ルームのレビュー・感想・評価
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普段の生活に息苦しさを感じている人たちへ
最初は舐めてました。部屋から脱出してハッピーエンドだと思ってました。
そうじゃないんですよね。そこから先も大変なんです。騒ぐマスコミ、帰ってきた二人を受け入れられない父親、事件前の無傷だった学生時代には戻れないジョイ、そういった現実とも向き合わなくてはならない。グランマも義理のグランパも真剣に2人のことを考えてくれます。それでもジョイにとっては辛い。それを乗り越える勇気をくれるのがジャック。髪を贈るシーンで涙がこぼれました。
狭い部屋からの解放、広い社会と対峙し乗り越える解放、辛い過去を受け入れ乗り越える解放、その3つの解放が描かれていました。特殊な事件の映画ではあるけれど、これは決してわたしたちと無関係なことではないです。広い社会と対峙するのが怖い人、普段の生活に息苦しさを感じている人たちへの応援歌です。
子供を持つ身としては、ジョイの気持ちが痛いほど解りました。母親って、子への評価が自分の子育てへの評価だと思ってしまいがちです。異様な状況で育ったジャックですが、ジョイとしては精一杯愛情をかけ普通の子供と変わりなく育てた自負があります。だけど社会からは変わった経験をした親子と見られてしまう。テレビのインタビュアーが酷なことを訊くシーンがとても辛かったです。
最初出てきた時は髪が長くて女の子みたいで母親そっくりだったジャック。触れ合う人が母親だけだからそうなってしまいます。脱出後いろんな人と触れ合うことで段々と変化する、母親の分身から一人の独立した個性を持ちはじめる成長の映画でもありました。親子の絆をえがく映画でもあり、親と子はそれぞれ独立した人間なんだという映画でもあったと思います。
「いろんな人たちがいろんな形で閉じ込められている」※原作を読むと本作の凄さが更に分かる!
かなり前に観て、公開前に投稿しようと思ってたのですが、色々と悩むこともあり遅くなってしまいました。
悩んだことは、"原作を読むことをオススメするか、しないか"です。
でも、原作を読むと、「この映画がどれだけ優れているか更に分かる」という結論に達したので、お話しにきました!
原作は5歳の男の子ジャックの一人称、口語調で書かれています。
一人称のメリットは、ジャックの心理描写がしやすく、そうなると読者を感情移入させるのも容易くなります。読者は、このジャックを凄く近くに感じる筈です。
その反面、ジャックが知らないことは書きようがない。つまり、ジャックが存在しない場面は分からない、全ての登場人物はジャックのフィルターを通すので、5歳では推し量ることができない複雑な状況は書けない。といった難しさがあります。
本作は5歳の少ない語彙力(母親と常に接していたので通常の5歳より言語能力が発達している設定ですが)で、文法の間違いや、言葉の取り違いなどしながらも、いかに読者に状況を理解させるか、想起させるかといった点で、凄くよくできています。素晴らしいです。
しかし、それ以外の登場人物、特にジョンの母親ジョイ、その母ナンシー、父ロバート、ナンシーの再婚相手のレオの心理描写が(5歳から見た大人のため)悪く言えば短絡的になってしまう。"部屋"で生まれたジャックが、"部屋"から出て色んなものを知って行く過程も、5歳の語彙力ではどうしても表現が単一的になってしまいがちです。
しかし映画では、脱出して直ぐ、監禁されていた部屋で見上げていた天窓サイズの空が急に広がり、目を見張るジャックの姿。狭い部屋で母親の姿だけを追っていた視線が、それ以外の人や物に移り、視界が、ジャックの世界が広がる様を、ジャックに代わって映像が雄弁に語ってくれるのです。
また、ジャックが推し量ることができなかった、他の登場人物達の微妙な心の機微を、手練れの俳優さん達が見せてくれます。
"部屋で生まれた"ジャック。
"部屋に連れてこられ"脱出した後でも心はずっと部屋に閉じ籠もったままのジョイ。
母親ジョイの視点が加わることで、より親子の絆が強調されるラスト。
ジョイを演じたブリー・ラーソン。2015年マイベストの「ショート・ターム」で主演を演じてました。応援してます!
本作でも、被害者の顔と、息子に向ける母親の顔、見事に演じてました。
勿論、ジャック役のジェイコブ・トレンブレイくんも凄いです。
"自然体の子供"という演技をちゃんとしています。
が、私は、ジョイの母親ナンシー役のジョアン・アレンがより印象に残りました。
娘との再会を喜びつつ、監禁されていた7年間を思いやりつつ、やや神経質に接しながら、でも母になっていた娘に、同じ母として時に厳しいこともついつい言っちゃう。分かります。
ジャックとジョイ。
ジョイとナンシー。
また、監禁前のジョイを知る父ロバート(ウィリアム・H・メイシー)と、知らない継父レオの対比。
2人の母親と2人の父親の視点が加わることで、よりエモーショナルな作品になっています。
5歳一人称の小説で描くのは、ちょっと難しかったところです。
小説は文字が持つ力(良さ)を最大限に発揮し、映画は映像表現の良さを最大限に発揮している点で、双方ともに素晴らしいです!
ぜひぜひ、両作を、読み、見比べて頂きたいと思いました。
レニー・アブラハムソンは、大好きな『FRANK フランク(2014)』の監督さんです。
FRANKでは、マイケル・ファスペンダーがでっかい張りぼてを被り、目に開けられた穴から外を見ていました。本作では狭い部屋に監禁された2人が、天窓から外(空)を覗いていましたね。
2作共に特殊な設定ではありますが、他者との境界線を生む経験をした人たちが、心の傷と向き合い、閉じ込められた過去の苦しみから解放される、再生と、親子の絆という、普遍的なテーマが根底にあるように思いました。
あのラストの儀式を観て、やはりどんなに優しい人達に囲まれようと、自分でドアを開けなくちゃいけないんだ。自分自身なんだ!
という、ジャックからの強いメッセージを受け取りました。
※タイトル:原作でジョイがインタビューに答えた台詞です。
とても繊細な「母子の成長記」
この作品は、母子の絆を描いた作品かと思っていたけど、ちょっと違った。母と子、それぞれの成長を描いた作品だった。
もし自分の子が生まれてからの5年間、狭い納屋の中でしか生きていなかったら。。
そして、もし自分が、17歳で誘拐され、誘拐犯の子を孕み、産み育て、7年間も幽閉されていたら。。
この映画は閉じ込められたルームと誘拐犯からの脱出劇ではない。大事なのはその後。
閉じ込められていた母と子が、いかにして変化、成長していくかを描いている。
だからむしろタイトルはout of the roomでいいとおもう。
5歳の柔軟性と24歳の脆さ、未来を築く少年と過去に縛られる女性。
同じく弱さを抱えるふたりだから、一緒だと強くなれる。だけど、弱くもなってしまう。
とても難しく、繊細な成長記であり、ラストはこのふたりの成長の証にぴったりだったと思う。
最後まで主人公の父親とジャックが愛しあえなかったのがちょっと残念だけど。
彼はレオとの良い対比になってました。ただ、レオは血の繋がりがないからこそ客観的かつ冷静、そして優しくあれたのかもしれない。
ジャックのアイラブユーぐらんま、と、こんなに狭かったっけ?〜バイバイプラントのくだりに涙が溢れました。
ルームから出たがそのあとの葛藤
ルームから出たがそのあとの葛藤が感動的。120分ハラハラドキドキで見ごたえあり。ルームから無事出れるのですがそのあとの葛藤、精神が不安定になり自殺未遂をする。そしてジャックは決断する。ママのために髪を切って髪を送ってパワーをあげると。演技5ツ星です。いい映画です。
涙腺がユルい私がなぜか泣けず…
※まだこれから観る方は読まないでください…
ブリー・ラーソンとジェイコブ君があんなにすばらしい演技を
魅せてくれたというのに、ハンドタオルを片手に臨んだのに、
なぜか泣けなかったんです。グッと来る場面があったには
あったんですが…
で、ずっと考えてたんです…その理由を。
で、出した答えが…
7年前に行方不明となった娘を
捜して、泣いて、願って、祈って、待っていた両親の想い、
その表現が私の想像するそれとギャップがありすぎた…
のかもしれません。
再会はもっと感情がむき出しになるだろうし、
そんなもんじゃないのでは?と感じた。
あくまで主演と息子の目線で進むのは当然なのですが、
無事救出のニュース、しかも5歳になる息子(孫)がいる…
相当衝撃的である。簡単には消化できない。
しかもその間に離婚し、違う男と暮らしている母。
まともに孫の目を見られない実父…
できればそう言う雑音的なエピソードは盛ってほしくなかった。
あと、レオに不信感を持って観てしまったことを
反省しています。だって行動も怪しいしちょっと怖さを感じたので。
それとリレーのメンバー(友達)は、見舞いに来ないのか?
来られないのか?とかも考えちゃったりして…
結局、興醒めした訳でもなく、引いて観てしまった訳でもなく
十分最後まで引き込まれて、エンディングも納得だったんですけど…
だからガッカリでもなく、あれ?あれあれ?って感じでした。
まぁでもウダウダ綴りはしましたが、
平凡でも日常を過ごせるという幸せを改めて感じ、
時間以上の大きなものを奪った罪を憎み、
大切なもの見つめ、愛し、守ること。
これだけは感じることができたので、良かった思う。
ママン〜!
ジャックの純粋さとママ(ジョイ)との絆と愛に感動。
全くあらすじを知らずに見ました。
最初はなんのこっちゃで髪の毛長くて邪魔やなとか思ってた自分を殴りたい。
警察官のおばさんが凄すぎた。
運転手の警察官はうるさい。
思ってたよりはやくジャックの脱出が成功したから
また二回目監禁されるんかと思ってひやひやしたけど
また違った形でひやひやさせられた。
ママンしっかりしてええ(泣)
ジャックの方がしまい込んでしまうかと思ったけど
ママンのがひどかった……。
個人的に予想外。
ジャックが“へや”に帰りたいって言って
ママも不安ながら一緒に行った場面。
過去と向き合えるようになり、精神的に開放されていったのが伝わってきた。
この映画の中で一番好きなシーンでした。
ジャックの勇敢さとママンの愛にカンパイ。
背景にあるもの
ツラい作品の鑑賞が何故か続くが今作は救いがあってホントによかった、という個人的な感想はともかくとして、とにかく泣ける作品だった。
フィクションだと分かってはいてもジョイとジャック親子の状況を察すると冒頭の5秒くらいで泣けてくる。あの冒頭のシークエンスは秀逸で、原作がそうであったように幼児の視点で「部屋」が語られていって作品の前提を知らなければ愛らしくもあるシーンだ。しかし知っていればその子供によって無垢に語られる「部屋」の異常さが際立ってくるのだ。あれだけで特異な状況やそれまでの経緯、子供の性質まで表現できていたのでとても上手い演出だと思う。息子にジャックと名付けたジョイの想いとかも考えるとね‥
圧巻なのはブリー・ラーソンの演技でジョイという女性の性質を破綻まで含めて演じきったプランの確かさが感じられた。そういう彼女がいたからジャックだけでなくオールド・ニックまでもが真実味をもって存在していたのだと思う。
ちなみに時期設定としては誘拐された当時のままであったと思われるジョイの部屋に「Ok Computer」のポスターがあったので劇中は2005年くらいだろうか。そして彼女の実家はすごくお洒落だったがどういう設定だったかは原作を読むしかないか。
脚本は原作者の草案を監督と二人三脚で練り上げていったということだが、前半と後半で文字通り世界が変わるわけだが、そこをうまく繋げて円環のように仕上げたのは素晴らしい。ただしジャック達に見えている世界はより広くまた厳しくもあるだろうが二人なら大丈夫だろう、そう思わせてくれたことが良かった。
現実の二人については、ブリー・ラーソンは今後が気になる女優になった。そしてジェイコブくんはいわゆる上手い子役像そのものなので将来が心配な気がするけど余計なお世話。
実は凝った映画なのでは
面白かった。非日常性における親子愛、というのもひとつのテーマだと思うけど、本質としては別なことを感じた。
と思う。閉鎖された空間で、母以外に他人が存在しない「部屋」から「無限に広がる世界」へと日常が変化することが、子供にはどう見え、聞こえるか、が巧みに表現されている。
さらには五感だけでなく、演出によって「子供なりの理解力の限界」をもあらわしていて、それを考えると、脱出劇のあっけなさや、大人の会話が示唆にとどめているもの、あるいは話途中で終わっていたりする事柄のような、普通に見てたら中途半端に見える展開にも納得がいく。部屋における監禁は、子供なりの大きさや広さの感覚と、その後の柔軟性を主観的に見せる、という対比を作り出すための設定に過ぎないとさえ思えてくる。
とはいえ、終盤だけがいわば「ばあば(Grandma)の視点」にやや寄っていて、そうすることで子供の成長を実感できるというこの映画におけるカタルシスを得たり、“あの一言”で感動したりすることができるので必要と思うけれど、子供視点を完全に貫いたら別の面白さがあったかも。
ラストシーンでは母親がかすかに発する「さよなら」の声はたぶん子供には聞こえてなく、そこが唯一の母親の視点であると思うのだが。
オープニングの演出、カメラワークは素晴らしい。
オープニングの演出、カメラワークは素晴らしい。ああ、予告編とか前情報遮断して見たかったなあ。予告編がいかんです。
脱出後の描き方は良かったと思う。ただ自由になれた幸せだけで、「もつ」のは数日。あれだけ熱望した自宅での暮らし。なのに幸せから離れてしまう。
「部屋」に戻ってみたいという5歳が悲しい。
面白かった。完成度が高い映画なので、尚更気になってしまったことが3つ。
脱出の仕方が少々雑だった。あのシチュエーションで奴はなんで確認しなかったんだろうなあ。
そこの理由をもう少し時間使ってほしかった。
押しかけたマスコミにもう少しえげつなさがあった方が良かったかな。
彼女のハイスクール時代の友人たちに登場してほしかったな。最初の数日の感激と幸せ。そのあとの詮索と興味本位とそういうのがあると、より良かったと思う。
それらを経て、自己肯定へ。
アカデミー納得
ジャックがトラックに乗せられたときから助けてもらうまで本当にドキドキした。無事に助かってからもジャックが人を怖がったり、ママの人格が壊れたり、普通に生活できることがどれだけ大事なことか、考えさせられた。ジャックが本当に可愛い。
勘の良すぎる婦警さんに出遭えて良かったですね。
母と息子が、どうして天窓しかない部屋(これを『room』というらしい。 )に、閉じ込められて いるのかが判るのに少し焦らされた。息子を外へ何とか脱出 させる母親の思いつきが成功するかハラハラした。しかし、警察になんと か保護されるのだが、偶然出遭ったとはいえ、 婦警の勘の良すぎること。アメリカではよくあり得ることなのだろうか? 親から見れば自分の娘が、17歳で監禁されて無事生きて帰ってきたのは、感動以上ものがあっただろう。しかし、見つかりホッとするの も束の間、自分の娘が産んだ5歳の息子がいると判れば滅茶苦茶パ二クくるは ずだが…。しかもその相手は????緊迫感というか理解し得ない衝動に駆られるはずだが。 息子は、一度も外の世界を知らず、5年間生き続けてきた。外の何もかも素晴らし く見え、天窓からしか見えなかった「空の青さ」にどんなに感動したこと だろう。しかし、感動した場面はあったが、感動の大きさが私にはそんなに伝わら なかった。ラストは、あのように成らざる得ないのだろう。場面場面がもう少し暖急があれば良かったと私は思った。
涙腺大崩壊!
号泣!本年度圧倒的No.1!
ともかく主演の母子の演技が素晴らしい。特に息子役の子の表現力たるや、もはや反則。嗚咽!
脱出劇としての前半だけで一本の映画として成り立つどころか、大量の液体を目から流出するほどの満足度。
しかしこれに終わらず「その後」を余すことなく描くのいい。
適応できず苦しむ母親とは対照的に、新しい世界をどんどん吸収する子供の逞しさたるや。この子に限らず、小さい子みんなに共通することなのだろう。敬服する。
また、小さい子独自の感受性も、時折子供の主観目線をいれることで、よく表現されていて、これがまた涙腺を崩壊させるのだ。
母親役も難しい役を好演。監禁中の不健康具合も肌荒れ等でリアルに描写。
おばあさん役もその夫役も素晴らしい。子供との心の交流が徐々に進んでいく過程がまた泣ける。
ラストシーンがオープンニングとリンクして、もうダムが完全決壊。
母子で助けあってこれからも強く生きて欲しい!
言葉が…
観てきました。
言葉が詰まりました。
最初は部屋の中しか知らなかったジャックにとって世界は広すぎた。その中で徐々に世界になれていく。
最後に部屋を見に行ったジャックにとって今までいたところがどんなに狭いところだったのかがわかる。
全体を通して考えてしまうような場面があった。
親や子供の気持ちとか。
ジェイコブ君の演技には賞がでてもおかしくないとおもった。
是非見てほしい作品だと思う。
部屋と世界
見る前から素晴らしい予感しかしてなかったこの映画
見てみるとあまりの素晴らしさに度肝を抜かれた
ラストでジェイソン君が言ってたみたいに、実は世界と部屋は扉が開いてるか閉められているかの違いしかない けどそれがたまらなく苦しくて美しい事だということをこれ以上なく観客に 体感 させてくれる素晴らしい映画だった
特に映画の最初と最後で全く違って見える部屋の大きさには只々驚いた 恐らく撮り方が上手くてそう見えるんだと思うけど、二人の人生が本当の意味で部屋から出た瞬間の感動と相まってもうちょっとわけがわからないくらい感動してしまった
あとは何と言ってもジェイソン君の素晴らしさ!子供が輝いてる映画はやっぱり素晴らしい 映画は終始彼の視点から見える世界に寄り添って進んでいくんだけど、世界を知っていくジェイソン君から不意に放たれる台詞の一つ一つ突き刺さって来る 特に、自分を責める母親に言うさりげないけどズシーンと来る言葉が良すぎて死ぬほど泣いた
もう当分この映画ぐらい素晴らしい映画は見れないかもしれないと思ってしまうぐらいにしばらくは余韻が続きそうな一本だった
泣いたけど
母と子の絆に感動しましたが、ラストがすこーし弱かった気がしないでもない。
トラウマを克服していく過程がちょっとスムーズ過ぎる気がしないでもない。
父親の件や、おじいちゃんの問題や、犬のくだりがちょっと未解決な気がしないでもない。
本当の自由とは
唸った。 とにかく唸る。
脚本に、母親役のブリー・ラーソンに、 そしてジャックを演じたジェイコブに。
生まれたときから狭い納屋の世界しか知らないジャック。 そこから脱出したとき、誰もがほっとして、これで問題は解決したと思う。 でもそうじゃない、空さえ見たことのなかったジャックにのしかかってきた「世界」は、私たちの想像を越えてはるかに広大で、目まぐるしかった。
本当に辛いのは、解放後なのだと思い知らされる。「HAPPYなはずなのに」失った時間が徐々にジョイにのしかかり蝕んでいく。 普通に振舞って子供らしくして欲しいのに、ジャックは部屋にいたときと同じように、ずっと私のそばにいる――。
世界は広い、もっともっと好奇心をもって欲しい、やっと出れたのだから、私を束縛しないで欲しい! ジョイのもがき苦しむ姿に、監禁されていた年月の重さを知る。
でもちゃんと子供はわかってるんだよ ね。少しずつ、彼のペースで心の扉を開いていく。 急がないで、ママもゆっくり歩いて?というように、至極マイペースに。 その証拠に、部屋を見て彼は「縮んだの?」という。
世界の広さに、徐々に馴染んできた証拠に。
そしてさよならを言う。 彼にとっては、大好きな母親と一緒で、 もしかしたら幸せだったのかもしれない場所に。
幸せ、不幸という概念もなく過ごしていた時間に。
ジャックが部屋に行きたいと言ったときはぎょっとしたけど、子供の方が幸せの本質をちゃんとわかっているのかもしれないと思った。
彼に背中を押されるように、過去に決別し、やっと心の自由への一歩を踏み出すジョイの姿に、熱いものが込み上げました。
心に残るシーンだらけ(T ^ T)
あまりにも心に残るシーンが多すぎて。(T ^ T)
きっと、一つ一つの出来事を丁寧に描いているから、胸を打つのでしょうね。
まるでジャックの目を通して一緒に“世界”を見ているような…感覚が研ぎ澄まされるような追体験が出来るところも魅力。
そう考えると、レニー・アブラハムソン監督は、主人公の目線へ観客を誘導するのが本当に巧みですよね。『フランク』では、まんまとしてやられましたし(^^;;
序盤にUPを多用して密室での濃い関係を描いているぶん、後半の引きのショットも素晴らしい。
(ジョイが自分の部屋を見るシーンや、ジャックがグランマに「大好き」と言うシーンなど)
ブリー・ラーソン。
やっぱり大人と少女の顔を併せ持つ女優さんなんだと、改めて感じました。
『ドン・ジョン』では、少女の中の大人を。『ショート・ターム』では大人の中の少女を見せてくれましたが、今回の『ルーム』では母親の顔と思春期の少女の顔を見せてくれました。
獣のような目も好き。思い出すと胸が熱くなります。
そして、なんと言ってもジェイコブ君が上手い!可愛い!
トラックの荷台のシーンは予告編でも流れていましたが、劇中で見ると本当に素晴らしい。
彼の一挙手一投足から目が離せませんでした。
この先も楽しみです。
明るい希望が持てる
監禁状態からの脱出...
というヘビーなあらすじだが、全体を通して、暗く、重苦しい感じは無く子役のジェイコブ君の演技が素晴らしかった。
母子を取り巻く環境の変化は凄まじく、中々適応できずにいたジャックが祖母に自身の想いを伝えた場面は流石に泣ける。
また、ママ役のブリーラーソンも環境の変化に戸惑っていた。
苦しむ様は眉一つ、口角一つをとっても言葉に表す以上に多くの感情を観客側にじっくりと伝わってきた。
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