「こじらせた大人が見る映画ぜひ字幕で」レゴバットマン ザ・ムービー Lychee Yangさんの映画レビュー(感想・評価)
こじらせた大人が見る映画ぜひ字幕で
実写では絶対に出せないレベルの「こじらせバットマン」が、いかにして周囲をリスペクトし自分に向き合おうとするかを描いた物語に、リアルの世界に住む「原理主義的正義感」を持ったオタク気質で、ひたすら知り合いを増やし続けることに邁進する多くの現代人には多少耳の痛い作品ではないかと、大袈裟ではあるけれどもそう思います。まあ、世界的に見てもそんなこじらせた人がいかに多いか(もちろん私も含め)バットマン/ブルース・ウェインを通して実感できます。大人が見ればの話ですが。
だから、実写シリーズのダークなイメージだけがすべてではないと、受け入れましょう。
そんな意味ではいい作品ではあったけど、この世界観を共有できる世代って意外と年齢層が高いんじゃないか?
子供にとってはあのハチャメチャ感とおもちゃチックな画像に興奮しハッピーエンドで締める娯楽作品だけど、レゴで一人で遊んだ大人としては、自分の知識に全てを託し孤独に戦おうと周囲を遠ざけるバットマンを知れば知るほど、痛い自分を見つめなければならないことになる。子供とは絶対に見方が違う。レゴバットマンはボッチ世界に対するアンチテーゼなのかもしれない。かつてレゴや河田のダイヤブロックで遊び、プラモデルに小遣いをつぎ込み、長じては結婚もせずもしくはバツになるほどに趣味の世界にのめり込んだ協調性に欠ける自己中な大人には、実に耳の痛い映画です。だから、かしこくて健全な子供以外は見てはいけません。本当はバットマンって痛いんです。正直なところ、あたりまえの子供にこの作品を見せるのは考えものかもしれません。真意が理解できるまで知能が成長してからにしてください。
そこで配給元には考えてほしい。エンドテーマに十年一日のレベルのJポップアイドルを使う必要はまったくないし、耳障りでした。あれがなければ星4つはつけられたのに。ですから、ちゃんとこの作品に浸かりたいならぜひ字幕で。日本語版はエンドテーマのせいでいい気分半減・雰囲気ぶち壊しでした。今回は近所のシネコンで吹き替えだったけど、字幕で見られるところにもう一度見に行きます。