「「世界」を分けるのはルームだ。「世界」を知るのもルームからだ。」ルーム critique_0102さんの映画レビュー(感想・評価)
「世界」を分けるのはルームだ。「世界」を知るのもルームからだ。
私たちにとって「世界」はルームだ。
誰にとってもルームの壁を越えないかぎり、新たな世界に出会うことはない。それは母親であれ子どもであれ、そして父親であれ同じだ。それぞれの壁の向こう側にある新しい世界は、それまで壁の内側の世界を共有し続けてきたものにとって全く理解できない世界になるかもしれない。
ある者が新しい世界を手に入れた時、ともにいた者が同じように新たな世界を手に入れるわけではない。昔の世界にそのまま居続けるかもしれない。
今まで自分がいた世界が「こんなに狭かったんだ」と言えるようになった時人は新しい世界に出会う。
・・・この映画に登場したどの俳優も素晴らしい演技だった。
アカデミー賞女優のブリー・ラーソンもそうだし、母親役のジョアン・アレンの抑制の効いた演技、娘が誘拐された後、心の葛藤で自分を傷つける父親のウィリアム・H・メイシー、外から家族を見守る(新しい世界への案内人)トム・マッカムス、ショーン・ブリジャースの犯人ぶりも。
そして何と言ってもジェイコブ・トレンブレイだ。子どもに大人びた演技をさせることはたやすい(日本の子役のほとんどがそうであるように)。しかし、子どもに、その無邪気さを演じさせるのは容易なことではない。子ども「が」子ども「を演じる」のだから。
本当に演技なのか、それとも彼自身なのか。それを考えてもかれは素晴らしい「俳優」だった。
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