レッドタートル ある島の物語のレビュー・感想・評価
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唯一無二の表現の豊かさよ
短編「岸辺のふたり」があまりにも感動的だったので、長編になるとどんなすごいことにならのかという短絡的な考えはいい意味で裏切られた。 短編な尺である親子の人生を描ききってしまった「岸辺のふたり」から、とんでもない飛躍を遂げているわけではない。むしろ舞台は大きく広がっても、物語のサイズは変わっていない。 ただ、一瞬一瞬の描写の緻密さと繊細さ、それでいて大胆な挑戦の数々に魅了されるばかり。 無人島で形成されるシュールな家族の物語を深く解釈しようとは思わない。ただ、目の前に展開するひとの、自然の、そしてカメの営みを見つめているだけで、なんとも贅沢な時間を味わうことができるのだ。 ジブリ製作とはいえ実作業はヨーロッパで行われたようだが、「ポニョ以降」を感じさせる波の表現だけでも、ジブリの功績を推し進めた継承者として激賞されるに価すると思う。
優しくあったかく、悲しいけど幸せ。
なんていったらいいのかね。。。 無人島に流れ着いた男が女と不思議な出会いをし、子供をもうけ、老いていくお話。 幸せだったね。 子供はどうしたのかねぇ。 自然に帰ったのかなあ。 静かに自然に文字通り身を任せたら、こんな幸せな終わりかたもいいね。
セリフなし。説明なし。
セリフなし。説明なし。 なので、感じるしかない。 まさに 考えるんじゃない。感じるんだ。 という作品。 ストーリーは特別素晴らしいってワケでもないが、とにかく美しい映像と音楽に癒される(^^)b
瞑想してる頭の中を描いたみたいな映画。諧調豊かなモノクロの夜が素晴...
瞑想してる頭の中を描いたみたいな映画。諧調豊かなモノクロの夜が素晴らしい。人生はときに脈絡もなく展開する夢のようでもあるなあと思いつつ。
カニは友だち
島でのサバイバル生活を過ごすのかと思ったら、いきなりイカダによる脱出劇。しかし、船底に何かがぶつかり、イカダはバラバラ。さらに大きなイカダを作り・・・と3度繰り返すも、赤いウミガメのおかげで砂浜に引き戻されるのだった。ある時、陸に上がったウミガメを恨みを込めて殺してしまう男。しかし、罪の意識に苛まれ、生き返らせようとするも手遅れ・・・その後、甲羅が割れ、そこには人間の女が一人倒れていた。 色んな解釈ができそうな物語。細かく繊細な手描きタッチには優しさも感じられるが、人間の奥底にある憎悪も潜んでいる。序盤ではウミガメが産卵した砂浜から子亀がよちよちと海に向かっていく光景をじっと見ていた男。彼はカニも取って食おうとはしない。漂着したアザラシ(?)はちょっとだけ食おうと試みた。 全ては男の妄想か?赤ウミガメは神の使いか何かで、男に子孫を残そうとする本能に応えたのか?どちらにしても幸せな一生を送ったに違いない男。しかし、赤ウミガメを殺した罪と贖罪については物語は答えてくれない。 浦島太郎だったら、鶴の恩返しだったら、手塚治虫の「火の鳥」だったら?日本人の感覚からすれば、カメを助けなければこうした幸福感は得られないはず。もしや、ひとつの罪のために、カメとの異類婚姻譚で子孫を儲けるものの子どもを旅立たせてしまうといった罰なのか。それとも本当にウミガメ女が男に恋しただけ?などなど、頭を混乱させる内容でした。でも最後はちょっと悲しい。
ジブリではない
退屈っちゃ退屈かもしれないがこのテンポがこの監督のやりたかった雰囲気で伝えたかった情感なんだと思えば不思議な絵でキレイな動きでいい映画だと思います。 ただ個人的には付いていけませんでしたです」。
商業的成功は無くとも
現したいものを作り、表現する事自体に意味を感じる作品。 ジブリ絡みのような表現もあり、誤解を受ける事もあるだろうが、今のジブリが実験的機会でもない限り作らないタイプの作品である。 物語はセリフらしいセリフはなく、冒頭から遭難した男の短絡的な行動を見せられる。 漂着した島で飲み水、食い物を探し筏を作り島を出ようと画策するが海中からアカウミガメの攻撃で筏を壊され続ける。 しかし陸に上がってきたアカウミガメを発見した男はアカウミガメを殺してしまう。 カメを殺した事に苛まれながら、カメに寄り添う男。 そして衝撃の展開!カメが女になっていた。 カメ女は自らの甲羅を海に流し、島に住む姿を見せた為、男も筏を海に流し島でカメ女と一緒に暮らすようになる。 だが浦島太郎とは逆なのでエライ心配になる。 この時点で想像力を喚起させながら観ることを余儀無くされ、突如幼児が現れるので「お?おお!」となり、新しいおとぎ話を見せられている気分になった。 子どもに見せたらどんな反応をするのか?興味深い。ただ反応を見るだけでも面白いが、この作品のナレーションは横に座った親がすれば絵本を読んでいるようなものではないか? 絵本1つ読んでもその家の親が読んだ雰囲気で違うと思う。 話は反れたが親子三人暮らせるだけのモノがあるのだろう…子どもはスクスク成長した頃に突如海が引き津波によって流される。 助かった後の後片付けを見ていると作品とは関係ない事を思い出すのは日本人だからだろうか? 成長した息子が他のカメと共に島を旅立ち、男が眠るように寿命を迎えた時にカメ女は寄り添い、アカウミガメなり海へ帰っていく。 色々な解釈が各々にありそうな作品ではあるが、始まれば黙って観てしまう力がある作品ではある。 「なんだこれは?」と感想を言い合うのも良し、 しんみりと浸るのも良し…といったところか?
自然の猛威が美しい
アニメとしての映像美の美しいこと。かぐや姫の物語に通じる力のある絵づくり。人物もシンプルでありながら、細かな所作に生命を感じさせる。 画面は最高! なんだけど、話がいまいちよく分からなく、なぜそうなった?的な展開が。終了後、どんな気持ちになれと?って感じ。
幸せの在り方を考えさせてくれる良作
製作者の意図はわからないが、多くの人に認められたいと思ってしまう現代社会において、幸せとは何かを考えさせてくれる、そんな作品だった
一人きりで幸せになることは難しいかもしれない
しかし、一緒に楽しいこと辛いことを共有してくれる人がいれば、十分に幸せを感じられるのではないだろうか
漂流した場合、普通は元の場所に戻ろうとするが、幸せになるために元の場所に戻ることは必ずしも必要ではないのではないだろうか
レッドタートルが女性に姿を変えたのは男の妄想だったのかもしれない
しかし、男は幸せな死に方をした
それは決して悲しことではないのではないだろうか
ストーリーメモ
漂流した一人の男が腹いせにレッドタートルを殺してしまう
しかし、そのレッドタートルが女性となり二人は愛し合う
子供にも恵まれるが、子供が独り立ちした後、男は死んでしまう
レッドタートルは元の姿に戻り海へ戻る
ひたすら静か
ひたすら静かで美しかった。 男が島に流され、女が島に現れ、子供が生まれる。父の属した世界は島から遥か遠く、母がかつて居た世界へと息子は巣立つ。男は老いて死に、それを看取った女は故郷へと帰る。ある島での物語はこれでおしまい。 かなり、淡々としているので、観る人を選ぶと思う。
異種婚姻譚の傑作
涙があふれて止まらなかった。 男は亀のせいで島から出られず、人生が大きく変わったのかもしれないが、亀(女)の愛を受け入れて、生きていく。 世界中に伝わる異種婚姻譚の寓話そのままで、話はありきたりではあるけれど、シンプル故に哲学的でもあり、命の営みや幸せとはを考えずにいられない。 砂浜の蟹、嵐、打ち寄せる波、絵が美しく儚く、ずっとこの世界に浸っていたかった。 子供が島を離れ、老い、女を看取った後に男に去来する思いとは。 人間は考える生き物だから、ついこの男の人生とは、などと意味を考えたがるが、では高度な頭脳がない動植物の存在は意味がないのか、と問われればそれを人間が判断すること自体が無意味だと思う。 男も亀も命の循環の一つにしかすぎず、男はあのまま死に、朽ちていき、島の一部となる。世界の片隅で愛し合った一つの命が終わる。不思議な幸福感と切なさでじわじわ胸を浸していく。 無声だからこそ、より伝わるものがありました。
映画を観た人がみんな幸せな気持ちになる
スタジオジブリが、フランスとベルギーのアニメ会社と合同合作で作ったアニメーションフイルムだ。高畑勲が、アーテイストプロデューサーとして製作に関わっている。
監督: マイケル デュドック ド ヴィット
制作: 鈴木敏夫、ヴァンサン マラヴァル、パスカル コシュトウ、
グレゴワール ソレラ、ベアトリス モーデュイ
製作会社:スタジオ ジブリ
プリマ リネア プロダクション(フランス)
ベルビジョン(ベルギー)
公開: 2016年5月
この作品は、スタジオジブリにとっては、初めての国外との共同制作による作品。第89回(2016)アカデミー賞アニメ部門ベストアニメフイルム候補作。2016年カンヌ国際フイルム祭で、視点部門特別賞受賞。
総監督を務めたマイケル デユドク ド ヴィットは、スタジオジブリ本社のある東京都小金井市に一時転居して、じっくり腰をすえてジブリの面々とシナリオと絵コンテを完成させて、高畑勲らの同意を受けてから、フランスに戻って本格的な製作に着手したという。彼は「人間性を含めた自然の深い敬意、そして平和を思う歓声と生命の無限への畏敬の念を伝えたい。」と語っている。
ストーリーは
男が乗っていた船が難破し、漂流した末、無人島に流れ着く。男は島に湖を見つけて渇きを癒し、木に登り果実を取って飢えをしのぐ。やがて枯れ木を集めて筏を作り、島から脱出しようとする。しかし、やっと海洋に出たと思うと、筏が何かにぶつかって壊れてまた元いた島に泳ぎ着く。再び、今度は強化した筏で海洋に出るが、筏が何か障害物に当たって壊れてしまう。3度目に男が筏を組んで海洋に出て、筏がまた壊されたとき、男は赤い大きな亀を見つける。男は悔しさと怒りで一杯になって浜に上がって来た亀をひっくり返して灼熱の太陽で焦がして死なせてしまう。
しかし驚いたことに、翌日亀の甲羅のなかには美しい女が眠っていた。男は女に水を飲ませて世話を焼く。女は目を覚まし、やがて二人は恋に陥る。男はもう島を脱出することを考えない。二人は仲好く島で暮らして、元気な男の子が生まれる。男の子は泳ぎも潜水も上手で、大きな亀たちを友達にして成長する。年月が経ち、男の子は一人前になって、外の世界に出て行く。そして、男は年を取り、女に看取られて静かに死んでいく。女は愛する男を亡くしてひとり、海に帰っていく。その姿は大きな赤い亀にもどっていた。
というおはなし。
台詞もナレーションも全くない。あるのは、波の音。波がぶつかり、弾けて水しぶきが上がり、水の泡が砕ける。鳥たちがさえずり、木々が風にゆられ、枝がぶつかり、こすり合い、木の実が落ち、草草がざわめく。男の砂を踏む音。女の髪が揺れる音。子供が岩を走る音。男の溜息。ひそやかな女の足音。
海に沈んでいく太陽が眩しい。美しい画面が詩になっている。
女が自分の体を包んでいた亀の甲羅を海に流しに行く後ろ姿を、男が観ている。しばらくして波の間から女が、砂地に居る男を見つめる。男は、はっと気が付いて自分が着ていた、たった一枚のシャツを脱いで、波打ち際において、島の奥に入っていく。次の画面では、シャツを着た女が、陸に上がり男の後をたどっていく。このシーンが好きだ。男の、ほのかな羞恥心と、期待と、ジェントルマンシップ。とてもやさしい男なのだ。
ジブリのアニメ―ションには、いつも元気で正しいことをする女の子が出てくる。このお話も、赤い亀が男に片思いするところから始まる。赤い亀は男に恋をして、男が島を出て行って、遠くの人間社会に帰って欲しくなかった。だから彼が筏で島を脱出しようとするたびに、筏に体当たりをくらわせて、男を引き留めた。そして自分の思い通りに男の愛を受け、幸せな夫婦になり、自分が愛した男を最後まで看取って、自分の思いを遂げた。強い意志を持った女なのだ。ここまで自己完結した完璧な人生を、彼女は自分で選んで、そして生きたのだ。幸せ者と言わずに何と言おうか。
このフイルムを見た人は、みんな幸せな、優しい気持ちになることだろう。それがスタジオジブリのマジックだ。
「理解できない、意味がわからない、何が面白いの、」
日本人は製作側に何でも求めすぎでは?
日本人は何でも自分の常識内で物事を判断する
もっと世界は広いんだ
私も初めジブリ作品だと思い観ましたが確認すると会社が携わっただけで作ってはいません
この作品には無駄な言葉がないからこそ伝わる人間と亀との種族(?)を越えた温かい心が通っている素晴らしい作品だった
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