帰ってきたヒトラーのレビュー・感想・評価
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●ゲルマン民族の憂鬱。
痛烈だ。そこかしこにブラックが散りばめられている。
ところどころにあるモザイクは演出なのか。
ドイツでは日本と違って、徹底的に戦争の過ちや残酷な死について教育する。
小学校から高校までの長きにわたって。それだけに想像以上にヒトラーはタブーなハズだ。
悲劇を繰り返してはならないけど、ヒトラーが魅力的なのも事実だ。
こんなに痛烈にモノを言うってのも、日本じゃ考えられないだろう。
しかもヒトラーを介して言わせるって、これ以上のブラックがあるだろか。移民問題とか、ドイツが抱える問題が浮き彫りになる。
過去の話じゃなく、今現在も強烈なリーダー待望論がどの国でもある。
トランプ氏がアメリカ大統領候補に支持されるのも、わからなくはない。
笑えるようで、笑えない。唸らされる。
大人の鑑賞に耐えれる
これは面白い。
風刺は効いているし、ノンフィクションで撮影してるところも所々あり、現実の問題をとてもうまく表現している。
何よりヒトラーの演説はとても迫力があり、一番の見せ場。ゴジラより面白い!
笑うのは誰?
単なるベストセラー風刺小説の映画化ではない。本作品はセミドキュメンタリー形式で不気味に進む。ヒトラーに扮する役者は実際にドイツの街に繰り出し、市民や政治家、ネオナチといった人々の話しに耳を傾け、語り合い、扇動していく。それらのシーンの大半は台本なしのアドリブだというが、人種差別や外国人排斥が無邪気に語られ、人々は再び洗脳されてしまうリスクを持っているのか試されていくのだ。
「つまずきの石(Stolpersteine)」を見る者は、自然と頭を垂れる。それは、とりもなおさず犠牲者たちに対して頭を下げることに他ならない。過ちの道、滅びの道を進もうとする人々の前に、“妨げの石”として無造作に投げ出されたこの作品を私たちはどう観るのだろうか。これは現代によみがえる悪夢だ。私はヒトラーを笑っているのか、それとも彼と共に笑っているのだろうか。
Er ist wieder da!
まさに今の世界を考える好作品。
誰の心にも宿るerの姿。それが、現在のドイツに現れている。
いや、ドイツだけではなく、世界全体がerのwiederを待ち望んでいるかのようだ。
映画手法も秀逸。フィクション、ノンフィクション、インタビューなどを組み合わせた展開は、かの国にはできても、この国では全てドキュメンタリー扱いされて商業ベースに乗らないまま終わってしまうだろう。その意味では、「娯楽」領域に少しでも近づけている本作品は、評価に値する。
彼はまさに今、ここにいる。それがこの時代だ。
笑って観てて、いいものか・・・
映画ラストまで、ずっとヒトラーに好感持ってしまっていた自分が怖い・・・。コメディの体裁をとった、社会派映画と言ってもいいかもしれません。鋭い問題提起があると感じました。
「笑うな危険」のキャッチコピー考えた人は天才
「笑うな危険」のキャッチコピーは素晴らしい。
観る前はその不謹慎さゆえに笑うことが憚られるように見えて
観た後に真の意味を理解できる。笑い事ではないわけだ。
確かに従来描かれていた、誇大妄想で猜疑心の塊で善意も欠片もないサイコパスでキチガイなヒトラーよりも
本作の合理的で行動力があり、ドイツへの愛国心に溢れ人間くさいヒトラーのほうが
遥かに恐ろしい存在のように思える。
日本人の自分が見ても魅力的に感じるヒトラーだが、でもやっぱり癇癪持ちでキレると手が付けられなく
人種差別もするし子犬も撃ち殺す。狂気もしっかり描かれているからこそ
よりリアルにその存在を感じられた。
特に、ユダヤ人に対するスタンスの生々しさが素晴らしい。
面と向かって罵倒するわけではなく、傷心のアヴァツキに対して
「大丈夫、クレマイヤー嬢はきっとユダヤの血が薄いと思う」
とフォローするあたりに、パフォーマンスだけが派手なニワカ人種差別者ではない
マジものっぽさを感じる。
一方で魅力は愛嬌のある人間臭さもさることながら、目標へと突き進むストイックさにカッコよさを感じられる。
自分が道化として扱われることも十分承知の上で、いかにすればドイツをより良い国にできるか
ヒトラーなりに考えて計算づくで成り上がっていく様は正統派サクセスストリーに見える。
現職政治家への痛烈するぎる批判に加え、極左政党を「ナチズム的だ!」と賞賛し応援し、極右政党をボッコボコに叩いて
果てはネオナチに襲撃されるという展開もなかなか心地好い皮肉だ。
ドイツの街ロケで集まったのだから、確かにインタビューはリアルなわけだ。
日本の田舎でやっても似たような感じになるだろうな。
「好機到来だ…」
続きが気になってしまう引きもお見事。
ヒトラーを蘇らせる覚悟はあったのかな?
この映画を作った人たちの思いが、どこにあるのかが、とても気になりましたね。ヒトラーを現在に蘇らせて、それをコメディにするというのは、相当な覚悟と、思いがなければ、できないはず。映画の中のテレビマンが、ヒトラーネタはテレビ的にヤバイよ、というのと同様なことは、映画にもあるはず。その覚悟があまり感じられず。
まぁ、今ならアリかも?的なノリが残念でした。予告を見て、一体どんな映画を作るんだろうという、怖いもの見たさで来たんだけれど、腑に落ちなかったなあ。コメディとしても、全く面白くなかったしね。
前半のロードムービー部分で、ドイツ人がヒトラーに、ホンネで語るという感じのシーンが、実はみんなが差別主義的な思いって、それで、いいのかな?
ドイツ映画の成熟。
あのヒトラーが2014年にタイムスリップしてきたら。
このワンプロットで全編を押し通す。
リストラされかけたTVマンが彼を見つける。ヒトラーにそっくりなものまね芸人としてトーク番組に出演し、人気を博すようになる。
デビッド・ベンド監督は、ストーリーを淀みなく語ることに専念する一方で、こちらをドキュメンタリーを見ている気分にさせてくれる。
ヒトラー(オリバー・マスッチ)の言葉にそれなりの説得力があるのがなんともいえないが、微妙なところへ踏み込んでいく映画作りには、うらやましささえ感じる。
ドイツがかかえる様々な問題も浮き上がってくる構成は、一筋縄ではいかない映画になっている。
ああ、おもしろかった、ではすまさない何物かをはらんでいる映画であった。
笑えるような笑えないような
ドイツ語や、ドイツ情勢がわからないと理解しきれないところはありましたが、
「私が人々を扇動したのではない。人々が私を選んだのだ。」という台詞にはハッとさせられました。
ブラックジョーク有り、辛辣な風刺有りの充実作
予告編で観た印象とは異なり、単なるコメディ作品では有りません。人種差別や移民問題などドイツが直面している問題が、実際のインタビュー(?)を交えて語られていく点、観るべき価値のある作品と思いました。
見て全然損はしない映画
このような作品が、ドイツで撮影、公開できたことに驚きました。ドイツでヒトラーは絶対タブーだと思っていたのですが、笑顔で対応する人が予想以上に多くいることが意外でした。「我々一人ひとりの中にもヒトラーはいる」という言葉が突き刺さりました。
(笑)の中にヒヤリハット
ヒトラー風刺映画では最高の出来。
タイムスリップしてきたヒトラーがコメディアンと勘違いされたまま、ドイツ行脚するというセミ・ドキュメンタリーや、劇中劇も取り入れつつ、大笑いさせて最後はぞくっとさせる。ヒトラーの存在が悪いのではなく、ヒトラーを欲した国民が悪いと自戒しつつ、じゃああんたの国は大丈夫か?と問いかける。
とにかく、ヒトラーで使えるアイデアをてんこ盛りに盛り込んだ。
テレビで有名になるメインディッシュの前に、前菜としてロードムービーを取り入れるとは思わなんだ。
ヒトラーになりきる変な男との旅は、思いのほか楽しく充実して、ヒトラーを拾ったテレビマンも観客も気持ちが歩みよってしまいそうなところ、噛みついてきた犬にズドンで目が覚める。
いやいや、やっぱりこいつはヒトラーだったと。
セミ・ドキュメンタリーで垣間見えたのは、ヒトラーはまるでアイドルかのように扱われ、ドイツ国民は移民問題に憤っていて、あのときのように強い指導者を求めているということ。
また、こういう混沌とした情勢に、第二のヒトラーは生まれやすいということ。
本物のヒトラーと見破ったのに、頭がおかしいと精神病院に入れられてしまう男のように、少数派の意見は黙殺されてしまう。
テレビで人気者になり、犬の射殺映像で底に落ちたあと、この話の顛末をどう落とし前つけるのかと思ったら、自伝(他人にとってはフイクション)を書いてベストセラーになるという完璧な落ちまでつけて、ヒトラーの独白でショーに幕を降ろす。
ヒトラーに対する世界の思いは複雑だ。反ユダヤ主義のスケープゴートになったとも、悪しき先導者とも。
全員の中にヒトラーはいる、という劇中の台詞が心に刺さった。きっと、それが真実に一番近いだろうから。
色々考えさせられました…
この作品はトランプさんの登場やBREXIT
以前に書かれたものですがその頃から
ナショナリズムが強まっていたのかな
とも思いました。
またこの資本主義社会で国家単位では
世界的社会主義を推し進める結果生まれる
隔たりを考えさせられました。
中盤のドイツ国民へのインタビュー以降は
まるでドキュメンタリー映画のようにも
感じました。
ブラックユーモアもふんだんに盛り込まれ
チャップリンの『独裁者』と合わせて
見るのもいいかと…
とにかく見てください!!
オススメです☆☆☆☆☆
考えさせられる映画
ヒトラーというフィルターを通して現在のヨーロッパ、そして世界が抱える問題を考えさせられる映画です。
移民問題や過去の歴史からくるドイツ国民のある種の劣等感、抑圧感と、そこから解放してくれるかもしれない人物に対する人々の熱狂が描かれています。現実離れした話のようですが、現実の世界においてもドナルド・トランプの快進撃やBREXIT(どちらも支持者達でさえ現実になるとは思っていませんでした。)に共通点を見いだす事ができるドラマです。
同時に、困難な時代における民族主義の台頭を、第二次世界大戦開戦前夜のドイツの姿に今日のドイツの姿を重ね合わせて、甘い誘惑の先にあるものを予感させながら警鐘を鳴らしています。
その結論があるから許されるのか、ヒトラーの口からはほかの人種や民族に対してかなり過激な発言が繰り返し飛び出します。そのせいで途中はかなり右寄りな映画のように感じますが、やはり”ぶれない”ドイツらしく ”立派に”左寄りな作りになっています。
しかし、映画全体が軽いタッチで描かれているので、過激な言動もユーモアとして肩の力を抜いて楽しく見ることができます。
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