「悪くはなかったけど・・・」君の名は。 かずーんさんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはなかったけど・・・
見終わった後の感覚からいうと「んー、悪くはなかったけども」。
テーマが劇中にも登場する組みひもの、一葉おばあちゃんの説明のように「時間とは、行って戻ってつながってはなれてまた流れる(ような説明だったと思う)」もので、比喩ではなくそれを体現するのが宮水一族なのかあ、というのは理解できた。そして、どういうわけだか一介のフツーの男子高校生と魂が入れ替わるというのも、もしかしたら遠い昔に宮水家と何らかの縁のあった人物だから?と思わせるような説明でもある気がする。
1000年以上の時の流れは、気の遠くなるほどの命の枝葉を増やしているだろうし、遠く岐阜と東京に魂どうし引き合う理由としてはこのあたりの説明が妥当ではないかと思う。
新海作品は全作品を通じて、時間と空間によるヒトどうしの時間共有のずれをテーマとしている。よく歩道橋(むろん下には人が運転する車が走る)、駅の俯瞰(いろんな方向から行き来する鉄道がいったん点として停まるところ)がその象徴としてよく描かれる。
ただ今回は、現実世界の時間・空間に並び、この世とあの世というオカルティックなテーマをも入れてしまったために、説得力のある説明が不足になってしまった感がある。逢魔が時(誰そ彼時:たそがれどき)の説明も不十分で、そのあとに待ち受ける場面の説明が「なんやようわからんな?なんでこうなる?」という、多少の置いて行かれた感が否めない。
かといって、この作品が駄作ということでは決してなく、圧倒的なビジュアルとカメラワークは私たちの心に住む記憶を呼び覚まし、匂いさえ感じさせる。
もしかしたら何度か反芻して観て、はじめて「そういうことか!!」と気づく作品なのかもしれない。ということで、DVDレンタルしたら借ります(笑)