劇場公開日 2016年5月21日

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「果たして敢えて映画にする意味が」海よりもまだ深く masa22さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0果たして敢えて映画にする意味が

2016年5月24日
iPhoneアプリから投稿

有ったのか。このキャスティングで作る意味が有ったのか。製作者側が映画として世に出す意味は、果たしてどこに有ったのか。

物語は淡々と、平凡な日常と並行して、家族群像劇が少しずつ進んで行く。

子供の頃になりたかった自分と、大人になった今の自分とのギャップに苦しむ、市井の人々の気持ちを、代弁すること。それが、今作品の根底にあるテーマだったのだろう。

小説ならば、良い。心理描写を背景や情景で、思い巡らし、起承転結に運ぶペースも読者の読むスピードに合わせられる。

しかし、119分の尺で、見せ場らしい見せ場を、多分、敢えて作らずに淡々と見せる事で、役者に抑えた演技をさせてることで、伝えたいことを全うしたと思うなら、やはり、今作品は長尺ドラマで良かった。

素晴らしい演技で印象的だった代表作で言うと、樹木希林ならば『あん』。阿部寛ならば『麒麟の翼』、真木よう子ならば『ゆれる』など、名実共に観る者を魅了する名優たちをキャスティングしたのならば、やはり期待するのは当然のこと。

タイトル、本、役者、監督、P&A。
その全てが揃っても、?のつく作品は稀にあるが、今作品もその部類に入れざるを得ないのは、本当に残念。

映画はやはり、人が創造する最高のエンタテインメントであって欲しい。

masa22