劇場公開日 2016年6月11日

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「監督の眼は特筆もの」裸足の季節 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0監督の眼は特筆もの

2023年4月4日
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日本の民法もその例に漏れませんが、どこの国の民法も「父の捜索」を禁止しているのは、少なくないだろうと思います。
子供を産むことができるのは、物理的には女性だけに可能なことですし、真の父子関係は外形的には確定が難しいことから、「父の捜索」の禁止は、あらゆる法律関係の基盤となる親子関係(父子関係)を早期に確定させ、安定させるるために、法律が編み出した「生活の知恵」ともいうべきものなのだろうと思います。

一般の社会生活の上でも、女性(とくに女の子)にだけ、貞操教育に力か入れられたり、「慎ましさ」が求められたり、家庭の中に閉じ込められたり、結婚後は社会を離れて家庭に入ることが強く求められたり…というのも、考え方・目的として、前記のような法律制度と共通の基盤に基づくように、評論子には思われます。

法律制度は、それはそれで一定の合理性があるとも言えるのでしょうけれども、それを離れて社会生活一般にまで、そういう「規制」(?)を推し及ぼすというのはいかがなものでしょう。
そして、本作のような世の中が「かつては、あった」という時代が来ると良いと思うのも、また評論子だけではないと思います。

声高に叫ぶ訳でもなく、しかし余すところなく鮮やかに剔抉した本作のデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督の眼(観察力、洞察力)は、特筆すへきものと評論子は思います。

佳作と言えると思います。

talkie