱出したようにしか見えない。CGが嫌いならエキストラ4万人くらい使って海岸にもっと兵士並べたほうがいい。
アイデアや拘りはさすがノーランなんだろうが自分はいまいち好きになれない。
【視点】
歴史は時に客観性を失うことがある。
現代であってもだ。
クリストファー・ノーランは、この映画を壮大な救出劇の成功の物語、つまりカタルシスのような高揚感より、兵士達が追い詰められ逃げ惑い、それを民間人が助ける姿を見つめることによって、戦争の背景に潜む不条理を描こうとしたのではないか。
英仏軍はポーランド侵攻を成功させた独軍を、この時点でも相当過小評価していたのだ。
だから、オランダが占領されてもなお、独軍の電撃的な攻撃に対して後手後手に回るだけで、ダンケルクに追い詰められてしまったのだ。
ダンケルクの救出劇のために、カレーなどでは多くの英兵が命を落としている。
また、英空軍の活躍が、この脱出劇成功の大きな要因のひとつとされているが、捕虜となった英国人パイロットから類推できるように英空軍の被害も相当なものだったとされている。
新聞は、成功物語として報じた。また、この作戦による人的資源の確保は、その後の反撃に非常に重要だったのだと後に評価もされている。
だが、そもそも戦争に見通しの甘さは致命的だし、本当に語り継ぐべきは、なぜ40万人もの兵士が、ここまで追い詰められなくてはならなかったのかという緻密な分析ではないのか。
犠牲者は常に前線の兵士なのだ。
だから、クリストファー・ノーランは、この後世に語られる救出劇の高揚感を最小限にとどめ、名も無き兵士達や、徴用された民間船舶の人々の物語として表そうとしたのではないか。
不時着させた航空機を焼き、捕虜になるパイロットも同じだ。
命を賭して多くの兵士を救ったからといって、必ずしも英雄として祀られるわけではない。
名を残すのは時の政治家や軍の高官だったりする。
チャーチルが40万人の命を救ったのか。
それを疑問視するような発言も散りばめられる。
民間船のキャプテンが、自分たちの始めた戦争に、多くの若者が送り込まれて、それを助けなくてはならないのだと言う。
これが、語り継がれるべき視点ではないのか。
取り返しのつかなくなるまで気が付かないのは、政治の常だ。
先日見たNHKの太平洋戦争のガダルカナルの戦闘の悲劇も、見通しの甘さ、客観性の欠如など、大本営の大失態が要因だった。
そして、兵士は見捨てられた。
多くは怪我、病気による死と餓死だった。
ダンケルクの兵士は見捨てられなかった分、良かったのかもしれない。
しかし、見通しの甘さ、独軍を過小評価してしまったことによって失われた命は計り知れない。
これは、だから、映画の最後のテロップ「ダンケルクの戦いで運命が変わってしまった人々に捧ぐ」に繋がるのだ。
まさに今がダンケルク状態
クリストファー・ノーラン監督、脚本、制作、2017年公開。第二次世界大戦下の実話に基づき、ドイツ軍に海沿いの街ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍を救出するために、イギリス軍が民間船をも動員しながら実行した作戦が描かれています。
今回は、ノーラン監督新作『TENETテネット』の公開前にIMAXシアターでの上映があり、そちらで鑑賞しました。
戦争映画は、これまで幾つか鑑賞していますが、過去のものと明らかに異なる点は、所謂「ヒーロー」不在ということでした。史実が忠実に再現され、銃撃戦によるエンターテイメント的要素は少ないのですが、リアリティが追求されたストーリー、映像によってIMAXシアター効果も重なり、正に自分もダンケルクの砂浜で死の恐怖に怯える感覚に陥りました。
まさに自分が派遣された兵士の一人に。ダンケルクから脱出し、生き延びて、再び国のために闘う。死は受け入れているが、無駄死にでは無く、国のために死にたい。軍の機能として生きることが自分のアイディンティティと思える。
鑑賞後、戦時中の日本や国を守るために命を投げ出した祖先がいたことにも思いをはせ、感謝の念も湧き上がりました。圧倒的なリアリティを持つ戦争映画によって、今の自分のリアルについても考えさせられました。自分は死を受け入れて、今を生きることが出来ているのか。日本の外交、軍備、政治がどのようにあるべきなのか。戦争は悪、と思考停止に陥るだけでは済まされない感覚が残る映画でした。
量子力学の世界では、未来からも現在、過去に時間が流れているという考え方があるそうです。現在、世界中で行われているコロナとの生活が、未来の人間から見たダンケルクかもしれません。世界の秩序が乱れ、それに伴う恐怖感が人と世論と国を今までと違う方向に動かしていく時代。アイディンティティの確立無しに情報力、判断力、感性が磨かれない時代。逃れられない脅威に追い詰められた「ダンケルク」状態で、人はどうあるべきなのか?未来の自分からの視点で、現在を捉えると、コロナに怯えるだけで思考停止に陥り、恐怖のままに生きることが、最も死(自分の時間を生きていない)に近くなるのでは無いかと思います。恐怖や不安を煽られる状況でこそ、自分の在り方を確立し、それに従った生活を送ることで、救われる(ダンケルクを脱出できる)と未来の自分は、知っているのでは無いでしょうか。
映画最後の脱出シーンで感じた爽快さと生きることへの喜びは、今も心から離れない感動であり、未来の自分にも残り続けていると信じています。
タイトルなし
セリフも少なく、ドイツ軍に包囲された連合軍のダンケルク海岸からの撤退だけを描いたシンプルな内容ですけど
「陸」の1週間
「海」の1日
「空」の1時間
それぞれの時間軸を並行させ物語を描いてしまうのはノーラン監督とノーラン組の素晴らしいところ
3回目の鑑賞でIMAXフル画角で観ることが出来たんですが、フル画角の映像は圧倒的でしたし、腹の底に響くような音響は本当に素晴らしい体験でした。
映像はもちろんなんですが、久しぶりに観た本作の特に好きなシーンや表現をあげてみようかと思います。
本作で唯一、名前で呼び合う「海」に出てくるジョージ。ジョージを演じるのは、ダンケルクの翌年公開した“聖なる鹿殺し”で、邪悪なスパゲッティシーンでお馴染みになったバリー・コーガン。
本作ではノーランの意向でほとんど流れることのない血。けれどジョージ、、、
そして、ケネス・ブラナー演じる海軍中佐の口から何度か呟かれる『Home』(劇中では故郷と訳)
後半呟かれる『Home』のシーン。
それまでこちらの不安を煽る音楽からの、安らぎと希望を与えてくれる音楽への流れと船団。安堵も束の間、直ぐに不安を煽る音楽に戻る、この流れはゾクゾクです。
「敵は太陽から現れるぞ」
顔は見えずともその声色を聞いただけでもおー!となってしまう、マイケル・ケイン。
マイケルケインと共に闘った、先ほどの直ぐに不安を煽る音楽に戻ってからのトム・ハーディの行動とスピットファイアの赤く染まるシーン、、別シーンから流れるセリフと共に映し出されるトムハの全てを背負った背中が渋すぎてまた惚れた。
そして、映像は本当に大好きなんですが、
劇伴も大好きな作品。
ハンス・ジマーの劇伴のなかでもトップクラスに好きなのがダンケルクのサントラ。
不安と絶望、希望と安堵を描くその音楽は何度聞いても泣けてしまう。
キリアン・マーフィの弱々しい姿と表情
マーク・ライランスの冷静で頼りがいのある顔と表情
ジャック・ロウデンの高い鼻と濡れた髪
まだまだ好きなところは沢山あるんですが
この辺りで。。
それと、グランドシネマサンシャインのIMAXの席について少しだけ。
「ダークナイト」をIMAXスクリーンで観たときは、プレミアムクラスを選択しました。
プレミアムクラスから見えるスクリーンの迫力は言うこと無しでしたが、若干、他の方の頭などが視界に入ることがあったので、
本作では一番後ろに位置するグランドクラスを選択。一番後ろだと迫力に欠けるかと思いましたが、全くの杞憂。
スクリーン全体が見渡せ、高さ18.9mの上下がしっかりと視界に収まるし迫力も満点。
シートの前で、他のシートとは区切られているのでスクリーンを遮られることもありませんでした。
値段は少々高めですが、劇場内で使えるミールクーポンも含まれているし、フル画角の上映はノーラン作品以外は無いでしょうから、
「TENET」は迷わず、グランドクラスを選択します😊
あらすじを知ってから観たかった
戦争を肌で感じました
良くも悪くも人間らしい感情があり、登場人物の言動に対して「この人はどういう感情なのか」「もし自分なら同じような行動をするのか」と考えるシーンがいくつもあり、楽しむことができました
気にならない方は気にならないと思いますが、話の中では細かい時代背景が分からず、落ち着いて観る事が出来ませんでした
観終わった後に気になってあらすじを調べて、先に知っておきたかったと思いました
余談ですが、今回再上映のDolby Cinemaで観たところ、銃声音が大きくて毎回ビクッとしてしまいました…
迫力があり良いのですが、周りの人に迷惑をかけてしまったのが気がかりです
IMAXでド迫力
第二次世界大戦時におけるドイツ軍の大失敗で有名。40万人の連合軍敗残兵力を包囲したものの、みすみすドーバー海峡の対岸に逃し、連合軍壊滅の機会を逸した場所ダンケルク。
この出来事を、連合軍側(主に英国側)から描いた映画。
一方からの戦史なので、我々日本人からすれば、彼らに都合よく作られた映画に見えるかも…。
しかし迫力満点の映像は、体験して良かったと思えるもの。
包囲される側は極限の状態まで追い込まれた状態。延々そういった戦争の悲惨さが描写される。そしてクライマックス、差しのべられる救援の手。何十万人もの兵士たちの喝采。一気にカタルシスを得る事ができます。
クリストファー・ノーラン監督といえばIMAX。この迫力の映像はぜひIMAXシアターで見るべし!
命を救うことの意義
戦争映画としては異色。そこが面白い。
まず、最初から最後まで「負け戦」……撤退の戦い。その表現の仕方が秀逸。
敵軍の作戦や意図など全く描かない。ただ、銃撃してくるメッサーシュミットや爆撃機の落とす爆弾・魚雷が恐ろしい!
必死で生き延びようと逃げる英兵の1週間の主観がベースに進み、そこに船を出して救いに来る民間人の1日と、スピットファイアーで撤退を援護する英空軍パイロットたちの1時間がかぶってくる。
「ダンケルクの戦いの謎」などにも全く触れない。なぜ、ドイツ軍の機甲師団が海まで追い詰めてこなかったか?フランス海軍はなぜ助けに来なかったのか?
そんなこと、今を逃げている英兵には関係ない。
まさに、戦争を「体験する」映画だ。だから、ドルビーシステム、IMAXが必要だった。
ダンケルクの海岸から命からがら逃げ帰って救われた多くの英兵・フランス兵に素直に喜びの声を伝えたくなる。遊覧船やヨットで助けに来るドーバーの人たちは気高いけれど、愛国映画ではない。
「生きて帰ってくれてありがとう!」これが戦争の現実のなかで言いたいこと。
日本には、こんな戦いはあったのだろうかと思う。戦争は醜い、決して許されないというけれど、国家はいずれ戦争を用意する。人命より、体制維持が大事だから。
もし、戦争が始まったとき、こんな人命への戦いに参加をしないと後悔する。
圧倒的迫力
IMAXで鑑賞しました。
圧倒的な臨場感で戦争の凄まじさが伝わり「今の時代に生きていて良かった。」と思える作品でした。
時々、顔が汚れたシーンで登場人物の認識ができない時がありました。
もし、中国人と韓国人と日本人が入り交じって混乱があった場合、人種の区別を正確に判断ができるか自信はない。
そして正しい選択ができるか自信がない。
どの登場人物も主人公として作品が作れそう→同じ境遇でも千差万別。それぞれの物語があるのだと感じました。
映画館(IMAX)で鑑賞できて良かったです。
とりあえず空軍には入りたくありません。(笑)
ダンケルク
IMAX/4D/Dolby 鑑賞しました🎦
クリストファー・ノーラン作、体感型映画🎬
ディズニーのアトラクションのように空中戦で座席が揺れたり、海戦でミストが吹き出したり、戦争映画なのに不謹慎だなぁと思いながら、結構五感で楽しめました。
ジャムパンがうまそう
ダンケルクについての予備知識が一切ない中見てしまったので、初めから終わりまで何もわからなかった
誰が誰で、何をしていて、何を思っているのかひとつもわからなかった
こんなことは初めてだった
でもこれ予備知識あってもおもしろいんだろうか
ドキュメンタリー的な感じで観る映画?
とにかく、ジャムパンがうまそうだった
脚本家が逃げたんだろうか?
正直言ってしまうと、映画になってない。こんな作品初めて見る
戦場の雰囲気や迫力は非常に良かった。3つの話を絡ませるのも面白かった。でも各ストーリーの整合性が全然合ってない。迫真度を求める為に、時系列の異なるシーンを交差して緊張度を高めてるけど、改めてそのシーンの整合性を別のシーンから見ると疑問が湧いてきて、そこに気を取られる事が何度もあった。そうこうしてるうちに各視点でのシーンが一つに重なって盛り上げようとするんだけど、それより前のシーンの方が派手な演出が何度もあったので、3つの物語が繋がっても何も感じない。そもそもストーリー的に盛り上げようともしていない。でも映画として納めるためにそれらのストーリー達が凄かった、と後付けで演出する事でなんとか映画っぽく見せて終わらせてる。うーん、なんか変な映画を見てしまった
しかし、レビューを書こうとここに来て、この作品がアカデミーで凄い評価されててちょっと驚いた。一体どこがそこまで評価されたんだろう
4Dで見たけれど、飛行機のシーンで揺れる事が多くてちょっと酔った。4Dらしさを感じるには良い作品かもしれない
IMAXフルサイズで見なければ・・・
先程 大阪エキスポシティフルサイズIMAX4Kレーザーで観てきました。
これは このサイズで見なければ良さが分からないかも知れません。酷評の方も居られますが この映画は ストーリーよりも 今までにない体感をを得られる貴重な映画です。
新幹線代を払ってでも見るべき作品です。
IMAXとDolby Cinemaを体感するための作品
クリストファー・ノーランといえばIMAX。話題作「TENET」の前宣伝を兼ねて再上映されているので鑑賞。
ドイツ軍の包囲網からの命からがらの撤退戦なのに肝心のドイツ軍の姿が全く映らないという実録戦争映画としては奇抜で斬新な試みだが、代わって戦闘の緊迫感を音で伝えようとしているのが本作の特徴。
アカデミー賞で音響部門の賞を複数取っただけあって腹の底からズンズンと響いてくるような戦闘音などは、その辺のスペクタクル映画とは一線を画す。
映像的には、燃料が尽きたスピットファイアが黄昏時の海岸線をゆっくりと滑空している様が美しくて印象的だった。
終盤、帰還した兵士達に毛布を配っている盲目の老人が一人だけ顔に触れて自分の息子かどうかを確認していたシーンも「戦争とは何ぞや?」を問い掛ける、なかなか示唆に富んだ深いメッセージ。
キャストの中では、ボルトン中佐(ケネス・ブラナー)が切迫した場面でも常に大局観を見失わないリーダー然としていてカッコ良かった。
ただ、陸海空それぞれの作戦がごちゃごちゃになった展開は見づらいし、分かりにくいのがマイナスかな。
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