「繋がる想いを彩る、澄みきった映像と音楽!」君の名は。 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
繋がる想いを彩る、澄みきった映像と音楽!
通常スクリーンで鑑賞。
原作は既読です。
原作は「転校生」的なボーイ・ミーツ・ガールと思って読み進めていましたが、中盤に明かされた衝撃の事実に唖然とし、そこから始まる怒涛の展開とカタルシス満載のクライマックスまでページを捲る手が止まりませんでした。なんと云う発想力なのだろうかと、新海誠監督の才能に惚れ惚れしました。
結末を知った状態で鑑賞したわけですが、「だからどうなんだ」と言わんばかりの鮮烈な映画体験でした。
原作を先に読まなけりゃ良かったな、と…。何も知らない状態で観たかったです。後悔の念を覚えました。
実写かと錯覚させる緻密で流麗な風景描写。煌びやかで幻想的な中に残酷な美しさが際立つ彗星。RADWINPSの澄み渡る歌声。映像に見事にマッチングしたメロディーと歌詞。…
どれもが刺激的で、ひとつひとつの完成度の高さに圧倒されました。どれかひとつでも欠けていたら、こんなに魅力的な映画にはならなかったんじゃないかなと思いました。
特に良かったのは、三葉が人々を救うためにボロボロになりながら全力疾走する場面で流れた「スパークル」。歌詞の内容に涙が止まりませんでした。こんなにも美しく、抒情的なラブソングは今まで聴いたことがありません。映像との相乗効果を図る上で、これ以上無いマッチングなのではないかな、と…。傑作映画音楽のひとつに数えても良い気がしました。
普遍的な青春恋愛物に加味されたSF要素が、ふたりの恋の切なさに拍車を掛ける効果を持ち、運命的な物語を盛り上げる大切な要素になっているところが斬新だと思いました。
日本古来の伝統文化も織り交ぜながら、ロマンを感じさせられる伝奇的な設定も構築して、日本だからこそつくり得た独特な世界観の物語になっているところも魅力的でした。
誰もが共感出来、新しいと感じられる稀有な作品だったことが、大ヒットの要因のひとつではないかなと思いました。
[余談]
大都会と山間の集落と云う、日本の風景の二面性を捉えながら、そこに住む男女が互いの暮らしを知り、根底に在るものを理解し、多くの人々を救うことに繋がっていく様は、昔と今が混在する日本文化を象徴する光景にも思えました。
[追記(2019/08/08)]
「何故、宮水家には入れ替りの能力があるのだろうか?」と考えた時、もしかしたらそれは、ご先祖様から連綿と受け継がれて来た想いの結晶かもしれない、と思いました。
彗星災害はいつかまた起こるかもしれない。この厄災から自分たちの子孫を守らなければならない、と云う強い想いが、この能力を発現させたのかもしれないな、と…
今私たちが生きているのも、ご先祖様たちの想いや願いの果てであり、それがDNAとなって私たちに息づいている…。古来から脈々と繋がれて来た想いを無意識下で知っているからこそ、これほど多くの人々の共感を得られたのかも。
組紐や口噛み酒など、伝統文化が重要なアイテムとして登場しましたが、それも古来より受け継がれて来たもの。こめられた意味に耳を傾けることで、古からの想いを受け取ることが出来る。たとえその由来が失われようとも、奥底に秘められたものを感じ取ることは可能だし、瀧と三葉の繋がりを紐解く手掛かりにもなりそうだと思いました。
[以降の鑑賞記録]
2017/? ?/? ?:Blu-ray
2017/? ?/? ?:Blu-ray
2017/? ?/? ?:Blu-ray(英語主題歌音声)
2018/? ?/? ?:Blu-ray
2019/06/30:日曜プライム
2019/08/08:Blu-ray
※修正(2022/10/03)
> 原作を先に読まなけりゃ良かったなぁ、と…。結末も何も知らない状態で観たかったです。ちょっとした後悔の念を覚えました…(笑)
そっか、損しちゃうこともあるんですね。
でもきっと、読んでたからすんなり入ったこともあるんだと思いますよ。
いずれにしろ、いい映画ですよね。