ルームのレビュー・感想・評価
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誘拐から脱出しても被害者の苦悩は続く
外国では監禁された少女達が発見されたり、日本でも少女が監禁から見つかったり、許されざる犯罪だと思う。最初は親子が監禁から脱出するまでの映画だと思ったが、子供が新しい世界に適応して行くのに、母親は周りのメデアや親たちの反応に傷ついて、自殺しようとする。それを助けたのが子供の髪の毛、母親を助けたい気持ちが痛いように分かり涙がでます。後半はもっと丁寧に描いてもらいたかったが良い作品でした。
お父さんの態度、酷いんだけど何かわかる
始めの監禁は特に印象に残ってない。
脱出してからの方が、素晴らしいと感じた。
極限状態を経験したのは母と子だけではなく、
その両親もまた苦しんでいたということ。
何も無ければ分からないが、家族も微妙なバランスで
成立しているのかも
実の父親は、あまり良い役では無いが
あんな態度を取ることに、何となくわかるって感じた。
帰る際には、清々しい気分になった映画でした。
タイトルなし(ネタバレ)
やっとの思いで部屋から出れたのに、
そこから段々と母と子の均衡が崩れていく様が良かった。
人生ってのは、傷付きながらも、生きていかねばならぬものだけど、辛いことばかりじゃない。お母さんが見せたかった世界ってのは、美しい世界だったんだもんな。。
鑑賞後、ジャックがどのように育っていくかをみんな想像すると思うんだけど、
むしろお母さんの方が気になる。
ジャックは可能性に満ちてるから良いけど、お母さんは、17歳から7年間監禁されて今まだ24歳。彼女は青春時代を奪われ、恐らく恋に溺れたこともまだ無い。社会経験も無い。ある意味17歳でとまっている。そんな状況で母をやるなんて、キツすぎる。
彼女がこれから仕事を始めたり、恋をしたりして、壁にぶつかるたびに、崩れ落ちてしまうのではないかと、想像してしまう。
なので、お母さんよりも、子供の方が、世界に早く順応ところなんかは、とても納得がいった。
考えされられた!
映画紹介を観た時は、単に現状打破のスリリングな過程の描写であると思っていたが、実際に見終えると現状打破後の人間描写に焦点が当てられ、とても感慨深いストーリーであった。主人公である母親の苦難、世の中を知らない純真無垢な子供の姿、現状を打破しようとする母親の勇気は観ていて思わず感情移入してしまい、ハラハラものであった。また、現状打破後の主人公の母親と子供に対する両親の対応、インタビュアーの心無い質問は、とてもリアリティがあった。特に、両親の対応、曰くつきの孫を見る父親と母親の対照的な姿は男性と女性の性に対する考え方の違いが浮き彫りになっていた。また、子供が悍ましい生まれ育った家に戻りたくなる姿も、人間の本能がそのまま行動に表れたものと感じた。
この映画に出てくる人々の行動や会話の一つ一つが意味のあるものであり、それを考えながらこの映画を観ることの楽しさが感じられた内容の濃い映画である。
そのままでも地獄、出ても地獄
10代で拉致され、監禁されて
子供を産んだジョイととその息子ジャック。
子供が5歳になったことをきっかけに、
脱出を試みる。
言葉はわかるようになったとはいえ、
その「部屋」が自分にとって
世界の全てであるジャックは、
なぜママが嫌なことをさせるのかわからない。
死んだフリをして、「父親」に
運び出してもらう作戦。
脱出途中の、世界を見たジャックの
全身の細胞が叫んでいる感じに
鳥肌が立った。
脱出後も、騒がれ、両親と衝突し、
嬉しいことのはずなのに、
全てがうまくいかない。
ジョイが監禁されている間に、
両親は離婚しており、母親は
違う男と住んでいた。
実の父親は、監禁されて子供も産まされた
娘と孫に向き合うことができない。
いろんな想いが交錯していく。
監禁されたら、脱出することがゴールじゃない。
元の生活に戻れるか否か。
そもそも元の生活とはなんなのか?
ジャックにとっては、
「部屋」の中が元の生活。
2世代の親と子がそれぞれ衝突しながらも、
祖母と孫は分かり合えているのがよかった。
被害者を責めないで、ただ寄り添いたい。
ショートタームがすごくグッとくる作品で、ブリーラーソンを覚え、そんな彼女の最新作ということで楽しみにしていました。
レイプシーンや監禁している人に殴られたりするシーンがいっぱいあったらつらすぎるな、見てられるかな?と、少し心配でしたが、見られないほど怖くはなかったです。
しかし、オールドニックがやってきた夜、せまい部屋に響くギシギシゆれるベッドの音が、気持ち悪くて気持ち悪くて、ママが可哀想すぎて、泣けて仕方なかったです。
ママの気持ちをずっと考えてみていました。七年の監禁生活が幸せだった少女から奪ったあらゆるもの。その尊さ、取り返しようのなさに絶望しつつ。決して望んでいない妊娠だけれども、ママになって子供を育てるんだということが、彼女を生きながらえさせたのだろうと思いました。
生きていたからよかったのか?そう言い切れるのか?でも、ママのジャックへの思いは、まぎれもない母の愛だし、ジャックが犯罪者の遺伝子を持っていたとしても、自分の息子だし。いろんなことがよぎっては、それを打ち消す別の考えが浮かんでは消え、というハラハラがありました。
描かれることのすべてが多角的で、複雑で、祈りながら見ることしかできませんでした。
ジョイとしての世界を取り戻そうとする中で、彼女は再び傷つけられてゆきます。
父は孫であるジャックを監禁者の息子としてしか見られない。(この男性にありがちな反応!だいきらいだ。)
幸せであろう友人たちとの比較。
極め付けが、テレビのインタビューで、インタビュアーが投げかけた、「ジャックをちゃんとした世界で育てるべきだとは思わなかったのか、施設に預けるなり方法があったのでは」という言葉。
極限で必死に生きてきたことを否定され、ジョイは自殺未遂をしてしまいます。
このことに、本当に胸が潰れそうに、悲しく悔しく思いました。
犯罪被害者をなぜ責めるのか。彼女にどんな咎があると?
どんなベクトルからも責めないでほしい。他人が責めなくても本人がものすごく責めてるんだから、あなたは悪くない、間違ってないよって言い続けてほしい。それ以外に他人ができることなんてないのに。
そういう意味で、ジャックの存在は、ジョイを肯定したのかなぁと思いました。
もちろん、ジャックがいたことで苦しんだこともありましょうが、でも最後にはジャックがジョイをこの世に繫ぎ止めたのかなぁと。
ジャックの目線で進む物語ながら、ママとジョイのことをずっと考えずにはいられなくなる物語でした。
生きていることは、希望であってほしい。生まれたことは、どんな背景があっても祝福であってほしい。
ジャックを愛して、ママになったあなたは、とても強い女性なんだよ。間違ってなんかない。誰にでもできることではない、すごいことが出来た人なんだよ。
辛くて苦しく、怒りもおぼえますが、強い希望も見える、眩しい作品です。
新天地へ旅立つ人へオススメしたい作品
原作未読。アカデミー賞作品賞にノミネートされた中でも映画評論家の松崎健夫さんや中井圭さんが、「出来るだけこの作品の情報を入れないで観てほしい」と言っていたので概要だけ聞いた状態で観に行ってみたら終始観入ってて、退屈さを全く感じなかった。
監禁からどう脱出するかのサスペンスや人間の醜い部分を映し出す半ドキュメント的な話じゃなく、監禁された"部屋"で息子と共に過ごしながら脱出したいと願い、いざ戻ると今まで戻りたいと願っていた"世界"に壊される母親と、"部屋"が世界そのものって意識の幼子が"世界"を見て世界をどう受け入れていくのかって言う対比が、これから新天地で新たな生活を始める様な人にオススメしたくなる作品に感じた。
レニー・アブラハムソン監督は、ともすれば母親主体のセンセーショナルにしやすい映画に描きそうなこの作品を、一歩引いた位置から眺めるジャックの視点を随所に入れることで、観客にこの作品はジャック視点の作品なんだと認識させる工夫をしてたし、観終わってもラストに至るまでに悲しいだけじゃない爽やかなものを後に残している気がした。
ジャック役のジェイコブ・トレンブレイ君はベテラン俳優かと思う程わざとらしく見えない、違和感を全く感じさせない演技で、この作品みたいな経験をした事があるかよっぽど天性の才能があるんだろうなあってのを思ったし、母親・ジョイ役のブリー・ラーソンも唐突にこんな理不尽な境遇に遭って不安定になってる母親役を見事に演じていたと思う。
レオ役のトム・マッカムスさんが地味に重要な役どころで、ジョイとしては突然両親が離婚し母親が再婚しているのはショックだったろうけど、ジョイの家族も思い悩んでお互いを責めている中で一番ジョイの家族から遠い位置にいるからこそ、ジャックに対して普通の子供として接してくれたレオがいなかったらこの結末にはなっていなかったかも知れないと思うと、レオの存在は大きいと思う。
ただただ泣けた!
ええ息子や〜がとにかくこの作品の感想。実際にこういった監禁事件が海外でも日本でも起こっていて、この映画のように救いがあることはまれなのですが、、、ただ、主演の二人の演技が良かった!!
途中出てくる女性記者の質問は、胸に突き刺さります。そうすべきだったけれど、そうしなかった母の心情がよく伝わる演出。
実際の事件をもとにした、とありましたが、その事件の被害者たちの心にも、こんな救いがあれば、、、というフィクションです。
私が観に行った日は女性の観客が多く、至る所からズズズと鼻をすする音が聞こえてきました。ハンカチ必須で観るべき1本です。
お母さんとこどもの強さに心を打たれました
以前の特番で、子供が部屋から出たときの台詞に注目と言われていたので、特にこどもの心情の変化に気を付けて見ていました。そのせいもあってか、感情移入し、母子の強さに心打たれました笑
こんな経験はないとは言い切れませんが、自分がもしこうなったら…等、いろいろ考えさせられましたね。
やるせない
人知れずも意外に身近な所で起きてそうな事件がリアルに描かれていて、最後まで引き込まれた。
世界にもどった母親と、初めて世界に触れた息子と、彼等を取り巻く周囲の人々と、それぞれのズレが、そうか、そりゃそうなるよな、という納得感と共に、なんともやるせない気持ちになった。
被害者にとって、野次馬やマスコミがいかに不躾で残酷なことか。
それでもなんとか生きていこうとする二人が、その出発点であるルームに別れを告げるラストがとても良かった。
衝撃!!!
すごいです!
子供の視線で描かれるストーリー、それぞれの7年間、それぞれの想い、涙が止まらなかった
脱出をする時は今まで聞いたことないほど自分の心臓の音が聞こえた
心臓がとひでそうってこういうことだと思った
犯人に連れ戻されそうになった時は犬のおっさん早く通報してー!って叫びたくなった
演技力に拍手です!✨
タイトルなし(ネタバレ)
演技がよかった!
ジャックが必死でトラックから降りて逃げるシーンの緊張感がよかったです。初めて空を見たときのジェイコブ君の表情とてもよかった。5歳にして初めて見る、大きな、大きすぎる空!
ジョイとその父、ジョイと母、親子の間での葛藤が響きました。
ジャックの、時々帰りたい、というセリフには胸を打たれました。
ひぃぃぃ
ジャックかわいすぎぃぃひぃぃぃ!!
となります。睫毛長い。かわいい。
どうしても演技には見えませんでした。
天才だと思います。
目頭の熱くなるシーンがチラホラ。
とにかくジャックが可愛いんです。
ママも普通の人っぽくて良い感じ。
ああ、誘拐事件って怖いなあ〜。
ママのお父さんは結局ジャックのこと見られずじまい?
ジャックがトラックから上を見るシーン、感動的です。そりゃそうですよね。だって、5歳にして初めての青空。衝撃。
……にしても、音楽が大げさすぎませんか。違和感!!!音楽のせいで、全体的に何となくチープな感じ。そこはちょっと残念…。
「泣ける!!超感動!!!」って感じはないです。期待しすぎてたかなぁ。
でも、いい映画でした。うむ。
子に教えられ
うーん。まぁ、すごいですね。
プラスチックのように柔軟な子どもにいろいろ教えられるような話。
毅然としようとするんだけど
自信の心の傷を癒せない母親、
娘が誘拐され、レイプにより産まれた孫を受け入れられない祖父。
年齢を重ねる程、心の傷を埋めることは難しいのでしょうか。
一方、祖母と新なパートナーは孫と心を通じさせることができたのは、
彼女達が幸せな生活をできているから心に余裕があるからだと考えると
祖父が気の毒になる。
さらに子どもは自然と、
過去のルームにさよならが言える。
それにはっとさせられる母親の、
ラストのシーンがよかった。
演技力
ストーリーとしては、衝撃的だけどシンプルなだけに、役者の演技力がモノを言う作品。
親子二人とも惹き込まれる演技で、
脱出するまでは自分も肩に力が入って観てしまう。
パワーの象徴の髪をママに送るシーン
子供が親を助けるって、こうゆうことなんだな
って思う。
どんな部屋でも生きていく
第88回アカデミー賞で主要4部門にノミネート。
7年間監禁されていた女性と、その間に生まれた息子を描いた、全米ベストセラーの映画化作。
『監禁事件の被害者とその家族』という、言ってしまえば特殊な設定。
当事者でもなければそこに渦巻く葛藤を想像するのは難しいと思うが、
それでも治療のプロセスや登場人物たちの感情の流れは極めて自然に感じた。
それに、タイムリーという書き方も不謹慎だが、くしくも日本で2年間に渡る
監禁事件が解決して大きな話題となったばかりなのも、この物語を身近に感じた理由。
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まずは役者陣について。
アカデミー賞主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン。まず見た目からしてだが、
日に当たっていないような生白い皮膚や吹き出物が長年の監禁生活を物語っているようでリアル。
さらに、倦怠感と緊張感が入り混じったような普段の表情や、
苛立ちを抑えている時のピリピリした表情も真に迫っていて見事。
そしてその息子のジャック役、ジェイコブ・トレンブレイ。
ほとんど“親子”という役をラーソンと二人一役で演じたと言えるくらいの名タッグ!
たどたどしいがナチュラルなセリフ回しや、癇癪を起こしたり
母親以外の人を怖がったりする様子など、その説得力ある演技に舌を巻いた。
脇を固めるキャラクター達もグッドだ。
壊れかけている娘と辛抱強く向き合う母親役のジョアン・アレンは素晴らしいし、
継父の、他者に慣れないジャックを怖がらせないようにする機転と優しさも沁みる
(あれは血縁で無いからこその距離感かもだが、それでも超ナイスガイじゃん、彼)。
一方で、W・H・メイシー演じる実父の、愛する娘が生んだ子の顔をまともに見られない心境も分かる。
あ、あと、黒人婦警さんの親身な態度と判断力は警視総監賞もの!(←それアメリカにもあるの?)
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命からがら逃げ出すことはできたが、ジョイは事件前と全く同じ生活には戻れない。
両親は疎遠になってしまっているし、世間の好奇の目にも晒される。
楽しかった青春時代も、思い描いていた夢も、年月と共に根こそぎ奪い取られてしまっている。
母親としての重圧ものしかかる。
監禁事件の被害者であるジョイにとって、“部屋”は異常で、穢らわしく、壊れた世界でしかない。
だけどそんな壊れた世界でも、それしか知らずに育ったジャックにとってはごくごく正常な世界。
狭い“部屋”しか知らないジャックは、母親以外の人間と話せないばかりか、階段の登り降りすら
まともにできない。挙げ句は“部屋”に戻りたいとゾッとするような駄々までこねる始末。
とどめはあの残酷なインタビュアーの質問だ。
「息子のことを思うなら、なぜ息子だけでも助けようと思わなかったのか?」
地獄のような生活の中で、ジャックはジョイにとって唯一の生きる希望だったんだろう。
ジョイが息子を愛する気持ちに決して嘘はないだろう。
だがあの質問はジョイを絶望のどん底に突き落とした。
ジャックを手元に残したのはすべて彼女が精神(こころ)を保ちたいが為のエゴで、
そのエゴの為に大事な息子を社会に適応できない子どもにしたということでもあるのだから。
(それは確かに正論かもしれないが、そんな残酷な事を良識ぶって言える神経を疑う)
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内容だけを追えば、この映画は暗く重いものに思える。
だけど、初めて広い世界に触れた子どもの無邪気な視点を中心とした語り口、
そしてとてつもなく優しい音楽が、この物語に暖かい光をもたらしてくれていた。
広い世界に戸惑いつつも、ジャックは少しずつ環境に慣れていく。
ガイドは勿論必要だけど、幼い子どもは弱そうに見えて案外強い。
それに、心を磨り減らしてしまったママを、それでも大好きでいてくれる。
映画のラスト、“部屋”の思い出ひとつひとつに別れを告げたジャック。
あの子はこれから先、普通の子どもらしい生活を送っていけるのだろうか。
そして、再訪した“部屋”に向かって小さくさよならを呟くジョイ。
あの時ようやく彼女は部屋から抜け出すことができたのだろうか。
分からないが、あの二人は少しずつ前へ進んでいる。
拙く微かに、だが確かに、この物語の先には希望が存在している。
どんなに悲惨な目にあっても、どんなに立ち直るのが困難に思えても、
支えてくれる人々と共に歩めば――それはじれったいほどゆっくりとかもしれないが――
必ず物事は良くなる。いや、良くなると信じて前へ進むしかないんだろう。
映画を最後まで観た後に残ったのは、そんな前向きで清々しい後味だった。
<2016.04.09鑑賞>
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余談:
本作のマスコミと野次馬を見て、先の事件でのメディアの喧騒ぶりが脳裏をよぎった。
あれ、何も知らない人間が被害者の傷口に塩を塗り込んでるようにしか見えなかったもの。
被害者の名前は公になっちゃってるし、事情を知らない人間が勝手な想像で
あれこれ書き(掻き)立てると、被害者家族が元の生活に戻るのを困難にするだけに思える。
色々知りたい気持ちは抑えて、しばらく事件を忘れておいてあげるのが一番なんだろう。
世界
とても深いテーマを扱った作品だった。
冒頭、部屋の中で日常を過ごす母子が描かれる。あまり裕福な家庭ではなさそうだが、それでも子供は笑い、母を慕い、怒り泣き、不貞腐れ、甘える。
どこにでもある家庭の一幕。
だが、特殊な状況がその日常を非日常に塗り替える…。
彼の世界はそれまで「部屋の中」だけではあった。閉ざされた空間、地平線も海もない。彼の世界の空は四角く切り取られていた。
彼が初めて外に出て、空を目の当たりにした時の表情は忘れられない…未知との遭遇そのものであった。
文字通り別世界に触れた彼の戸惑いは尋常ではなかった。
彼の都合などお構いなしに時間は進む。
今まで母とだけでは対峙してれば良かったが、そうもいかない。
彼は少しづつ少しづつ、別世界を自分の世界へと認識していく。
「世界はこんなにも美しい」
それは対比から生まれる言葉なのかもしれない。彼にとっての美しさは、他の尺度認識あるようにも思える。
彼にはどう映るのだろうか?
いずれにせよ、子供は成長する。
いつまでも部屋の中だけには居られない。
TVのキャスターが問いかける
「それが彼にとって最善だったと思いますか?」
そうやって、世間は良識を押し付ける。
なんと、残酷で無神経な問いかけであろうか?
常識という牢獄を感じたような気になった。
一般論という未曾有の渦を擁する怪物を。
使い方を誤るとホントに怖い。
今の日本はそれに席巻せれてるようにも思う。
兎にも角にも、主役の彼が素晴らしい。
彼の目に映るもの全てがリアルであった。
そして、それを導いた監督も。
深い…とてつもなく深い闇と光を内包した作品だった。
閉鎖的空間で見せる演技力
ルームと言うだけあってこの作品は閉鎖的空間での撮影が多い。よって、役者の演技が作品を大きく左右するほど重要になってくる。そういう意味でこの作品は期待値以上に魅せてくれた。
まずは、子役のジェイコブ君の天才的な演技。複雑な環境に置かれた子供を見事に演じきり、観客に違和感を感じさせない。凄いとしか言いようがない。実際、私もふとした演技にちょこちょこ泣かされた(おばあちゃんのことをさらっと好きというシーンなど)。
次にアカデミーで主演女優賞をとったブリーラーソンの演技もこれまた素晴らしい。レイプされてできた子供を周りから好奇の目で見られる苦悩を見事に演じていた。この2人が揃うと本当の親子にしか見えない。普通ではない環境にありながら普通の親子の愛がそこには確かにあって、その瞬間を垣間見る度に不思議と涙してしまう。
それまで、世界の全てだと思っていた部屋をでて本当の世界に初めて触れるシーンは今までになかった感動を覚えたし、この映画からは得るものが非常にたくさんあった。まだ若い2人の今後に期待が高まる。
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