「そこまで悪くはないが、説明臭いのに浅い。」君の名は。 evieeさんの映画レビュー(感想・評価)
そこまで悪くはないが、説明臭いのに浅い。
急に口噛み酒のシーンや胸を揉むシーン、組紐、油性マジックなどを画面一杯に映し何かをアピールなのか説明してくるが、特に其々が強い意味(組紐は少々意味はあると言えばあるが、さほど再会のキーになる訳でもなく、組紐自体の魅力をそう説明する訳でもなく…)を持たず、何故に今これ説明された?!と戸惑う。
そしてアップの口噛み酒・数度の胸揉み は、男性の視点であることが急に強くなり、この映画のニュアンスとはアンバランスである為に少々気持ち悪い。もっと神秘的なり、現実的な困惑を示すならもっと具体的にするなり、、
良い映画というのは、一度で十二分に満足できるもので、それを何度も味わいたくて鑑賞回数を増やすものだと個人的に思っている。
分からない部分を埋める為に何度も見るというのは、見手の読解力が足りないか、映画が結局作りが甘い故の謎になってしまっているか だろう。残念ながら、この作品は後者のパターン。
謎な雰囲気にして、何度か足を運ばせるという意図が見えるタイプにすると、せっかく素晴らしい所も全て含めて下品になり芸術ではなくなる。
それなのによく見るとクレーンが2人を表している、のような、本筋を深める訳でもないものを多く盛り込まれても、女性がネイルに拘るくらい、他からしてみたらどうでもいい。
その余力があるなら、本筋をしっかりさせてもらいたくて逆に腹が立つ。
ということで個人的に好きではない。
だが、映像は確かに美しい。組紐組紐のアピールにより組紐は売れただろうし、神社・夏祭り・飛騨は人出が増えただろうし、スマホがいざという時に全く役立たないかもよ?という問いかけ に関しては良いと思う。
SNS映え という言葉がドブの蚊のように飛び回る時代にはこのように高く評価されるのだろうが、そういう意味では賢いのだろう。
これで満足できるのはそれはそれで良いが、この感じが「最高」と評価する人が本当にこれだけ多いのなら、この国は今後大丈夫か?と、少々不安。