レッドタートル ある島の物語のレビュー・感想・評価
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挑戦的アートアニメーション
この映画には省略がほとんどだ。 登場人物は誰なのか、どこの人なのか、どこから来たのか、場所はどこなのか、時はいつなのか。 情報過多な現代において、近ごろの映画は情報が多すぎる。無駄な設定が観客の想像の余地を奪っているのだ。 そんな現代の傾向の中で、この作品は挑戦的なものと言えるだろう。 また、アニメーション的にもこの映画は優れている。計算された画面構成が美しい。 人間も、アニメート的にも本質的にもうまく描かれている。 今興行的に成功しているアニメ映画「君の名は。」とは対極的な作品になるだろう。
これぞアニメーション
世間は君の名はに浮かれているが、我々はこの81分のサーガを観よう!
素朴な絵作りはエドワードホッパーとウィリアムターナーを思い出させた。蟹や鳥、コウモリなどを映すことで上手く時間の経過を表していたのは宮崎駿に通じるものを感じた。
幾何学的な直線をもつものが一切なく、本来人間はどんな生活をしていたのか、本来人間にとって大切だったものは何かを必死に伝えようとしていた。
初めの方で主人公が樽を見つけ、取りに行こうとしたら岩の間にはまり、なんとか潜水して脱出するシーンがあった。しかし樽はからっぽだった。これは我々人間のメタファーではないだろうか。
おそらく全編にわたってアダムとイブ、そしてノアの洪水がモチーフとなっているだろう。
最後に映画はセリフが少ないほど面白いと思う。
試されているのでしょうか?
正直なところ、よく分かりませんでした。 人生は、夢のようなもの? あるいは、夢そのもの? あるがままに受け入れるしかないし、世界には選択肢がそもそもない環境で人生を送っている人がたくさんいるし、そこにだって掛け替えのないものがあるんだよ。 何か超越的なもの、よすがとなるものを欲したり、救いを求めたりする作業は必要ない、淡々と生きていけばそれでいい、ということなのかなぁ。 津波体験においても、失ったなにかを取り戻すために、精神性の深いところまで辿るような作業は必要ない、まずは生きろ!ということでしょうか? 赤い亀という何かの暗喩とか象徴と思われるものを提示しつつも、人生は物語性を追うことよりも、目の前の、足もとのまずやるべきことを着実にやることが大事⁉︎ こんなことしか浮かびませんでした。まだまだ勉強不足です。
亀の恩返し、叉は亀に囚われた男の物語
感覚としては「ライフ・オブ・パイ」を思い出す寓話的な物語。叉は「蟲師」の竹林のお話が近いかもしれない。個人的にはあの【甲羅を着ている姿】をもう少し見ていたかったwとても美しく同時に厳しい無人島の自然の中で、唯一の癒やしはカニでした♪
伝説…?
ファンタジー。マーメイドに近いのかなー。どこかの島に残る伝説みたいなお話しでした。 水彩画タッチな絵とフランスらしい人物絵がなんとも叙情的。文明の力もなく人間だけで生き抜くことのなんと尊いことか…。子供と親と人生と。 綺麗な作品でした。
幼児、小学生は…無理かな?
会話や、モノローグでの声はいっさいありません。
海鳴り、波音、草のざわめき、鳥の声など、会話がありません。
荒れ狂う海に投げ出された男が、島に流れ着く。気をとりなおし島を探検して、果物や竹を見つけ、小舟を組む。
海に乗り出したが、海中から何かに突き上げられて、舟はこっぱみじん。
それでも、再度トライ。また、突き上げられて大破。
英気を養い、大きな舟にして海に乗り出したが、またもや大破。見たら亀が突き上げていた。
また島で舟を組んでいると、浜にあの赤い亀がいた。
怒り心頭で、亀を叩き、ひっくり返して放置。
亀は動けない、そのうちに動かなくなる。
罪悪感が出て、亀に水を掛けるが動かない。死んだ?
或る日、亀を見たら長い髪の女性になっていた。甲羅から手足と頭が出ている。
男は木と草で日差しを遮り水を与えていると、目を覚ました。
経年。いつの間にかふたりの間に男児が産まれた。
言葉を持たず、三人で生活。
青年になった息子と男と女が或る日、浜にいると海鳥が騒ぐ。
今までにないくらい騒ぐ。沖をみたら津波。
島は津波に飲まれてしまう。息子が気がつくと、一緒に逃げた母がいない、父も見当たらない。
島を探し母を見つけるが父がいない。
沖まで探しに亀と行くと、竹につかまり今にも消えいりそうな父を見つける。
三人で島にある木々の残骸を焼いて、また季節が過ぎる。
青年は、海の向こうを目指して行きたくなる。
両親は止めない。亀と一緒に泳いで島を離れた。
またふたりになった男と女。
もう、初老のふたり。
或る日、男は海を見ながら逝ってしまう。
女は悲しみ、赤い亀になり、海に帰っていく。
津波のシーンがリアルで、心がザワザワとした。
大人の子離れ…がテーマかな?
自然に生かされているということ
淡い色使いの中に浮かび上がる、南の島。 そこに流れ着いたのは一人の男。 いかだを作り、島から脱出しようとするのですが…。 毎回、いかだは何者かによって壊されてしまうのでした。 そんなある日、島に流れ着いたのは赤い髪の女。 彼女は何者なのか? どこから来たのか どこへ行くのか いのちは? 彼女の存在が、かれの生活を一変させます。 島で生きることを決意した彼は、いかだ作りを止めて、彼女との生活を始めるのです。 島に茂る草、竹、芝。 海のさざ波、水の戯れ。 自然が作り出す音のハーモニーと共に、人は生かされていることを改めて思い知らされます。 島での生活を続ける中で、二人の生活はどんな終末を迎えるのか? そして、彼女の正体は一体誰なのか? 映画を見終えた瞬間、鳥肌がジワジワと全身を包みこむ感覚に襲われました。 自然の中で生きていること、生かされているということを感じる神秘的な映画です。
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