ルームのレビュー・感想・評価
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立てつけが大きすぎる普通の母子物語
カナダ・トロントで7年間監禁されているジョイ(ブリー・ラーソン)。
監禁場所は犯人の裏庭にある納屋で、そこで犯人の子どもを産み、いま5歳になった。
子どもの名前はジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。
犯人は週1回日曜日に監禁場所を訪れ、ジョイに肉体関係を持っていた。
入口のドアには内外からナンバーロックがされており、天窓がひとつあるきり。
行く末に希望がなかったジョイであるが、ジャックの5歳の誕生日を契機に、ジョイその納屋からの脱出を試みる・・・というハナシは、まぁ、ありきたりの監禁映画のような感じがしないでもない。
たしかに、監禁されたまた子供を産むという羽目になった映画は観たことはないんだけれど。
というわけで、前半、ジョイの知略でジャックが逃げ出すまでは、それほど面白くない。
演出的には、監禁場所の狭さを感じさせるカメラワークや、犯人がそこへやってくる際にジャックはさらに狭いクローゼットに押しやられるという描写はあるものの、これまでの映画と比べと面白いかと言えば面白くないといったレベル。
この映画が面白くなるのは、ジャックの逃走劇が一息ついて、ジョイとジャックが世間に曝されてから。
それまでの狭い監禁場所のエピソードでは、その狭さを活かしてふたりのクローズアップを中心に画面構成してきたが、この後段でも、そのクローズアップ中心はそれほど変化しない。
凡庸な映画だと、救出されたのちに「世界の狭さ/広さ」を意識して、救出されたのちは引いた画で構成するところだろうが、この映画では、ジョイとジャックに寄り添うがごとくクローズアップの画面がしばしば登場する。
ジョイにとっては旧懐の世界でその広がりはあるのかもしれないが、ジャックにとっては未知なる空間、劇中の言葉を借りれば「宇宙空間」にほかならない。
この映画の見どころは、多分にここいらあたりだろう。
監禁されたまま生まれてからの5年間を過ごしたジャックが目の当たりにする世界は、あのルーム以上に母親を苦しめている世界だとジャックが認識するわけである。
この苦しみから母親を救う。
映画は後半、庇護者と被庇護者の関係が入れ替わる。
ここがこの映画の肝要なのだと思う。
さすれば、これは「普通の」母と息子の物語。
それも、息子から観た物語。
おお、おぉ。
と感銘するところなんだけど、どうにも立てつけが大きすぎて、この「普通さ加減」を描くのには過剰な感じがして、どうにも落ち着きが悪い。
母親役のブリー・ラーソンも息子役のジェイコブ・トレンブレイも熱演なのだけれど、それゆえか、どうにも普通さ加減から遠のいていった感じがしてしまいました。
箱庭の中の小さな部屋。
食料やライフラインを支配し、鍵で自由を奪い、暴力で屈伏させることでしか女性と関わることができない無職のソシオパス。
犯人像はややステレオタイプ的だけれども、言葉や文化が異なっていても性犯罪者のイメージは世界で変わりないというのはちょっと驚いた。
歪んだ女性観、狂った倫理観、狭隘で閉じた世界観から産み出された、庭の片隅にある、あの天窓の付きの小部屋という病的で空疎な性犯罪者の世界。
誘拐され、監禁され、犯され、獣の子を身籠った少女にとってあの小部屋が世界の終わりだったはずだ。
けれども、生まれて来た子供にとっては小部屋こそが世界の始まりだった。
脱出を期に開かれてゆく少年の世界。
あまりの情報量の多さに、目映く正視できない様子を巧みなカメラワークと視覚効果で表現している。
救出後、世界の現実を突き付けられる。
いつの間にか母親となっていた少女に戸惑う被害者家族。
止まったままだった時間も失われた人生も、物凄い勢いで襲いかかってくる。
被害者なのに味方が誰もいないかの様な孤独感と絶望感。
この辺りが一番難しく重苦しいかもしれない。
誘拐監禁事件をモチーフにはしているけれど、世界の認識についてが本来のテーマなんだろうか?
だとしたら現代思想好きにはいい映画かもしれないけど、重苦しいテーマでジャック役の子役の名演が無ければ徹底的に胸を締め付けられるだけで映画館を後にしただろうと思う。
終盤にジャックが「この部屋縮んだ?」と問いかけるシーンは印象的。
説得力がある
2部構成だったんだ!!
恐さを受け入れて乗り越えろ
久々の当たり作品
なんなんだ、この子役のうまさは!!
監禁もの。といっても日本の映画のようにジメジメッとしないのがアメリカだなあ。
さあ脱出できてメデタシメデタシ、っていかないのがこの映画の支持される所以なのだな。
晴れて自由を手にしたと思いきや、おそらく自分が誘拐されたことが原因で離婚してしまった両親、犯人に手を付けられた自分を汚れたものを見るような目で見る父親、その父親はジャックと視線さえもあわせようとしない、見舞いにさえ来ない親友たち、心無い質問を容赦なくあびせるインタビュア、、、帰ってきた世間がこんなにも居心地が悪いとは思いもしなかったジョイ。
結局、監禁されていた7年間、自分だけが苦しんでいたのではないか?、一緒に暮らしてきたジャックでさえ、自分の犠牲にしてきてしまったのではないか?せっかく自由な世界に戻ったのに、どんどん殻に籠っていってしまうジョイだった。
それに引き換え、たった10㎡の部屋から広い世界にやってきたジャックは、どんどん新しいものや人間関係を作り上げていって順応していく。
そんな対照的な二人が痛々しく、行く先が危ぶまれて切なくなっていった。
でも幸いだったのは、レオの存在だったんじゃないだろうか。
バアバがいくら味方でも、レオが注意深く二人を迎え入れてくれたからこそ、徐々に落ち着きを取り戻せる環境ができたのではないだろうか。
そしてジョイにとって、ジャックが希望の光であることを改めて気付いたことで、全ては好転していくのだ。その過程に、胸を打たれずにはいられないほどの感動があった。
ジョイ役のブリー・ラーソンがオスカーを獲ったのは納得するとしても、子役のジェイコブ君だってすごかった。ありゃあ天才だ。
前評判良くて
暗い中の光
希望のある話しでは無いです。
泣けるというより…。
数々のレビューを見ながら、映画館へと足を運び、いざ作品鑑賞となったわけたです、バッグからはハンカチも用意して目からの失禁を覚悟して。途中、その部屋の中しか知らない息子の発言に対して母の表情や返答などなどウルっとくるところはあったのは確かだと思うのですが。ですが、その後2人が救出されてからの生活はというと、みんなの表情も暗い場面も多く、部屋の中しか知らずに5年という歳月を過ごした子にとっては怖い思いもあっただろうが、確実に母とずっと共に入られて、救出された後の生活に比べると、あの部屋の中の生活の方が…。と思わされる発言もあり、なんとも妙な感覚でした。しかし、そんな環境の変化に対応出来ず苦しめられるという事も含め監禁という事件の大きさを感じさせられました。
母と息子にしか分からない関係性についても、何とも勉強不足で…前置きが長くなりましたが、結局のところ持っていたハンカチを濡らすことはありませんでした。ただ、だからと言って、泣けないから悪い作品なんて言いません。もちろん、みんなにオススメしたい作品だと思うし、レビューしたみんなの感想の様に演技も抜群のcast達、それぞれの想いを抱えこれから生きていく事を考えると、とても深い深い作品なのだと感じましたね。なんとも印象に残っているのは、皆んなで夕食を楽しむ、楽しみたいシーンでウィリアムHメイシー演じる父が本来、孫である子を見れない!考え方はたくさんあるのかもしれませんが、自分が父ならやはり、仲良く出来るのは、かなり時間を要するのかな、と考えてしまいましたね。
強いのは母だけではない
19歳の頃から実に7年間「部屋」に監禁されていた母のジョイとその息子、5歳のジャックの「部屋」からの脱出とその後を描いた作品。
オールドニックという人物に監禁され、望んでいない妊娠ながらも授かったジャックという宝を必死に守ろうとするジョイ。
母とずっと一緒にいることのできる「部屋」が「世界」ではないことを唐突に告げられ、受け入れられずに反発するも、母の願いを叶えるために怯えながら脱出計画に臨むジャック。
見事脱出に成功した2人に待っていた本当の「世界」とは?
冒頭の幸せそうな2人の様子とは裏腹にどこか絶望的な雰囲気に息が詰まる作品。
「部屋」を出るまでの過程を感動的に描いた作品と思っていたが、違った。脱出したあとめでたしめでたしで終わらせずに、2人の心情の変化を周囲の人間とともに描いた点が非常に素晴らしかった。
「世界」だと思っていた「部屋」から半ば強制的に追い出されたような形で新しい「世界」に触れたジャック。この時のジャックの視点がピントが合わなかったり、光が目に強すぎたりと初めての「世界」であることを強調していた点と散歩していたおじさんの優しさと女性警官の勘の良さが非常に良かったこちらがお礼を言いたい笑。
母とオールドニック以外の初めての人間に驚き、急に現れた祖父と祖母にすら挨拶もできない怯えよう。
そのジャックが少しずつ心を開いていく様子に感動する。
血の繋がりのないレオにも懐くようになったり、近所の人と話すことができるようになったりと自然の変化に見えるが、ジャックにとっては大きな変化。
バァバ大好きと言ったシーンで自然と涙がこぼれた。初めてですこんなの笑。
ジャックが新しい「世界」に適応して行く一方で、「世界」に戻ってきたジョイは徐々に7年の月日の経過を感じ始め、後悔と怒りでやりきれない気持ちに困惑する。
世論の勝手な想像を払拭するためにテレビに出演したり、気持ちを落ち着かせるために薬剤に頼り、昏睡状態に陥ったりと不安定なジョイを支える祖母たち家族やジャックの存在。
守ると心に誓っていたジャックに実は支えられていたんだと気付き、ジャックと向かい合うジョイの姿も涙ぐましかった。
最後に再び「部屋」を訪れるシーン。たとえ5年間監禁されていた空間であっても、ジャックにとっては「世界」であり、その「世界」に別れを告げたあのシーンで2人が前に進もうとしていることを示していると感じる綺麗な終わり方だった。
ジャック演じるジェイコブトレンブレイ本当に素晴らしかった女の子に見間違うほどの容姿だけでなく、「世界」を見たことのない少年という難しい役柄をこんなにも表現できるかと驚かされた。
主演のブリーラーソンだけでなく、彼もオスカー受賞してもいいと思える演技力だった。
順調に成長していってくれることを期待しています!
監禁された状態で、 どうする事が、子供にとってベストなのか?
当該作品は、
アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を
映画化した作品です。
7年間監禁された女性と、そこで生まれ育った5歳の息子が、
長らく断絶されていた外界へと脱出し、
社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマです。
2月29日の第88回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、
息子とともに生きようとする母を熱演した「ショート・ターム」のブリー・ラーソンが、
主演女優賞を初ノミネートで受賞しました。
しかし、作品を観ると、むしろ息子役の男の子に何か賞をあげたい気持ちになりました。
先週末興行成績は、初登場8位でした。
当該作品では、主人公の女性が誘拐・監禁それた上に、
妊娠・出産をし、息子は、5年間監禁部屋しか知らない為に、
話が複雑化します。
最近、日本でも、中1から中3までの2年間監禁された
「女子中学生拉致・監禁事件」が、
先日起こってしまいました。
当該作品は、
誘拐・監禁が悲惨である事を訴えると同時に、
解放された後の方も、厳しく辛いという事も映し出しています。
結婚して、子供が授かると、特に、母親は強くなります。
しかし、今回の場合は、監禁された状態で、
どうする事が、子供にとってベストなのか?
を問いかけます。
大変難しい問題で、安易に回答できません。
また、
当該作品を通じて、日本での事件でも、
我々ひとりひとりが、解放された中3の彼女の為に、
誘拐された両親の為に、
何が出来るのか?どうすべきなのか?
を、考える良い機会になるかも知れません。。。
重い作品ですが、お薦めです!
「ドラえもん」などは、公開館数が363ケ所なのに、
アカデミー賞作品賞ノミネートされた8作品中の1作品なのに、
73ケ所でしか公開されていないのは、どうして?!
Michi
[PS]
我が家のフェレット・Georgieも、リビングしか知りません。
"ROOM"です。。。
近所の不審な家とか倉庫とか気になるやん
先日の日本でも同じような事件報道あったばかりですし、この主演女優はオスカー取りましたし・・・
2時間がとても長く感じて、心に突き刺さるタイムリーな作品です。
監禁され母となった女性は、当初の絶望感から服従を演じる事で我が子の成長を待つ・・・そして機が熟した所から物語は始まります。
その母子の会話やルームに漂う臭いまでが、画面から伝わる演技に脱帽ですが、救われた後の葛藤描写に見応えありです。
しかしあの女性警官の機転と判断が凄すぎる^^;
CGを駆使した超大作からこういう作品まで、制作できるハリウッドの凄さを痛感する。
昼間じゃなく夜、一人鑑賞がいいと思います〜☆4.4
日本でリメイクするならって考えると・・・
尾野真千子さんと芦田愛菜ちゃんが、マザーやった時ならって感じかな!?
難しい作品
子役男の子の演技に魅了されがちですが、これ身近に監禁されたらどう対応するか突きつけられた重い作品でした。
被害者の家族は実は彼女のことを諦めていたのでは?
離婚しようが勝手だけど、見つかってから家族 親が現れたので、例えば懸賞金を出して最愛の一人娘を必死に探す..探し続けるそんな場面が一つもない。
実は彼女を心配してる人なんて一人もいないのでは?とも見えてしまう友人すら現れない。
もし誰からも心配されてないなら被害者の女性が大変みじめに映ります。
それに加害者なんて監禁に対して反省してないと思います。
これが現実 身内で監禁誘拐が起きた場合に自分は被害者を探し続けることができるか本当に駄目なら挫折してしまうのか非常にわかりません わからなくなってきました。
なのでこの作品感動よりは何も解決してないそして、被害者の家族の考え気持ちがわかりませんでした。
サスペンス→ヒューマンドラマ
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