「愛すべきダメ男の日常とその先」海よりもまだ深く ムビタイさんの映画レビュー(感想・評価)
愛すべきダメ男の日常とその先
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ほんとに何も起きないと言ったら起きない。台風という一つの気象がほんの少しだけ、主人公と家族を吹き抜けて何かが変わりそうな予感だけして、日常に収斂していく…だけの映画。でもそれが良いのだと思う。
観に行った日はご年配のカップルが多く、団地や家族の中のあるあるエピソードで笑いがたえず、キャストの自然な演技に終始くつろいだ雰囲気に満ちていた。
オープニングのモチーフが後半で出てきたり、物語の組み立ては気持ちよく進む。サイドで進む一件関係なさそうなエピソードも、他の場面に活かされていく。きちんと物語として成り立っている。かと言ってあざとさはなく、味わいはあくまで一筆書きのよう。
そういった意味でも、海街diaryとセットで語られるべき作品、という印象だが、あちらは初の漫画原作、本作は是枝監督オリジナル。監督はこういう私小説的な作品が今の気分なのだろうか。(実のところ海街より先の撮影だったという噂も聞く)
最後に、全体をこれまたさりげなく包み込むハナレグミの音楽、主題歌も沁みます(^^)
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