「軽妙ながらも3人の矜持がしっかりと刻まれている」ジーサンズ はじめての強盗 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
軽妙ながらも3人の矜持がしっかりと刻まれている
いぶし銀のイメージとは裏腹に、ザック・ブラフ(監督)とセオドア・メルフィ(脚本)という手堅いうまさを持った俊英が参加することで、軽妙ながらしっかりとした作品に仕上がっている。ケイン、フリーマン、アーキンらの身体から滲み出てくる“老い”を笑うのではなく、彼らの友情やブレない矜持を大切に描きつつ、次の世代を継ぐ者たちとの心温まる交流をも丁寧に描く。こういう分かる者どうしが目配せし合いながら強盗計画を紡ぎ上げていく姿勢がなんとも心地よく、痛快だ。中盤、ケインが銀行強盗を発案して仲間を説得するあたり、電話を用いて画面分割しながら描写を進めていく流れが、ケインお得意の往年のスパイ映画の小粋なやり取りを思わせてニヤリ。それも観る者に「ああ、こういう関係性を数十年にわたってずっと続けてきたのだなあ」と納得させるところが凄い。かくも彼らの演技が点(瞬間)ではなく継続性のある線として浮かび上がってくるところに軽妙ながら重厚な巧さを感じた。
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