エヴォリューションのレビュー・感想・評価
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悪夢の女護島
まずは同時上映の短編「ネクター」の感想から
画像の粒子が荒くなんだか「ソドムの市」でも見ているかの様な印象。
初めはどんな難解な話かなと思ったが、どうやらミツバチの女王の話だったのだろう。
女給にまさぐられてローヤルゼリーを出したり、近未来都市の団地がハチの巣のを模していたり、なかなか面白い表現だと思った。
全盛期は重宝され衰退すれば去られる。
女王のための王国なのか王国のための女王なのか、蜂社会の残酷さを垣間見ることができた。
途中、レモンと蜂蜜を合わせて食べるとおいしいよって展開が挟まれる、おいしいよねって思った。
女王のまつ毛の長さとか、女給の黄色いドレスとか、一つ一つが洗練された感じで、一定の美意識があった。
物語も理解不能ではなかった(多分)ので良かった。
本編「エヴォリューション」の感想
島で暮らす少年が疑問を晴らし謎を解く話
短編「ネクター」が思いのほか面白かったので本編にも期待が膨らむのだが、こちらはかなり難解で理解力の乏しい自分には難しかった。
鑑賞後知人に感想とその旨を伝えたところ「理解なんてできないですよ、ただ楽しむだけです」とのこと。
なるほど、ただ楽しめばよかったのか。と思ったがまだまだ自分にはこの手の映画は楽しむ技量は無かった・・・
そんな自分でもこの映画は綺麗と残酷と不気味と安心の入り交ざった稀な作品なのだとは思えた。
海中のサンゴや魚、水死体、ヒトデ、潮の流れどれも美しい、陸上の家や病院施設もレトロでお洒落だ。
登場人物も美しい女性や少年ばかりで眼福でした。
所々に死体やら死骸やら、ホルマリン漬けの~、謎の青い薬、注射、切開手術などグロテスクなシーンも満載で見ている間、怖さと綺麗さで板挟みになってしまった。
スプラッタ映画はある程度見慣れているのだが、美と残酷の抱き合わせには免疫が少なくかったのでかなり心にダメージを受けた。
画面の粒子の粗さもあいまってダークファンタジーの世界にどっぷり引きずり込まれたのはいい経験だったかもしれない。
会話から読み取るには情報不足であったが、なんとなく島の生活や物語の背景、筋はわかった気がする。
赤いヒトデと主人公の赤い服が印象的で、何か繋がりやメッセージが込められていたのかも知れない、手術台の照明により少年の瞳に星(ヒトデ)が現れたのも何かを象徴していたように思うのだが、意味があったのか無かったのかわかる人がいたら教えていただきたい。
いや、解からない事は解からないままにしてそれすら楽しむのが本作の味わい方なのだろう。
あれこれ考えたが、考えるのはやめよう。
ナースのお姉さんが美人でしたね。これで十分だ!
彼女たちの目的はよくわからなかったけれど、なんだか諸星大二郎の漫画で出てくる妖怪、神、精霊なんかの不思議な話を連想しました。なにか常人には計り知れない物事があるのだろう。
ラストシーンの文明の光、夢から覚めた感覚、ちょと寂しいこの感覚はなんだろうか。
悪夢から覚めたのに現実に向き合いたくない、そんな複雑な印象の映画です。
劇中セリフより
「お母さんじゃない」
お母さんだと思ってたら別人だった、なんたる恐怖でしょう。
子どもの頃、お母さんだどれだけ大切で安心で、頼れる存在だったことか。今はその感情も薄れてきたが、両親には感謝の気持ちを忘れないようにしたい。
噂に違わず難解
あえて語らず
ぽ~にょぽにょぽにょヒトデの仔?
2017年の最初を飾る鑑賞ということで去年見過ごしていた作品を選択。しかしこれが残念ながら『凶』に・・・
多分この映画は人を選ぶんじゃないかと思う。それと色々なマニアの人向き。例えば『ショタコン』、『触手系』、『医療』、『内蔵』、そんなキーワードに引っかかった人は別の視点に於いてこの映画を楽しめるんじゃないかと思う。
でも、肝心の謎解き、伏線の回収、正体を曝くという主題に関しては、全くもって観客にぶん投げてしまっている。それなりにヒントは出すのだが、いかんせん如何様にも想像できるような伏線になっていて、結局何が正解なのか皆目見当も付かない。そして、ラストは逃げる為の舟の辿り着いた先は通常の人が暮らしているであろう、臨海工場群というオチ。
母親だと思っていた女は、背中に吸盤。勿論看護士の背中にも。病気だと思っていた子供達は、赤ちゃんを出産するマシーンにさせられているのは実験?気持ちの悪い青い食べ物と薬。色々なハテナを引き摺りながら、結局何も解決せずに終了・・・
ストーリーのキモは興味深いのだから、何故上手く着地点を見いだせなかったのだろうかと、非常に悔やむ後味である。
でもこういう薄ボンヤリな作品を好む人もいるだろうから、これも映画ならではなんだろうなぁ・・・
自分としては今年初鑑賞として気合いが入っていただけに腰砕けな気持ちで渋谷の喧噪を後にしましたとさ。
怖い、怖い❗️
一昔前の…
一昔前のヨーロッパの実験的映画という感じ。そういうのが好きな人には悪くないんだろうけど、私には退屈でした。男の子に子供を産ませるというのはわかったがほんと「だから何?」と思った。
この映画が本当は何がいいたいのか?
本作の終盤のピークともいえるシーンであることが起きる。
なんと主人公の男の子が妊娠して、実験用の水槽の中で水中出産をするのである。そのときの様子が多分監督の言いたいことなんだと感じた。
生まれた赤ちゃんはとても自分と同じ動物とは思えない原生的な別の動物に見える。はっきり言って気持ちが良い感じがしない。しかもそれが自分の腹から出てくる様子を見ながら主人公はあまりの気持ち悪さに硬直している。
この映画の監督は女性なのだが、おそらくこう言いたいのだろう。
「映画ではよく女性が赤ちゃんを妊娠して出産する様子をハッピーに描くし、女性も生んだ瞬間に子供を見て笑顔を見せるけどあれは映画の嘘だ。本当は妊娠・出産を気持ち悪いと思っている女の人だって居るんだぞ。何!?男にはそんなことは分からないだと?じゃあ実際に男が妊娠して産む様子を見たけりゃ見せてやるよ(震え声)」
ということではないかと勝手に思っている。真意は不明です。
ある種の生命
かいつまんで言うと少年が生命の進化しうる過程を見て帰ってきたということでしょうか。
◆オープニングの海のシーン
すべての根源はここからだ!といわんばかりの神秘的な海の描写からこの映画は始まる。まるで「 ここから生命はどのように進化しうるのか」言ってるかのように。
◆青と赤の対比
僕たちは極限に神秘的なものを見たとき一種の奇妙さやグロさを感じてしまう。例えば、蟹の脱皮は美しくもグロさを感じてしまうし、宗教至上主義が奇妙見えてしまう人もいるだろう。この映画では、ミミズが入った青いスープや青い薬、病院の青い壁といったように奇妙さやグロさを青で表現しているように思う。
それと対比して目につくのは主人公ニコラの赤い服、赤いペンで描いた母の絵、そして、赤いロブスターや赤いヒトデ。これは愛情の色でしょうか。
◆ある種の生命
人間と人間の容姿をした、背中に吸盤がついたある種の生命。
何らかの理由で生殖できない彼女(島に住む大人)らが選んだのは、人間の子供のお腹に医療行為を施し、種を繁栄させるということ。種の繁栄の為に子供たちは犠牲になり、死ねば海に捨てられることになる。
◆母なる愛
グロくて残忍な生命体だか、それでも母なる愛は人間と同じである。ニコラが赤いヒトデを傷つけて、ニコラを諭す場面、そして、看護師のステラがニコラとお絵描きをする場面は、人間の母と子そのものだ。興味深いのは、看護師たちが皆んなで真剣に観ていた映像は人間の母体から帝王切開するシーンだった。暗闇で恐ろしいシーンにも見え、出産を切望する母の姿にも見えるのだ。
◆ニコラが帰ってきた場所
ステラはその母性をもって最後にはニコラを船に乗せて人間の住む場所へ返してあげる。青く奇妙な場所からたくさんの愛のある人間の元へ帰ってきたわけだが、スクリーンいっぱいに広がる景色は、赤い光の溢れる街ではなく、恐ろしいくらいに発達した工場や大都市の黄色い光だった。これを観て宮沢賢治の銀河鉄道の夜を思い出すのは多分自分だけですが、そこでは、サソリ座の赤い光が人を思いやる気持ちを表している。無償の愛。母なる愛。少年がたどり着く先。奇妙なものとは何か。
ここはユートピアか、ディストピアか。
なるほど。
気持ち悪さと美しさの二刀流
タイトルなし(ネタバレ)
自分が恐怖で滲んでいくような気持ちの悪い怖さがあった。海辺で女達が体を寄せあってたのは?背中の吸盤みたいなのは?蘇生されて船で目覚めるまでの間は夢?現実?
出てくる人のほとんどが無表情。ステラが少し笑ったくらいで気味悪い。
美しくグロテスクなアートフィルム!
オープニングの壮大な海底のシーンはまるで別の惑星にいるかのようで、早々に引き込まれました。
そして美しく刺激的なシーンに波の音。
独特なテンポとストーリーゆえ何系の作品なのかまったく検討が付かず… あれやこれや想像を巡らせ、一時も画面から目が離せませんでした。
そしてエンディング… 少年が帰される場所、音により初めて理解出来る構成になっています。あの黒目の大きな女たちは? 『エウレカセブン』のコーラリアン的な存在なのかな…とか。
明確な答えは有りません、それぞれが感じるままに理解すればいいのではないでしょうか。
前作の『エコール』が好きな人なら間違いなくツボな作品だと思います。
久々の芸術性の高い作品に大満足でした。
進化の一部を目撃する感覚
あらすじを読んで、なんとなく自分なりに予想していた内容と、実際の映画の内容は少し違っていて驚いた。
内容は難しいし、あれはどういう意味?と考えてしまうと止まらない。胎児を取り上げる様子を見る看護師と共に、人間の「進化」と過程の一部を観たような気がする。
最後の場面は灯る光とは対照に、世界の暗さ・不気味さを感じる。耳をそばだてると、工場のような機械の音・エンジン音も聞こえる。
倫理的・道徳的な観点はひとまず置いて、映画の暗い海の中に落ちてしまうような感覚。最後まで、視覚と聴覚を働かせて観てほしい。
女版デヴィットリンチ
短編観てて嫌な予感はしたけどやっぱり正解を出してくれない映画でした。
その意味で短編と同時上映はナイスですね。
性行なしでも繁殖できるようになった人間(この時点でディストピア)。
もしくはそれに向けて人体実験をしていた。という感じでしょうか。
女性には謎の吸盤?
人間ではないなにかなのは間違いない?
この作品の象徴でもあるヒトデが進化したもの?または海の生物のなにかしらを取り入れた人間?
答えがないだけに考察が止まらない。
少年があの環境で知るはずのない動物、乗り物、女性を描いていたのはどういうこと?
独特の映像、音、雰囲気は映画館でしか体験できない。最近シネコンばかりだったので非常に貴重な体験。久しぶりな感じで嬉しかった。
美術館に行った感覚。
ラストの工場映像でドヨーンと終わる感じも好きでした。
短編含め、きっと監督は現代社会が嫌いなのでしょう。
81分を長く感じてしまったのはマイナス。
もうちょっとでいいからヒントが欲しい感じ。
けして普通に観て楽しめる映画ではないのでご注意。
フランス、カルト映画、ミニシアター、どれかにピンときたら映画館にgo!!
何かの例えがこの世界観
分かりやすい表現なんてゼロ。
観客を置いていく感100%。
でも観入ってしまう。
理由はそう。景色や映像美。少年のニコラの美しさ。
そして読めない・分からないストーリー展開。
私が観終わって感じたのは、幼少期に感じた気持ち悪さとかが、この『エヴォリューション』の世界観として表現されている。
人間の交わる、人間が生まれる、病院の冷たさ、大人が子供にすべてを話さない…など、子供の時に感じた潜在的な事が表現された結果がこの映画だと思う。
読み解こうとか考えずに、世界観に浸って「ひゃー」と思いながら観る映画。
取りあえずニコラ、可愛いし美しい。
個人的にはユートピア
美しく恐ろしいホラー
半分はポスタービジュアルに惹かれて…だったけど、思いもよらずホラーだったことにビックリ。
でももともとデヴィッド・クローネンバーグとか好きなので問題なし。
映画の中ではなにも説明がないから自分の思ってることが正しいかどうかわからない…という意味で解釈を迷ったんだけど、パンフレットにはちゃんと解説のようなものはありましたw
メタファーとかでもなく、ビジュアル的な美しさや肉体的感覚、そこから生じる根源的な不快感や違和感を「感じる」映画だと思います。そういう意味で観る人は選ぶかも。
あとこの映画を酷評してる(つもりの)人は自分に合わない映画を選んだことを後悔すべきで、映画を貶めるべきではないと思いますよ。
ただセリフも殆どなく止めのようなカットに波の音と鼓動だけが聞こえるのでものすごく催眠効果はあります。何度かもって行かれそうになりましたw
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