「右脳で観る映画」君の名は。 rollcheeseさんの映画レビュー(感想・評価)
右脳で観る映画
新海誠さんの映画は秒速、ほしのこえのみ視聴しています。
それらの作品と比較してとても分かりやすい話でした。だからヒットしたのでしょう。今までの作品は20代の男性が一番共感できそうな男向け雰囲気映画な印象でしたが、今回は全然違いますね。じわじわ切なさとやるせなさで嬲られることもなく見やすかったです。
こういう手紙などで交流していた人間が実は過去の人物でその過去の人物は実は死んでいてというのはどこかで聞いたことのある話ですが、それに何を+していくかは作り手の個性。新海監督は持ち味である美しい風景と未熟な男女とあらがえないはずの運命とすれ違いと宇宙っぽい何かとポエムと切なさと愛しさと心強さを混ぜ合わせ大衆が食べられる美味しい料理にしてしまったのでした。新海ナポリタン盛り付け上手で美味しい、そんな感じです。
毎日色んなパスタを食べている人は期待しすぎるとがっかりするかもしれません。でも食べたら大半の人が満足できるとっても美味しいナポリタンだと思います。
私も今回の映画が監督の作品の中で一番好きですね。終盤の「すきだ」に普通に泣きました。流れはベタすぎるのですが単純な人間には折れそうな女の子がたった一人の男の子への想いで再び立ち上がる姿は美しいしまぶしいです。遠くにいる誰かが自分のことを好きでいてくれている、幸せをねがっていてくれているという事実は、か弱い女の子に小さな村を救わせる充分なパワーとなったのだ!ああああ!鼻水が垂れました。全体を通して考えてもストーリーのテンポもよく、脇の人物も魅力的、押し付けがましく感動させてはこず、新海さんどうしたと言いたくなる優しいハッピーエンド、面白いなあ。
気になったところはそんなに無いのです。日記をつけているのだから日付のズレに気づきなさいよとかそういうヤボなあれやらこれやらは「そういう運命だったから」なんだと思うことにしています。この映画は細かい設定を味わう映画ではなくもっと感情的で、右脳で楽しむタイプの映画なのだと思うからです。エモーションなのです。エモいのです。そういうわけで随所随所がラッドのエモいMVになってしまったのは仕方ありません。そういう運命なのです。
いい歳をした人間の心にこんなに響いたので青春真っ只中の少年少女にはズドンと突き刺さってしまうのではないでしょうか。うっかり男女でいった多感な中高生は映画を見終わった後みんなカップルになってしまう危険性を感じています。(3ヶ月くらいでわかれるやつです)
そしてうっかり秒速も見ちゃってこじらせてしまう男子が増えちゃうのでしょうか。恐ろしい映画ですね。よしもっかい見よ。