ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちのレビュー・感想・評価
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バートン流冒険ファンタジー
これは予想外でしたよ。予想外に良かったというかね。やすっげー面白かったんです。まあ予告編が全然内容と合致してないというのもあったんですが。本当、予想外で。
つかすいません。予想外予想外って一体何が予想外だったんだよ!って話ですよね……えー。なんていうんですかね。凄く失礼なこと言っちゃいますと「まーた奇妙奇天烈で不思議でそのうえ毒もちょっぴりあってって、いつも通りの定型なバートンワールドなんだろう?」ぐらいの気持ちでいたんですね。まあそれはそれで別に構わないんですけど、ちょっとそれもマンネリかなー、と。もっと乱暴に言っちゃえば「奇妙なこどもたちの不思議な能力で大騒動!でも最後はみんなと仲良くワイワイ暮らしましたとさ!」的な?的なのを予想してて。
でもね、これが始まってみると、どうもそんな雰囲気ではなくってね。「あれ?おや?」と。
ミステリー調な導入部から、即行に不穏で奇怪な空気が物語に立ち込め出し、暫くすると確かに奇妙なこどもたちは出てくるにはくるのだけど、彼らの紹介は意外にあっさりと切り上げてしまい、不穏な空気はそのまま加速をはじめ、いつしかホラーチックな展開が待ち受け、気が付けば手に汗握る冒険へと突っ走っていく!という。
「あっ、これ冒険ファンタジーだ」となって。
確かにバートンらしい彼特有の茶目っ気やブラックユーモア、箱庭、グロな描写は出てくるんですが、それがまた良いアクセントになってまして、元々出来上がってるバートンワールドを更に推し進めた、唯一無二の作品に仕上がってるんですよ。彼の世界観がもうワンランクUPしたというか。
誰かも言ってましたけど「バートン版X-MEN」て表現も確かにぴったりでね。奇妙なこどもたちがX-MENという。
本当、予想外でね。予想外に楽しくて。ティム・バートン常連組のジョニー・デップ&ヘレナ・ボナム・カーターが出てこないってのもまた新鮮で。
バートン流冒険ファンタジー、堪能いたしました。
よく出来た話
ザ・ティムバートン
相変わらずだな
ティム・バートンといったら独特な世界観でおなじみ。その独特すぎる世界観のため好き嫌いが激しく別れる作品が多い。僕は……好きでも嫌いでもないくらい……だが常連役者であるジョニー・デップが出ないことから、全く新しい雰囲気になっているのではないかと思い見てみた。
一人一人のキャラクターの特殊能力は面白く、個性的でもあった。世界観に馴染ませるためか前半は、微笑ましいシーンが長く続く。長すぎると言う人もいるが、僕は世界観に入り込むためには、決して長くはないと思う。
だが少し、悪者の設定やストーリーの設定はチープだった気がする。確かに設定がどれだけメチャクチャでも通用してしまう世界観だが、もう少しストーリーを練って欲しかった。
あと主人公の能力だけ群を抜いて実用性がないw
エヴァ・グリーンの存在感といったら半端ではなかった。最近は悪女役が多かったため、なんか嬉しかったw
サミュエル・L・ジャクソンもキングスマン並みにコメディー要素が強い悪役っぷりに思わず笑ってしまったw
ティム・バートン「らしい」作品
ファンタジーだけど
ティム・バートンが守るもの
久々にティム・バートンらしい一作!
その“らしさ”とは、独特のファンタジーっていうんじゃなく、異端の者への優しい眼差しと愛情に溢れている点。
思えばバートン作品に登場するキャラのほとんどは、普通からずれ、理解されない悲哀を秘めている。
手がハサミ故愛する人を抱き締められない人造人間「シザーハンズ」、醜い容姿の怪人「バットマン リターンズ」、周囲から嘲笑される映画監督「エド・ウッド」、復讐しか生きる道を見出だせない男「スウィーニー・トッド」、つぎはぎだらけの姿で蘇った犬「フランケンウィニー」…。
幼少時、友達は一人もおらず、孤独で根暗で、ホラーやSFの怪物に思いを馳せ、周囲に馴染めなかったというバートン。
描かれるキャラに観るこちらもどうしても感情移入してしまうのは、そんなバートン少年の経験が込められているから。
本作で描かれる子供たちも、まず普通の世界では普通に暮らせないだろう。
それぞれが特殊な能力を持ち、奇抜で奇妙で、愛らしさたっぷりの子供たち。
小さな島の森の奥の屋敷で、異能者の女主人ミス・ペレグリンの保護の下、同じ一日を繰り返す“ループ世界”で穏やかに暮らしている。
かつて彼らと共に過ごした事のある亡き祖父の遺言に導かれ、彼らと出会ったジェイク。彼もまたある能力の持ち主で…。
彼らと過ごして親交を深める中、彼らを狙う魔の手が迫る…。
ホローと呼ばれる怪物とそれを率いる邪悪な男は魔の者であるが、自分の事しか考えず相手を邪険にする傲慢さは差別や偏見の具現化だろう。
弱き立場の者を守るミス・ペレグリンとジェイク。
とりわけ、普通の世界では何の取り柄も無く孤独で内気だったジェイクが子供たちを守る為戦おうとする姿には、かつて日陰の存在だったバートン少年が今、かつての自分と似た境遇の子供たちに手を差し伸べていると感じた。
ちょっと奇妙で、ユーモアがあって、ミステリアスでもあって、バートンのイマジネーションは健在。
海底の沈没船のシーンは美しい。
美術・衣装もいつもながら見事。オスカーシャットアウトは残念。
キャストでは何と言っても、エヴァ・グリーンがハマってる。セクシー悪女もいいが、本作では品を感じさせる。
愛すべき奇妙な子供たちは一人一人挙げたらキリがないので、個人的に特に気に入ったのは、白いマスクと服の双子。あんな能力があったとは…!
バートン作品初参加のサミュエル・L・ジャクソンが嬉々として悪役を演じ、不気味なホローの造形やハリーハウゼンを彷彿させる骸骨兵など遊び心も随所に。
難点は、ユーモアはあるがコミカルではなく、バートン・ファンタジーとしては思ってた以上にシリアス風。前半はちと退屈。時が交錯する“ループ世界”がちとややこしい。
ラストは、囚われたミス・ペレグリンを救出すべく、ジェイクと子供たちが敵に立ち向かう。
異端の者たちの踏み出す勇気。
そんな彼らでも乗り越えられる行動力。
人と違うのは欠点ではなく、自分らしい個性、らしくあれ。
普通じゃないを受けられない“普通”の方こそ普通じゃない。
理解してくれる人、手を差し伸べてくれる人は必ず居る。
ティム・バートンはそれらのメッセージを守り続けている。
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