「アメリカのヒーロー像が変わった」ハドソン川の奇跡 SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカのヒーロー像が変わった
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すごく面白かったが、初めの方はちょっと寝てしまった。
アメリカ人がこういうストーリーの映画を撮る、というのが、時代が変わったんかなー、って思った。
主人公がヒーローとしてたたえられるところがスタートラインで、いや、そうじゃないんだよ、ということを地道に解いていくのがこの話のキモ。
主人公は自分がヒーローではないと知っているし、ヒーローとして讃えられるのは違うと思っている。
奇跡の活躍をするのがすごいんじゃなくて、普段から不測の事態に備えることが大事なんだし、
たった1人が英雄的な行動をするのがすごいんじゃなくて、様々な立場の大勢の人が団結して協力できるということがすごいんだってこと。
どんな状況でも決して思い上がったり、パニックになったりせず、常に「内省的」に、「慎重」に、「臆病」に、「強い責任感をもって」対応する主人公には考えさせられる。
飛行機から全員脱出したか、人数は合っているか、神経質なほどにこだわる主人公の誠実さには胸打つものがある。
こうした石橋を叩いて渡る的な性質は、これまでのヒャッハー、的なアメリカのヒーロー像とは違う。日本人が元来持っている美徳でもある。
多様性の社会になってきたからこそ、むしろ個人より組織全体を考えられる人間性が求められてきたのかな、と思う。
終盤の、「みんなを集めて下さい。見せたいものがあります」的な、推理小説の王道的な大どんでん返しは、あまりにドラマチックで、どこまで演出なんだろ?って思わないでもなかったが、映画のストーリーとして手に汗握る面白いクライマックスだった。
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