ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
全491件中、381~400件目を表示
奇跡の結果
映画鑑賞の醍醐味の一つにビッグな名匠とビッグな名優の豪華タッグがあるが、今作ほどの豪華タッグはそうそうお目にかかれない。
クリント・イーストウッド×トム・ハンクス
遂にこの二人が組んだか…!
そんな二人が挑むのは、未だ記憶にも残る“ハドソン川の奇跡”。
日本でも英雄美談として報じられた。
この二人が組んで単なる称賛映画を…?
勿論それだけではなかった。
ただ自分が知らなかっただけかもしれない。
奇跡の裏で、英雄が苦悩していた事を…。
ハドソン川への着水。
全員助かったからいいようなものの、もしかしたら大惨事になっていたかもしれない。
事故後の調査で、シミュレーションでは引き返す事も出来た。
より安全な選択もあったかもしれない。
サリー機長の判断は本当に正しかったのか。
言わせて貰えるなら、何が正しくて何が間違っているかなんて、はっきりとした答えは無い。
シミュレーションは正しいのだろう。
それは当然。シミュレーションなのだから。
不測の事態はシミュレーションでは計り知れない。
日常生活でも仕事上でも何でもいい、誰の身にも覚えがある筈。
行き詰まった時、テンパった時、シミュレーション通りに行動して対処出来るだろうか。
自分は無理。
焦りながらも、瞬時の判断、行動で、最善の打開策を取る。
全ていい方向に行くとは限らない。
でも結果的にそれで良かったのなら、こう思える。
自分の経験から判断した行動は間違ってはいなかった、と。
調査委員会には苛々した。
事故なので調査はしなければならない。
誰も責任を取らないより、誰かが責任を取る方がいい。
でも、その矛先を全てサリー機長に向けるのはお門違いだ。
だって、結果は出ているではないか。
155人の尊い命が救われた。
これが何よりの全て。
その上で、自らの仕事を全うした。プロフェッショナルとして。
それは間違っていなかったのだ。唯一無二の最善だったのだ。
英雄と祭り上げられた人物の苦悩の掘り下げは、「父親たちの星条旗」「アメリカン・スナイパー」同様、イーストウッド作品に一貫するテーマ。
何度も挿入される事故の回想シーンは、緊迫感を与えるだけではなく、機長にとってのトラウマを、観る側にもまじまじと鮮烈に印象付ける。
英雄としての表面と一人の人物としての内面を、「ブリッジ・オブ・スパイ」でもそうだが、トム・ハンクスが見事に体現する。
そして奇跡の結果はサリー機長一人だけのものではない。
あの時尽力した“多くの英雄”が居たから、僅か24分間の救出が遂行出来た。
皆がやるべき事をやり、最善の道を取ったからこそ起きた奇跡。
それらを無駄無く巧みに描き、副操縦士アーロン・エッカートの洒落たラストの台詞で締めるまで、何とコンパクトにまとめた96分!
ある意味、これも奇跡!
さすがの良作。
…でも、イーストウッド映画がまたキネ旬1位に選ばれるのは何かヤだな…。
選ばれるんだろうけど…。
安全ですよ、ここは劇場ですから。
クリント・イーストウッド監督作品は「ハズレなし!」と思って、観に行ってきました。
やっぱり正解でした。
トム・ハンクス演じる機長役、もう、ほんとに素晴らしかった。
抑制が効いててね、派手に演じすぎない。クリント監督の演出は、とっても自然体です。
また、以前観た「サンキュー・スモーキング」「エンド・オブ・ホワイトハウス」で印象に残っている、アーロン・エッカート。本作では、緊急事態の中、冷静沈着なキャラクターの副機長役を演じてます。これがまた、いいんですよ。
ちなみにこの作品96分です。2時間切るんですよ、アナタ?!
それで、これだけギュッと中身が詰まっていれば、これは「儲けもん」の映画でしょう。
「ポケモン」探すより、すぐ映画館へGOです!
本作は、事故で二基あるエンジン全てが壊れた旅客機を、ニューヨーク、真冬のハドソン川へ不時着させ、奇跡的に乗員乗客155名、全員が助かった、という実話を映画化したものです。
そういえば、今更なんですが、クリント監督作品って、実話が多くないですか? みなさん。
「父親たちの星条旗」
「硫黄島からの手紙」
「インビクタス/負けざる者たち」
「ジャージー・ボーイズ」
「アメリカン・スナイパー」
これら、すべて実話ですよ。
ふ~む、クリント監督、やはり実際に起こった出来事というのは、フィクションより興味深い、映画化すれば絶対、面白い! という判断をしているんでしょうね。
本作と同じ、旅客機事故を扱った作品として、真っ先に思い浮かぶのは、2013年公開のロバート・ゼメキス監督、デンゼル・ワシントン主演の「フライト」でしょう。
ボク、これ大好きなんです。もう、DVDで何回も見直しちゃったぐらい(ブルーレイディスクだとメイキングも見られてお得感タップリ!)
「フライト」でのデンゼル・ワシントン演じる機長は、本作の機長同様「名人」の域に達したパイロット。でも、仕事のストレス、離婚などの影響なのか、その私生活はもう、ボロボロ。
朝っぱらから、コカインとアルコールで、気分は爽快!ハイテンション。
今日も「イッパツ、キメていこうぜ!」(忌野清志郎さんみたい)ロックスターのノリで、ヒョイと機体を飛ばします。
そうとも知らずに乗りこんだ、乗客が可哀想ですな。あとでえらいことを機長がやらかすんですが、それは映画を見てのお楽しみ。
さて、本作「ハドソン川の奇跡」
トム・ハンクス演じるサレンバーガー機長は、スタッフや仕事仲間から、敬愛と親しみを込めて「サリー」と呼ばれています。
本作の原題は「Sully」なんですね。
2つあるジェットエンジン両方が使えなくなる、という、旅客機としては絶望的な状況の中、真冬、極寒のハドソン川へ、旅客機を「着水させる」という「前例がない」ことを成し遂げたのです。
しかも結果的に全員が生きて、再び家族の元に戻れた。
事故発生から不時着まで、その時間、わずか208秒の出来事でした。
サレンバーガー機長としては、プロフェッショナルとして、乗客を安全に空の旅へお連れするのは、そんなこと出来て当たり前。
どんな事態に陥ろうとも、乗客の命を守ることは、機長として最低限の仕事、義務と捉えている訳です。
このお人柄の素晴らしさ。自分の仕事への誠実さ。
決して自分はヒーローなんかではないのだ、という謙虚な姿勢。
21世紀がはじまって以降、テロや戦争、銃の乱射事件。
嫌になるニュースばっかりです。
精神的にダメージを負っていたニューヨーカーたち、さらにはアメリカ全市民。
そこに2009年1月15日。
この旅客機不時着のニュースが飛び込んできたのです。
彼らにとって「サリー」は、待ちに待った久々のヒーロー。
アメリカ人はヒーロー大好きですもんね。
それも映画や作り物の世界じゃない、実際に奇跡を起こした、生身の人間なのです。
その偉大な功績はまさに「英雄」と呼ぶにふさわしい。
しかし、ここに立ちはだかるのが、事故調査委員会のお役人たちです。
彼らは事故機の状況を、データをもとに再現。コンピューターでシュミレーションを行います。
結果は
「安全に空港に戻れたはずである」
機長は「着水させた」のではなく「ハドソン川に墜落させたのだ」と事故調査委員会は断定します。
世間から、もてはやされ、人気の階段を一気に駆け登らされた、サリー機長。
まさにここでハシゴを外されてしまった訳です。
一転、彼は、155人の命を危険にさらした「容疑者」にされてしまいます。
やがて公聴会で、事の真相が明らかとなってゆきます。
この作品、スリルある導入部、事故発生時のリアルな状況の再現、さらに事故調査委員会メンバーと、機長たちとの密室劇。
これらのシーンが、とってもバランスよく編集されてますね。
本当にうまいです。
それにエンドロールがこれまた、いいんだなぁ~。
音楽好きなクリント監督らしく、ニューヨークの高級ジャズクラブで聴けるような極上の音楽がタップリ楽しめます。
あなたが思うように、僕も一度、サリー機長の操縦する飛行機に乗ってみたいものですね。
ちなみに、本作での事故原因となった、鳥との衝突「バード・ストライク」については、邦画の矢口史靖監督作品「ハッピーフライト」で詳しく描かれております。
こちらも楽しい作品ですよ。おすすめです。
冷静なパイロットと人々の善意が皆を救った
素晴らしい映画です
さすがイーストウッド監督。
雨の日に、ひとり、静かに。
さすがに。。。
映画版メーデー
人間とシュミレーター
着水の決断とその後の死の恐怖を味わう?暇もなく、機長と副操縦士は事件の渦中に投げ出される。その孤独感がリアルでした。
シミュレーションの意味、人が操縦している意味を考えてしまった。
紛れもなく、イーストウッド作品!
良くも悪くもイーストウッド作品!
この捻くれた感じの優しさ、大好きです!
物語の起伏を付けるわけでもなく、感動させようとする訳でもなく、たんたんと進む展開、音楽も控えめ(しかし、独特な世界観)、なのに目が離せず、最後には心にくっきり残る。
また、ドキュメンタリーの一つの在り方としての側面も持ち合わせているのではないでしょうか。
こんな映画を作れるのはイーストウッドだけではないでしょうか?
いつまでもこの人の作品を見続けていきたい、と思える数少ない監督の一人です。
だからこそ、この邦題は許せません。
製作サイドの意図をまるで無視した興行オンリーの邦題の付け方、こんなんだから邦画の配給は腐っているんですな。
しかしながら、イーストウッド監督作品を観ると、ダーティ・ハリーのハリー・キャラハンのキャラはある意味この人の等身大だったのかもしれない、といつも思うのは私だけでしょうか?
最後の副機長の言葉に。
良作でした。
トムハンクスに最近ハマり、
これで連続5作目。
グリーンマイルを観てからの鑑賞。
トムハンクスのさすがの演技はもちろんですが、
クリントイーストウッド監督の演出も良かった。
プロとして最善を尽くしたはずなのに、
現場にいない人たちに、疑いかけられている
機長の気持ちは、身にしみる。。
まぁ、疑うのが彼らの仕事であるから、
それはそれで一貫性ありプロと言えますが。
作品は、論理的で理解しやすい展開で、
スンナリとストーリーもは入ってきて、
最後の台詞も良かった。
リハーサルがほとんどなくて、
ほぼ1テイクで終えていく
イーストウッドの撮影手法、
コストパフォーマンスが良くて、
ムダをしないあたり、
ハリウッド映画らしい。
それにしても監督は86歳とはオドロキ。
トムハンクスも60歳だそうで。
かつ、トムハンクスは、さらに新作が
あるようで、、よく働くなぁ。
プロフェッショナルだな。
命の重さ
ニュースで知っている程度の智識で観ました。映像では機内の緊張感が物凄く伝わったし、バードストライクから着水するまでの映像もリアルだし、乗客の恐怖感が充分伝わりました。バードストライクからのエンジントラブルからの機長の判断、物凄い重圧が有ったかと思う。救援に駆けつけるシーン、感動です!更には最後の逆転ドラマ、ひたすら感動。しかしパソコン並べて机の上だけで片付けようとする人は何故高慢で決めつけだがり屋さんが多いんですかね。現実的視野ではない所で判断して安易な推測で容疑をかけるなんて嗚呼恥ずかしい。現場ではないから、あくまで可能性や確率を見出だす1つの手段であって完璧ではない。
ヒューマンドラマを見事に演じ切ったトムハンクスは流石。又、回りのキャストも素晴らしい。エンドロールで実際の機長や機長の奥さんめ出演されてスピーチしているのも感動しました。
208 seconds
記憶に新しいニュースを描いた作品。
乗員乗客全員無事でも、乗客を無闇な危険に晒したのではないかと、公聴会が開かれることに。
長年培ってきた人間の「経験」、そこから生まれる勘や決断は、方程式で計算できるものではないため、最近は軽視される傾向にすらあると思います。データ、エビデンスを基にしたあらゆる角度からの検証や考察は必要ですが、前例のない状況において、算出できることだけが正解ではないことを教えてくれた事象でした。
どんなに英断でも、着水を可能にする人間の「技術」がなければ、不可能だったのですから。
これからの時代、乗り物はどんどん人工知能による運転に取って代わられるでしょう。しかし不測の事態に、ベテラン運転手を超える判断が出来るようになるのでしょうか。
この作品ほど離陸時に緊張したことはなかったです。数えきれないほど乗っている飛行機ですが、空の旅の安全は当たり前ではないのだと、改めて思いました。
単なる時系列ではない回想録の見せ方は流石です。
全乗客の安否確認が終わるまで安心出来なかった機長の想いに感動しました。
実話モノは何かと退屈になりがちですが、短時間にまとめた無駄のない良作でした。
"A delay is better than a disaster."
全491件中、381~400件目を表示