「Youth」グランドフィナーレ manamboさんの映画レビュー(感想・評価)
Youth
素晴らしい映画だった。光と影、カメラワーク、台詞、音、音楽、すべてのリズムが芳潤でセクシャリティに満ちている。原題の"Youth = 若さ"は、老人が取り戻せると幻想するものではなく、自分の外に存在していることに気付くもの。欲望と恐怖の間で欲望を選択した俳優のジミー(ポール・ダノ)の決意が、自分の心境に入り込んできた。
名俳優を揃えた役者の存在感はそれぞれ素晴らしかったが、映画の表現は役者の演技や台詞に頼りきらず、あくまでも素材として、ソレンティーノ監督が存分に味を出し切る調理をしている。
ただ『グランドフィナーレ』という邦題はとても残念。映画は記号とメタファーに溢れていて、意味が映像表現をはみ出して膨らんで伝わってくるし、原題の"Youth"は逆説的な意味を表象しているのに、この邦題は、一度引退した老音楽家がラストシーンでオーケストラを指揮する、ということを言い換えただけ。この邦題をつけた人たちは、この映画を本当に楽しめたのだろうか?
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