ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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仕事に正解はない。
自分の判断は正しかったのか、葛藤する登場人物の緊張感が伝わり手に汗握る。もし一人でも犠牲者が出ていたら、それでも機長は英雄と呼ばれたのだろうか?人間の温かさと狡さの対比が面白い。
奇跡と呼ばれた賞賛すべき判断と技能。
バードストライク(鳥との衝突)によりハドソン川に不時着水した旅客機の実際の事故を、イーストウッドが映画化したもの。
正確には「USエアウェイズ1549便不時着水事故」。
映画の主人公は機長のサレンバーガー。
航空事故でありながら、大事故に繋がらなかった数少ないケースとして、化学事故事例集にも載るほど有名な事故です。
離陸直後のバードストライクで両エンジン停止、フライト経験の重厚なパイロットだからこその機転で大事故を防ぎ、航空安全のみならずいろんな業界に影響を与えた素晴らしい成果なのですが、その後の機長の人生は決して幸せではありませんでした。
空軍で戦闘機パイロットとなり、その後旅客機搭乗勤務のさいに役立てようと心理学を学んだ彼、チェズレイ・サレンバーガー氏は、この事故で英雄に祭り上げられました。
当人は「これは奇跡ではなく、自分は英雄などではない。ただ用意し、訓練していただけだ」とその評価を喜んではいませんでした。
事故の翌年には退職し、その後のことは映画のラストで語られております。
バイデン大統領によりICAO(国際民間航空機関)のアメリカ大使に任命され、その翌年には退官。
現在72歳の彼が、いまは安らかに過ごせていたのなら、それが一番の事故対応だと思えます。
パイロットの基本に忠実だったからこそ・・・
ラガーディア空港を離陸し、ハドソン川を左下に見ながら上昇姿勢に入ると、サリーとジェフは緊張がとけ雑談します。この間に、「もしここでもしトラブルが起こったら・・」とサリーは何度も考えたことがあるのでは・・と思います。
可能なら空港に引き返えすのは当然。それがだめなら? ハドソン川への不時着は? 上流から下流だから接水速度が落ちる。水面は穏やか。橋と橋の間の距離は、コースは・・。
高度と距離の感覚も染み込んでいるはずです。
調査官から、どうやってハドソン川への不時着を判断したのか?と訊かれ、サリーは"by my eyeball"(字幕は「私の感覚で」?)と答えると冷笑されます。
amazonでは映画の最後(おまけ)で若い頃、小型機で旅行しようというと怖がる奥さんに、あらゆる事態を想定しているから大丈夫、とサリーが言います。
またサリーは余暇にグライダーを楽しみます。グライダーの飛行は毎回、「今、この高度で戻れるか」を"my eyeball"でチェックし続けます。高度計は低高度ではあてにしません。
両エンジンが停止したとき、空港に戻る指示をする管制官に、サリーは「ハドソン川に降りる」と伝えますが、155人の命を背負った重圧のなか、1分足らずの間にハドソン川へと判断したのは、やはり頭の中にイメージがあったからではないかと思うのです。
あの「奇跡」は常にイマージェンシーを想定して飛ぶ、というパイロットの基本をサリーが忠実に守ってきたからこそ起こり得たのではないか。この映画の一番のテーマはやはりサリーの真のプロフェッショナルさだと思います。
冷静で誠実な機長、迫真に迫る演技のトム・ハンクスがすごかったし、ク...
冷静で誠実な機長、迫真に迫る演技のトム・ハンクスがすごかったし、クリント・イーストウッドの描き方は淡々としているけど、終始緊迫感があり、さすがだなという感じだった。
様々なタイミングと機長の膨大な経験とが起こした奇跡。じんわりと来る感動があった。
それまでの緊迫感がラストのちょっと緩まった感じがまたほっとして良かったなぁ。
生贄社会の構造と奥深い闇。夫Sallyの物語。
内容は、2009年1月15日にアメリカ合衆国🇺🇸で起きた航空機事故によりハドソン川に不時着を余儀無くされた1人のパイロットと事故に関係する人々の物語。好きな言葉は、『ロリィ。愛してる。』(字幕は違う)冒頭のビルに激突する夢を見て何度も自分の行動に煩悶する所で苦悩と葛藤と心ここに在らずという立場が上手く表現されていたなぁと感じました。好きなシーンはやはり、最後の最後まで乗客の安全を確認する所と執拗に心配する所が良かったです。大きな事件や事故には、必ずと言って良いほど二次災害や三次災害がついて回ります。こちらの問題の方が酷く陰惨になる為報道されない事の方が多いのです。人工国家であるアメリカ合衆国だからこその問題が浮き彫りになって短い時間に、よく纏めたなぁと感心します。注目され過ぎて戸惑ってしまう心境や心労が自分の事の様に伝わってきました。機長🧑✈️の判断と行動は素晴らしかったですが、人物や人柄まで良い人だとのすり替えは落とし穴。その問題の異常性を誰もが気が付かない事の方が深い問題で、それを分かっていたのが主人公Sallyだったのかもしれません。正しいモノが必ず認められるのではないといつも以上に感じました。今回は、Amazonプライム・ビデオで鑑賞しましたが、最後のおまけで補足映像作品が非常に面白かった。簡単なSallyの経歴や家族や周りの人達との見方が収録されていてドキュメンタリー感が増し増しで非常に楽しかったです。アメリカ合衆国社会の光と影を覗かせ色んな見方が出来る素晴らしい映画でした。終わり方も複雑で分かりやすく素晴らしい。それにしても、1月のハドソン川は寒そうです。ホント色んな意味で奇跡です。
映画を通して偉業をクールに再検証するイーストウッド監督
クリント・イーストウッド監督による2017年製作の米国映画。
原題Sully、配給ワーナー・ブラザース映画。
トム・ハンクスによる抑えに抑えた演技とイーストウッド監督による英雄視しないクールな演出で造形された機長というプロフェッショナル像が、物凄くカッコ良くて、拍手!
実在のサレンバーガー機長の準備を重視し、頻回チェックを怠らない用意周到さを、きめ細やかに表現した脚本も秀逸に思えた。やはりというべきか、プロ中のプロは、基本的な細かい部分の積み重ねを長期間行なっており、事故ケース研究や事故調査も行なっていたらしく、成程と納得させられる。そして、軍隊時代の緊急着陸の成功経験の映像の挿入。自分はあの経験があったがために、判断を誤りハドソン川に降りたのか?機長の自問自答が説明無しで映像的に示されて、実に上手い。
機長の判断が適切であったか、それを検証するコンピューター・シュミレーションも利用した国家運輸安全委員会の規模と参加人数の多さにはとても驚かされた。当初、他パイロットによる模擬操縦も含めて安全に空港に戻れたとの結果であったが、人間なら仕方がないロス時間35秒も考慮すると、どのパイロットによっても安全に空港には戻れなかった。
機長糾弾の委員会の姿勢は事実とは異なるらしいが、この検証の流れは事実らしい。大変に映画的な展開であると共に、上手くいったものを結果オーライとせず、敢えて再度科学的に検証しようとする姿勢に大いなる敬意を覚えた。これがあったからこそ、エンジンを完全喪失の旅客機をハドソン川に不時着させた機長の凄さが、より明確になったところがある。
委員会の描写の丁寧さと事実改変を考えると、監督らは、この映画を通して、安易な英雄視は、逆の悪玉扱いも含め厳禁で、この様な検証過程こそを、大切にしていかなければならないと訴えている気もした。それこそが、クリント・イーストウッド監督が、最近ずっと映画製作を通して行ってきていることだから。
蛇足だが、この映画のタイトルで『・・・の奇跡』という邦題をつけた人間の品性や知性を疑ってしまった。クリント・イーストウッドをはじめ製作者は多分、英雄とか奇跡で安易に終わらせてはいけないと考え、この映画を作っただろうに。映画製作の意図をあまりに踏み躙っていて、悲しくなってしまった。作り手のプロ達に最低限の敬意は持つべきと思った。
製作クリント・イーストウッド、フランク・マーシャル、アリン・スチュワート、ティム・ムーア、製作総指揮キップ・ネルソン、ブルース・バーマン。
原作チェズレイ・サレンバーガー、ジェフリー・ザスロー、脚本トッド・コマーニキ(博士と狂人等)。
撮影トム・スターン(MEG ザ・モンスター等)、美術ジェームズ・J・ムラカミ、衣装デボラ・ホッパー、編集ブル・マーレイ、音楽クリスチャン・ジェイコブ、ザ・ティアニー・サットン・バンド。
出演はトム・ハンクス、アーロン・エッカート(「ダークナイト」で検事ハービー・デント)、ローラ・リニー、クリス・バウアー、マイク・オマリー、アンナ・ガン、ジェイミー・シェリダン。
圧巻
ドキュメンタリーは良いね。厳しめにつけてこれ。みんな演技がすごい。
変な感情も入ってこなくてよい。
短くてバランスがいい。
映像も見やすい。
ストーリー 95点
配役 93点
音楽・映像 90点
全体 94点
この事故で乗客が助かったのはこの機長だったから
どうしてハドソン川に着水着地
をしなければ成らなかったのか。。
事故が起きて滑走路に着陸出来ないと
判断し乗客を守るために
着水する事を決断
これは長年培った経験と
彼の欠かさず行う安全を考えて
のシュミレーションが功を奏した
冷静な判断は
常日頃の取り組みかたで
決まってくる
この機長のお陰で乗客全員助かった
…本当に奇跡的なこと
機長の判断で運命が変わる
シンプルな展開で直向きに真実に迫る
本作は、劇的展開に感動し号泣する作品ではなない。イーストウッド監督らしいシンプルな展開で、本物の感動で与えてくれる、自然に涙が溢れてくる作品である。
2009年に実際に起きた航空機のハドソン川不時着事故はまだ記憶に新しく、機長の行動がマスコミで絶賛され英雄視されたのは鮮明に覚えている。
本作は、ハドソン川不時着事故を検証する事故調査員会を舞台にしている。果たして不時着は本当に正しかったのか?飛行場に戻ることができたのでは?との事故調査員会の追及に、主人公である機長(トムハンクス)は、英雄から一転して犯罪者扱いされるようになる。しかし、彼は、苦悩しながらも、自分の取った行動を信じ、副機長らに支えながら、自らの力で、真相を究明していく。
話は、不時着事故の真相究明にフォーカスされている。他の話も盛り込んで派手で劇的な展開にすることはいくらでもできただろうが、そんな寄り道は一切せずに、ひたすら直向きに不時着事故の真相に迫っていく手法が秀逸。ドキュメンタリーを観ているような臨場感があり、真相究明までの過程に途絶えることがない迫力がある。
逆境に苦悩する複雑な機長の心情をトムハンクスが物静かな抑制の効いた自然体の演技で好演している。過剰な演技は一切なく、その分リアリティがある。
不時着事故のシーンは迫力があり、我々も事故現場にいるかのような緊迫感、臨場感がある。沈みゆく飛行機のなかで、最後まで飛行機に残り乗客の安否を気遣い、救出後も全乗客の無事を確認しようとする主人公の強い責任感には胸が熱くなる。
ラストの公聴会シーンでは、主人公への疑惑が数字に基づいて解明されていく。今まで静かだった主人公の凛とした主張が清々しく、主人公の気持ちに寄り添うことができた私の目からは自然に涙が頬を伝わって流れてきた。
リアルな手法はラストまで不変だった。不時着事故の真相に迫るという作品コンセプトに対するイーストウッド監督の揺るぎない信念を感じた。
ラストで、副機長が7という数字を使った一言で心和ませてくれる。7といえば、アメリカ独立記念日が想起される。機長、副機長、不時着事故で乗客を救出した人々、の行動は、どんな困難な状況でも決して諦めることなく活路を開いていくというアメリカの建国の精神であるフロンティア・スピリットを体現している。フロンティア・スピリットが脈々と受け継がれている。副機長の一言には、そういう意味が込められていると感じた。
普通に満点でいいでしょう
もともとドラマチックな話ですので基礎点高いですが、イースト選手の抑え気味ながら要所要所をサスペンスフルに仕上げた手腕はさすがです。
無駄に2時間超えの映画が多いのに、こんな大事件映画なら2時間半でもいいですよ。
ハンクス選手は安定の演技当然として、副操縦士の誠実さあふれる演技が好感大です。
ちょっと話盛ったみたいだけど。
人生は一度しかない
私は飛行機恐怖症です。
この映画は低高度でエンジンが完全停止した航空機が川に不時着するはなし。それだけである。
その描写が異常にリアル。
これ映画館で観なくてよかった(笑)
でもこのリアルさで、感じたのは飛行機恐怖症の原因についてだった。
自分は生きることが目的化しているのではないか?
そう感じたんです。
飛行機恐怖症ってある種ノイローゼのようなものなのかもしれないと。
物語はサレンバーガー機長の人生を明確に描写します。
明らかな専門職にも関わらず、一度事故を起こしたら資金繰りに困る状態に陥るのはとても不公平に感じたし、
彼の真摯な仕事への姿勢をみて
逆にそこまで真剣に、自分は生きてるだろうか?と感じてしまった。
飛行機恐怖症の原因は実は自分の人生に真剣に向き合わないことが原因であると。
パイロットにはどうひっくり返っても自分はなれないなー。
機長は技術をもった専門職、特殊な立場の人です。
ただ映画は彼を特別視せず、普通の人として描いている。
こういう世の中から素晴らしいといわれている人物の人生をみると、自分が卑称に感じられ辛くなることも多々あるがこの映画はそういう感じはしなかった。
あくまでもただの専門職の男なのだ。
そこが良いな。
圧倒的機長の人間力の高さを描いた作品。
追憶を辿る系の映画が苦手な人にもおすすめの作品。
というのも、テンポが良い作品です。
私はとりあえずテンポが良い作品、シナリオ構成が良いと思った作品は高評価になってしまいます。
まずタイトル通り、この作品は主人公として描かれる方の人間性が本当に涙が出るほど暖かく強いです。
機長として乗客の身の安全を第一にずっと考えていて、それに伴って行動も真摯に誠実に一つ一つ冷静に、ミスなくこなす様子は見ていて心震わされます。
病院で関係者に「155人全員無事だ」、と主人公のサリーが知らされた時、何度も彼は言葉で「155人、155人か…」と吐露していて、ハドソン川に着水し、時間が流れ、ようやく彼が心の荷を下ろせた瞬間、そのシーンのトムハンクスさんのまさに「安堵」の表情が印象に残っています。
個人的にその中でも飛行機の脱出トランポリン(?)滑り台を機体本体から切り離して飛行機と道連れにならないようにするシーンはなかなか事故の様子を細かく作り込まれていて印象に残っています。
最後の公聴会のシーンで、ブラックボックス?機長と副機長が着陸するまでの音声を公聴するシーンではその様子がノーカットで描かれ、機内で何があったのか、主体で描かれます。追憶を辿る1時間30分ほどの映画、一つ一つの追憶パーツをこの5分前後(?)でばーーっと音声、映像で演出していくため、何が起こって2人がどうしていたのか、わかっているのに目が離せなくなる、トムハンクスさん演じる機長「衝撃に備えて」の重みがすごいシーンでした。
機長と副機長の表情の変化も素晴らしかったです。
美談として描かれた映画といえばそうなのかもしれません。私はこの作品の題材となった、実際の事故を目撃していません。しかしその上で、多少脚色されたかもしれない、けれどその上で作品のシナリオや構成、演出、どれをとっても私には評価の高い作品でした。
おすすめです。
とても良い
映画自体は90分程度と短めであるが、コンパクトに内容がまとまっていて、途中の不時着シーンの演出も見事だった。
また、字幕版だと特典映像を見ることができるため、これから視聴する人は吹き替えより字幕版がオススメ。
素直に喜ぼうよ、助かったんだもの
内容はとてもシンプル。
国家運輸安全委員会(、保険会社)に事故のあら捜しされる話。
それでいても、
苦悩するトムハンクスの表情は、話を飽きさせないし、
乗客が155名全員助かったと分かる時は感動するし、
ラストで委員会にギャフンと言わせるところは半沢的な爽快感があるし、
見てよかったと思える映画でした!
エンドロールのナレーションで
助け出された人たちの実際の映像が出てくるんですね。
「ただ生還したラッキーな人たち」
て訳でじゃなくて
「死んでたはずなのに、機長の咄嗟の判断のおかげで生きてる」ことを実感。
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