「押し寄せる深い感動と、人命を救った英雄の苦悩。」ハドソン川の奇跡 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
押し寄せる深い感動と、人命を救った英雄の苦悩。
【賛否両論チェック】
賛:瞬時の決断で多くの人命を救った機長の毅然さと、命を助けるために奔走した人々の心の温かさに、思わず泣けてしまう。同時に、事故後の一連の疑惑の様子も詳細に描かれ、苦悩する主人公の姿にも、改めて考えさせられる。
否:ストーリーのメインは「事故の後の人間ドラマ」なので、奇跡の生還劇自体のドラマとしてみると、やや物足りない感は残るかも。
乗客乗員の生命を背負い、瞬時の判断を迫られる中で、究極の決断を敢行、見事に成功させた機長の技術・精神力に、まずは頭が下がります。そしてそんな状況下にあって、多くの人々が協力し合ったからこそ、極めて困難な救出劇が生まれたことに、思わず涙腺が緩くなってしまいます。病院へと向かった機長が、
「生存者・・・155名。」
という報告を聞き、安堵する瞬間なんかが、観ていて感動的です。
同時に、多くの人命を救ったはずの機長が、
「その判断で、逆に乗客乗員を危険にさらしたのでは・・・?」
という疑惑をかけられ、自身でもその疑念に苛まれていってしまう姿に、なんともやりきれない想いも感じます。それでもラストのシーンは、機長の毅然とした姿勢にある種の痛快感もあって、非常にステキです。
極限状態の中で、人々の持つ心の温かさに触れることの出来るような、そんな作品に仕上がっています。
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