「三葉と瀧。」君の名は。 akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
三葉と瀧。
新海誠作品を見るのは初めてである。人間の記憶の不確かさについて非常に勉強になった。二回見ました。
黄昏時(カタワレドキ)がキーポイント。彗星衝突。田舎と都会(新宿四谷千駄ヶ谷)。男女入れ替わり。未来と過去の入れ替わり。巫女、口噛み酒。ほかにiPhone、祭り、組紐、高校生活、都会でのアルバイト、災害対応など。三年の時間差と五年の月日。高校三年の三葉は、東京の瀧に会いに行き、散々な目に会っていた。
2016年の秋に高校三年の瀧が、飛騨の山奥に彼女に会いに行き、彼らを救わなかったら、五年後つまり、2021年にみつはに会うことはできない。2016年の瀧が、糸守の歴史を変えたあと、瀧に会うまでのみつはは、なにをやっていたのだろうか。ややこしい映画だ。
飛騨旅行の後、瀧は普通に大学へ進学し建築を学ぶ。あこがれの奥寺先輩は結婚した。瀧は、千駄ヶ谷で三葉と再会する。
良かったのは、飛騨の三葉が思い立ってまだ中学三年の瀧に会いに東京に出かける場面だ。「夢の中」で何度も 東京に来ているにも関わらず、三葉は、瀧をなかなか見つけることができない。しかし、夕方の通勤電車の中で瀧を見つける。しかしその時点の瀧はまだ三葉のことを知らない!
時間軸の違う二人がコミニケーションすることは可能なのかという問いが発生してくる。多分ここがこの映画のキモだ。しかも、瀧にとっては、三葉は、瀧の住んでいる時間軸ではすでに死んでいるのだから。いや、だからこそ可能なのか。瀧はある方法で別の時間軸へ移動し、三葉たち住人を助ける。正確には、助ける手伝いをする。滝の住む時間軸でも歴史が変わり、三葉は生きている。司と奥寺先輩は、三葉には会っていないのだから、すべてを瀧の幻想と片付けることも出来る。瀧の執念が三葉を蘇らせ、ちょっとだけ(ちょっとではないか)現実を書き換えることに成功した。彗星が同じ場所に落ちることはほぼありえないだろうが、この映画もありえないくらい良くできている。
観客動員数が伸びたのはおそらく、二度三度見ているファンが多いからたと思う。どこかで読んだが、村上春樹の「ノルウェイの森」に似ていなくもない。あれは60年代を舞台にしたフィクションであり、こちらは2010年代のフィクションという違いはある。
現在のわたしが過去に生きていた女性を体験する。いっぽう、みつはの方は、三年後の東京のど真ん中に住むイケメン男子高校生を実体験する。
映像が素晴らしい。音楽との融合も素晴らしい。
編集もすばらしくよかったです。
田舎の三人と都会の三人の対比も面白い。糸森まで送ってくれる高山のラーメン屋さんも良かった。盛り込みすぎな感はありますが、わずか2時間弱で震災前後の日本人の大事な記憶を蘇らせ、生きる希望さえ与えてくれるこの作品は、稀有である。