「最初見て凡作に見えた人は幸せ」君の名は。 birdlandさんの映画レビュー(感想・評価)
最初見て凡作に見えた人は幸せ
クリックして本文を読む
最初に見た時、年齢のせいか少し醒めた気分で見てしまった。それでもテンポの良い展開、うまく配置された音楽に、よくできた作品だと思った。新海誠作品はすべて見ていたのでその映像の美しさは前提として、こんなエンターテイメント作品も作れるのかと感心した。2回目に見た時、オープニングと最後の電車シーンのつながりに、こんなもの初めて見た人に理解されるわけがないと少々呆れた。しかしそれ以降は、見るたびに仕掛けや見逃した伏線がわかって面白い。映画館で1回だけ見ても、若い人なら感情移入しやすいから、展開の勢い、雰囲気で楽しめるだろう。年配の男性が繰り返して見てみるとMacBookやX6800、トリオのHFトランシーバTS-520など見つけて、心憎いガジェットに心踊る。小説やサイド・ストーリーを読めば、曖昧だったり消化不足だったりした点が明快になる。従来の映画鑑賞の感覚からすればどうかと思うが、情報機器が溢れるメディア・ミックスの時代としては許される手法だろう。何回見れば飽きるのか、どこまで把握したら作品理解が終わるのか、少々悩ましい。初見でなんとなくストーリーを追って凡作に見えた人は、深入りすることもなく、それはきっと、それなりに幸せです。
コメントする