「本当の出会いには時間が必要」君の名は。 kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の出会いには時間が必要
ポップでキャッチーでありながら結構複雑で、とてもスピリチュアルで美しい映画でした。
爽やかで青春感満載で風景も素晴らしく、ストーリー構成も実に巧みなので、深く考えなくても楽しめます。
しかし、深く考えてもかなり楽しめる構造になってます。
この作品では、人と人との距離のことと、解り合うには時間が必要だということを感じ、考えされられました。
物理的には簡単に出会えたりするけど、実は、人と人とはなかなか本当の意味で出会うことは難しい。本作の時間のズレとか会えないもどかしさとかはそのメタファーのように思えてならない。
8年かけて2人が入れ替わったりなんとか互いに名前を覚えていようとする物語は、2人の中で重ねていく精神の旅そのものですよね。
そして、2人でさまざまな問題を乗り越えた結果、ついに名を呼び合う、すなわち真の出会いが訪れるというのがいいんです。
求めあう2人がすれ違いながらも時間をかけて困難を超えながら理解し合っていく、という誠実な恋愛のメタファーの恋愛映画(なんという解りづらい表現だ)だなぁと思いました。
『結い』という概念も魅力的です。個人の意思を超えた悠久の時間の流れと、でもまた再び巡り合うかもしれない希望もあり、胸に残るものがありました。
ただ、すでに起きてしまった災害に対する考え方が軽いというか、都合が良すぎるところはひっかかり、違和感を覚えました。過去を書き換えることは人類にとってのファンタジーだが、作品内で表現されても、もはや良かった良かったで咀嚼できないんだよね。ヘヴィなテーマをドラマを盛り上げるための一要素として軽く扱い過ぎているのではなかろうか。
面白かったし、象徴的な意味を深読みできそうな作品なのですが、上記のような理由でガチっとはハマらなかったです。