日本で一番悪い奴らのレビュー・感想・評価
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ある薬物依存症者の物語。
狂気を描き切ったと思います。笑いながら見始めたのに最後は背筋が寒くなりました。馬鹿みたいでも笑っちゃうくらいのメチャクチャさで真剣に精一杯に生きてるのが依存症者。懲戒免職で組織から切り捨てられようとしているのに復職への希望を語り「やる気満々」って言っちゃえる…怖い。あの台詞を言った時の諸星の表情・声…病んだ者の凄みがありました。いや、本当に面白かった。
タイトルが、
まずは、綾野剛のはじけた演技に拍手。
史実を元にしたフィクションということでしが、昨今の刑事ドラマなんかでも観られるように特別な驚きとかはないが、一人の男の人生という意味では、映画として充分楽しめた。
中村獅童にピエール瀧など、印象深い脇役にも好感。
それにしても、もう少し食いつきの良さそうなタイトルはなかったもんですかね?
若干、損してるような気がするのは私だけでしょうか?
真面目に悪く
実話と思いながら観てましたが、「それくらい普通にやってるやろなぁ~」と驚きもなく。
そんな思考回路の僕が腐ってるのか、警察組織が腐ってるのか?
主人公の愚直なまでの組織への忠誠心、日本一のヤバい奴ですね(笑)
「たっぷり!」が僕の感想です。 スコセッシのギャング映画や、 「復...
「たっぷり!」が僕の感想です。
スコセッシのギャング映画や、
「復讐するは我にあり」の様に
凶暴な主人公の人生をたっぷり見せてくれた。
30年分の諸星、面白かった!
とにかくゲスい!清々しいくらいにゲス野郎だ!!
まずオープニングタイトルがよかった!
伊丹十三バリの音楽!
この映画のトーン、つまりブラックユーモアさが表れている。全開だ!
新聞の記事や写真が、はい!これからこんな映画が始まりますよ!と紹介する。物語の総括になっているのだ。
名刺をむやみやたらに配るシーン、最高です。
諸星は間抜けなんだけど、一生懸命で、素直で、可愛くて、魅力的だ。このシーンの編集のリズムもよかった。
そう、編集が良いんだよなこの作品。
あと、正視からゆっくりティルトするカメラワークが2、3カットあったが、あれも好き。
スコセッシとか北野武を思い出した。
新入社員が悪い先輩に影響されて、悪気なくひたすら悪の道へ暴走してのし上がって行く映画といえば、スコセッシのウルフオブウォールストリートだよな。その感じ強いよやっぱ。白石監督、意識してるのかな。
綾野剛の熱演も大いに評価したい。
アドリブも多かったはず。ずーっと、
「あ?おう。そうかそうか!いや〜おうおう」みたいな事言い続けてるし笑
暴力シーンもアドリブ多かったはず。
ただもっと身体の役作りをしてほしかった。
華奢過ぎてとても柔道が強そうに見えないし、老いた姿も、現実味がなかった。人気俳優だから、身体改造する余裕がなかったのかな…。それ以外はとても良かったぞ。 初めてシャブ打った時の表情もたまらんかった。
新宿スワンの時、綾野剛君は超気合い入ってて、園子温は、もう俺がやんなくてもよくね?という状態だったらしい。
それほど熱中して、演出とかにもガッツリ介入して、めんどい役者なんだろう。
今作もおそらくそうなってる笑
ヤングダイスも良かったぞ!
日本人ラッパーの中で断トツに演技うまいね。Tokyo Tribeにも通じる役。ナイスキャスティング!
諸星は最後まで、組織に利用されているという自覚はなく、むしろ組織は僕を評価して、良くしてくれたんだ!と信じきる。
空っぽの奴は染まりやすいんだよな。
「道警の皆さんに伝えといて下さい!諸星、まだまだやる気満々です!」の時は笑ったけど、ゾッとしたし、でも可愛かったし、可哀想でもあった。
ラストは、とても白石監督らしい!
これからの道警を担う希望の新人警察官が並ぶ中、カメラがゆっくり国旗に寄っていく。
「なお、諸星以外、誰も逮捕されていない」とテロップが出て、国旗ドーン!!
見よ、これが日本だ!と言わんばかり。
何て嫌味!何て突き放したエンディングだよ!凶悪の時も突き放された!
白石監督のエンディングは、信用できる!!
あの軽さに描かれたリアル
綾野剛さんの演技は、いつもなり切り感が半端ない。
この作品でも、不器用にまっすぐな熱血漢、ギラギラした闘争心、
やりきれない焦燥感、覇気を失った哀れな中年男・・・。
それらをわずかな撮影期間に演じ分けていると思えない程、
実に上手くみせてくれていました。
実際、この役に為に体重を10kgも増減して挑んだのだそう。
どんな作品にも全力で挑む姿勢が素晴らしい役者さんです。
パキスタン人の植野さんの役も良い味を出していました。
「ソウ、コレ、トウナンシャー!」
「ソウ、ミツリョー!ミツリョー!」
刑事に対して、犯罪を悪びれる事なくあっけらかんと
言ってのけるシーン、思わず笑ってしまいました。
芸人さんでも木下さんの方は、確かにドスは効いていたけど、
裏社会で生きてきた重みや影がイマイチ感じられなかったかな。
そんな空気まで演じてしまう役者さん達って本当にすごいんだな、
と逆に感心してしまいました。
この映画は監督さん曰く、もっと陰湿に暗くシリアスな仕上がりに
しようと思えば出来たが、あえてそうはしなかったのだそうです。
確かに、あの渦中を生きていた人達にとって、ノルマ達成する事が、
道警の為=社会の為であり、その為の不正もすなわち正義。
そんな認識が当たり前で、それがいかに日常だったかは、
劇中の写真ショットのシーンでも伝わてきました。
手錠をして銃を持って警察署の前で記念写真。
情報提供者のチンピラの結婚式に道警の上層も出席。
実際にそのような写真が、実に軽いノリで撮られていた。
今では考えられないような事が、信じられない理屈で
堂々と繰り広げられていた現実。
実際のところ、現場にそんなシリアスな空気など
漂ってはいなかったのだと思います。
そんなリアルをこの映画は実に良く演出していたのではないでしょうか。
上司の首吊り自殺、Sの拘置所内での自殺、この二つの死も
あえて深く触れなかったことに、その意図を感じさせられました。
Sは口に片方の靴下をつめ・・・という描写まで事実に沿わしていましたね。
自ら出頭し法廷で重大な証言を控えたSの「自殺」の真相が
明らかになることは永久に無い・・・
その深い深い「闇」を、私はあのシーンに見たような気がします。
いやー、それにしてもこの映画は余韻が長びきそうです。
闇があまりに深すぎて、人間の欲深さと生々しさが頭のあちこちにこびりついて、
窓の外の青空まで霞んで見えてきそうな、威力がありました。
映画の出来としては素晴らしい、
だが素晴らしい気持ちでいたい時には避けた方が良い、
そんな完成度の高い映画だったと思います。
映画で一番巧い連中。
いや~面白かった!怖い題材内容なんだけどかなり面白い。
まさに「愚直」ってこういうことなのかと思うくらい綾野剛
演じる主人公がバカ素直で泣ける。彼が悪事に手を染める
のは、先輩に指示されたから。上司がやれ!と言ったから。
オイオイ…お前、バカなの?と聞いて呆れるほどのこれらが
忠誠心はもちろん、正義感からくる行動だったという有様。
道警の方々これを観てどう思う?先日も確か不祥事がねぇ。
日本の警察は腐り切ってると思う反面、こんな茶番で成績
を上げようとするのはどの企業でもやっていそうなことだ。
愚直なまでにそれを追い求め続けた男を長きにわたり綾野
が一人大熱演で全うする。どう見ても本人には似ていない
(しかも柔道?)顔つき身体の彼がここまで成り切れるのは
たいしたもの。この人はなんにでも染まるから素晴らしい。
脇も脇で凄い面々で^^;怖いので割愛するが、堂に入りすぎ。
個人的にYOUNG DAISがとても良かった。Sの筆頭格だった
彼が辿る末路も悲しい。そりゃ悪いことやってるんだから
捕まるのは当たり前だろ!なのだが、本人達が一生懸命に
それをやり遂げようと模索するあたり、キツくてもう無理
なんだけどもう少し頑張ってみよう!みたいな部活のノリ
というか連帯感というか一致団結感というかが伝わるのだ。
果たして一番悪い奴らはどの輩なんだろうね?と感慨深い。
(64といい、日悪といい、警察内部の色々…勉強になります)
凶悪ほどじゃないけども。
楽しめました。凶悪ほどじゃないけど。
会社と同じで、銃を検挙するため、自ら銃を密輸とかわけわからん。しかも密輸するための資金を覚醒剤を売るだなんて、本当に馬鹿。道警ってのが北海道出身者としてはいたたまれないわ。会社と同じなんかね、春になると必死で交通違反者を捕まえてる警察と同じだね。
淡々と
R15ということで、過激なシーンがかなりあるのかと思い鑑賞しました。
見終えて感じたことは全ての物事が淡々と進んでいるなという印象。
綾野剛さんの演技には賛否両論があると思います。最初のほうと中間のところはまるで別人。そのような点で私は良かったと思います。
シナリオがうまいというのも印象的です。ピエール瀧さんが警察に逮捕させられた所で、綾野剛も同じ運命を辿るのだろうと思わされます。
そして、YOUNG DAISとデニスの植野。この二方は最初はキャスティングに資金をつぎこんでないのかと思いましたが、本当に2人ともいい味を出していました。良かったです‼︎YOUNG DAISは本当に綾野剛のことを慕っているんだなぁと思いますが、後半あたりから綾野剛がおかしくなり、それに振り回され、最後には自分の人生そのものを綾野剛に捧げてしまったというなんとも悲しい…
植野はお笑い担当ですね。笑いはだいたい植野の演技で起こりました。
中村獅童さんの演技もすごい。裏切るときはすぐに裏切る、ひどいやつを演じています。麻薬を渡した時は綾野剛を破滅においやるために渡したのだろうと思いました。
綾野剛の女となってしまった矢吹春奈さんも、最初の綾野剛に惹かれたのに、最後は身を破滅させてしまいましたね。そのような点では綾野剛の前半と後半の変わりようは、本当にうまく表現できてると思います。
麻薬を打ったシーンは、本当にこのようになるのだろうと思いました。リアルな感じでした。
このシーンをみると、本当麻薬はやらないようにと思い、悪い人とも付き合わないほうがいいと思います。
最後に、日本で一番悪い奴らとは、諸星と関わっている奴ら、というわけではなく、道警の人間全員なのだろうと思います。
実在したというところがすごい
この北海道県警における点数稼ぎに端を発する一連の不祥事も根の深い問題だと思う。
製作者、原作、スタッフ、キャストに敬意を表します。
このところ、映画に出まくりの綾野剛が、入りたての新人刑事時代から、シャブ中の悪徳警官に落ちるまでの26年間を演じる。東映/日活。
映画館でなければ集中して見れなかっただろうから、映画館で観れたことに感謝します。
覚醒剤摘発よりも拳銃摘発に重きをおいた時代であったのか。クライマックスのある事件が面白すぎる。
覚醒剤を打たれた綾野剛の演技は凄い。もちろんその他のシーンもはじけている。
実話だからヤバイ!
柔道が強いだけで道警にスカウトされ刑事になった不器用で一本気な男、諸星要一。
「刑事として治安を守る」ただただその一心で職務に邁進。しかし、要領が悪く先輩刑事から罵倒される日々。空回りする諸星に敏腕刑事の村井が刑事のイロハを伝授する。
【出世には点数稼ぎが大事‼︎自分のSを作り情報をもらい摘発する】
バカ真面目な諸星は村井の言葉を鵜呑みにしチンピラや違法中古車屋などをSとして雇い次々と手柄を立て表彰される。
公私共充実していた日々に終りが…
麻薬の密輸見逃しを道警と税関に持ちかけ、その後の拳銃200丁密輸を摘発する手はずだった…
しかし…
自分のSに裏切られ麻薬は大量に密輸され持ち逃げされた。
次の拳銃密輸の話は流れ、諸星は窮地に立たされた。夕張に左遷…
諸星の人生は正にジェットコースター。
金も女も思いのままで、街を歩けば皆んなから声をかけられ歓迎され、警察ではエースと呼ばれ……ピークを過ぎた途端に薬物地獄に急降下。
諸星がお金の為に売りさばいた薬物を自分の女が買いシャブ漬けになっていた時の迫真の演技は圧巻です。
R指定だけに暴力シーンやエロいシーンが多いですが中でも諸星が初めてシャブを打つシーンは強烈です。
綾野剛さんは凄い役者ですね。
ヘルタースケルターの時も驚きましたが今作はやっぱり主演【綾野剛】の映画でしょう。
この映画で警察の裏金やヤクザとの関係、取引など最悪な不祥事が明らかになったが警察もヤクザと同じでトカゲの尻尾切りに過ぎないのかも。
見応えありの作品です。
、
ほんとにこのようなことが現実であるのかとただただ驚いた。ひとりひとりの役者の個性を生かした演出で素晴らしい。話は警察内の悪事というものだがコミカルに描かれており楽しく鑑賞できた。ただ、コメディーと思って観るのは違う、中身はぎっしり詰まってて意外と重い内容であった。個人的にはデニスの植野さんがドツボでした(笑)
人が登り詰め、転落していくさま
人が、登り詰め、そして転落していくさまを、リアルな演技力でみせつけられた。
1人の人間が、10年20年かけて素直だがうだつのあがらない青年から、警察の闇の世界に疑問を抱く間も無くまっすぐ飛び込みその世界で変化していくさまを、見事に、ストイックに、演じあげた綾野剛、さすがです。
特に、ラストに近い場面で、ほぼ放置ぎみだった自分の女がシャブ漬けになってしまったことを知ったときの、女を泣きながらひっぱたきながらセックスするシーン。。女や自分に対する怒りと、悲しみと、愛おしさと、なんとも言い難いほど複雑に絡まりあったあの激しい表現の仕方は、監督の指示なのか、綾野剛のアイディアなのか、とにかく、切なすぎて胸が痛かった…。
シャブを初めて打ったときの表情など、
自分はプライベートでそんな場面見た事もないのに、あぁ、実際ほんとこんな感じなんだろうなぁと思わずこちらにまでズシンとくる重さ。
綾野剛に魅せられ、痛々しく苦々しい思いを抱える、素晴らしい映画でした。
それにしても、白石監督の作品で感じることだけど、普通に考えたら闇や悪の世界にいる人間にも、当然のことながら、人間関係や、絆や愛、友情があって。そこを否定することは誰にもできないなと。
悪が100%常に悪で満たされているわけではない、逆に善も常に善でいられるわけではないのだなと感じました。
衝撃が強い
怖い。とにかくその一言に尽きる。
日本の裏社会って実際は本当にこうなんじゃないかと思えるぐらいのリアリティ
諸星(綾野剛)がストーリーを進めていく中でどんどん役柄がエスカレートし崩壊していく様が見ていて気持ち悪かったし怖かった
自分に歯止めが効かなくって薬物にまで手を染めて結局落ちぶれて後戻りできなくなった諸星の人生を見て、人の栄華は呆気ないと改めて感じた
"物事には必ず終わりが来る"
日本の警察ってこんななのかな~
綾野剛くんの演技が良かった…!!と言いたい映画。
剛くん演じるハチャメチャな諸星は新人のときもエースのときも見てて面白かったけど、
そこに付いてまとう女性達が地味すぎてお色気シーンもなんか微妙。
唯一シャブ中になった女性をひっぱたきながらセックスしてしまうところだけなぜか悲しくなった。
初めてシャブを打つ時の表情はさすが役者さん!!!って
感心したけど、
あれって演技指導ってどうやってされてるんだろうw
経験者いないとできないよね。
ヤング・ダイスと獅童さんはめっちゃハマってた。
ピエール瀧さんはもっといっぱい見たかったな~。
新宿スワンもそうだったけど、強いけどイケてない男の役をこなせる綾野剛ってすごいな~って思いつつ、
やっぱ鳳仙の漆原凌がいちばん好きw
よかった
70~00年代を描いているので、時代考証につい厳しい目を向けてしまう。70年代には「違う」を「ちげえ」という言い方はなかったのではないだろうか。02年に日産キューブのZ11はなかった。そんなことが特に気になった。
70年代にシートベルトを締めるのはほよど用心深い人だけだった。中には締めている人もいただろうし、主人公の性格として描いたていたのかな。
ネット社会以前の警察で、ヤクザとどっぷりで仕事をしている生活はさぞ楽しかっただろうとロマンを感じた。80年代の悪徳警官は、80年代にアメリカ武者修行をしている日本人レスラーくらい楽しそうだ。
中村獅童がなんだかかわいらしかった。
柔道の猛者っぽい場面が見たかった。
悪い葉が枯れても悪い根は枯れない
実際に起こった警察の不祥事がベースという本作だが、
超強烈! 笑えるんだけど笑えないシーンやら
笑っちゃいけないけど笑ってしまうシーンやら、
ブラックユーモアと風刺だらけの怒濤の135分。
全編に渡って苦笑いが止まらない映画でした。
白石監督の前作『凶悪』と同じく、今時こんなに
アブない全国系邦画なんてなかなかお目にかかれない。
『汚い描写も痛い描写もエロい描写も差別発言も
タバコ吸うシーンも教育に悪いからNO!』 と
規制だらけのメディアが溢れる昨今において、
なんと言いますか逆に清々しいほどのこの“無殺菌”感。
レンタル店で7,80年代の映画でも探さなきゃ、
今日びこんな野放図な映画って観られないと思う。
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立役者は主人公・諸星の24年間を演じ切った綾野剛!
まさかここまでブッ飛んだ演技を見せる方とは思わなんだ。
真面目で志の高そうな感じの好青年だった彼が、
最初の30分で「昔はあんなにいい子だったのに……」
と嘆きたくなるほどの激ワルお巡りさんに変貌。
てか、ギラギラのシャツを着て風を切って歩く姿は
全然お巡りさんに見えませんよ。どこの組の方でしょうか。
ナメられたら終わりとばかりに虚勢を張りまくり、
立場が悪くなると開き直って逆ギレ全開。
「みんなは悪いコトしたことないんですかッッ」
の名ゼリフには声を上げて笑いそうになった。
コワモテなピエール瀧や中村獅童も良かったが、
意外なキャストが驚きの活躍を見せたのが印象的。
YOUNG DAISという方はミュージシャンだそうだが、
彼が演じたタローは、最初と最後の印象がまるきり
異なる。少しヌケてるが純粋に諸星を慕う彼の目が、
だんだんと落ち着き暗く沈んでいく様は哀しかった。
登場人物の中で一番悲惨だった男は彼だが、女優陣で
一番悲惨な役を体当たりでこなした矢吹春菜も偉い。
ダメな男を好きになったばっかりに、可哀想にね。
お笑い芸人の植野行雄演じるラシードも、ユーモラス
なのにキレると怖い、一触即発な空気が凄かった。
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銃器取り締まりで手柄をあげようとするあまり、
裏金でヤクザから銃を買うわ麻薬に目をつぶるわ、
果ては麻薬売買にまで手を染めていく諸星たち。
そりゃ銃器の取り締まりは大事だけど、
日本じゃ銃なんて誰でも振り回せる訳じゃなし、
「公共の安全を守る」という意味ではクスリの方が
被害も広範囲だし根強いしでよっぽどタチが悪い気も。
だが諸星は、手柄をあげる事=正義という思考を
配属当初から刷り込まれてしまっているし、なにより
名誉も女も手に入る“職務”の旨味に気を良くして、
職権と私利私欲の区別がまるでついてない。
「大きな善事を為すための小さな悪事」と
いつも言い訳するが、何度もやってるうちに
感覚が麻痺して、いつの間にやら悪事の方が
善事より膨れ上がっている事に気付かないのである。
いや、それとも目先の利益ばかりに目が眩んで、
気付かない振りをしていただけだったのだろうか。
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所詮は脆い金メッキに過ぎないのに、諸星の一時ばかりの
輝きを信じたばかりに、身を滅ぼしてゆく周囲の人々。
諸星自身もゾッとするほどの高さからの急降下。
クスリで身も心もボロボロになり、信頼する“弟”に
さえ相手にされなくなった彼の憐れさと言ったら。
みんなみんな自業自得なんだけど、それでも人並みに
仲間や家族や恋人を想う彼らを見ていると、なんだか
やりきれない気持ちがこみ上げてくる。
最後、自分を切り捨てた道警をそれでもかばう諸星。
とんでもなく間違った正義ではあったけど、
彼は自分の行為が世の中の為になってると
やっぱり信じたがってたんだと思う。一方で、
若い刑事の青臭い言葉にふっと黙り込んだ時、
「自分は道を踏み誤ってしまったのでは」とも
心のどこかで感じていたのではと思う。
鑑賞中はニセウルトラセブンばりの大暴れを見せる
諸星に呆気に取られるものの、けっきょく彼以外の
警察メンバーは殆どおとがめ無しというオチには唖然。
それまでの彼の犯罪行為を黙認しておきながら、
全ての罪を彼や彼の仲間におっかぶせた連中こそが
一番汚くて一番悪い奴らに思えてならない。
悪い奴ほどよく眠る。夢から覚めた悪い奴の分まで
眠りを貪る奴らが、まだどこかにいる。
<2016.06.25鑑賞>
最後の一行
エンドロールが始まる前のテロップによって全てが一変する。
見応えあった。
とんでもない社会派な作品だった。
何バブルか分からないが始終乱痴気騒ぎが巻き起こる。
酒を呑み、女を抱き、シャブを売捌き、銃を買い付ける。
これを全部、警察がやってんだから驚きだ。
今もさして変わらないんじゃないかと思う。
汚職も腐敗も、なくなってそうにないし、第三者委員会なんて体裁以外の何物でもないだろう…。
ただ、怖いのは…正義の「せ」の字も見えないって事。
この映画は、現場が挙げる犯罪なんかは、所詮はトカゲの尻尾きりで茶番だと告げる。
主役の暴れっぷりをみても一目瞭然である。
本当に正さなきゃいけない部分は、警察では届かない。
考えてみるに、恐ろしい規模の汚職事件であり期間であり、隠蔽行為なのである。
そして、主役だけが検挙されたと。
……嘘だろ!?どんな子供騙し!?
他は??
…きっといるよね、何人も。
そういう体制が何より怖い。
そうタイトルは「奴ら」なんだ…「奴」ではないんだ。
で、その「奴ら」は、警察であり、検察であり…どうやら裁判所もグルらしく、公共性のある正義など無いと改めて思い知った。
そんな事を空想してしまえる作品。
日活…か(O_O)
北海道警の腐敗というテーマに興味惹かれて、予告見ずに観に行った私が悪いのですが、わざわざ映画館で観なくてもいい内容でした。
綾野剛、生き生きと演じてましたが。
ホステスとか風俗嬢、同僚女性警官との
セックスシーン…、あんなに克明に必要?
その一方で、主人公がつるむ情報屋や暴力団らがあんな可愛いもんなの?まるで安い青春ドラマみたいな、和気藹々とした描き方に、違和感…。
主人公目線だからそういう描き方なの?…うーん…。
覚醒剤に溺れるシーンも、ああ描いてしまうと
面白半分で手を出す人、いるんじゃないのかな…。
逮捕されたら止められるみたいな誤解も招きそう。
最終的に、道警ぐるみの組織犯罪を描くには
それに対する批判的な視点が甘いんじゃ?…
とか思いましたが、
日活だから仕方ないのかな。
綾野剛のインタビューを読む限り、こういう映画だとは思いませんでした~_~;
久しぶりに、映画選びに失敗したがっかり感で、エンドロールで流れたスカパラの音楽が全く心に残りませんでした。
(^^)上半期最高
今年の上半期が終わろうとしていますが、なんと不作な年だったんだろうと思ってしまいます。
何か面白い映画ありましたかね?
スターウォーズがめちゃくちゃ面白かったですか?オデッセイ?リリーのすべて善戦。
デカプリオまあまあよかったか?
この映画面白かった!上半期最高です。どんどん真面目な警察官が落ちていくんですが、これが半端無いんですよ。
拳銃を摘発をするんですが、自分たちで覚せい剤売って、その金で拳銃を買って摘発を装うんですが、破茶滅茶です。
おとなしく暮らしている我々一般市民はこれに憧れちゃうんでしょうね。またこの映画フィクションのようで本当に
あった話のようで、警察もおっかないヤクザな組織なんだなと思いました。
映画館を出た時自分の足が軽やかになっているのに気付きました。こわいこわい。
「奴ら」は誰か
タイトルの「日本で一番悪い奴ら」がさすのは北海道警察なのは明らか。綾野剛演じる諸星やその仲間達が被害者とはもちろん言わないが、もう少し組織自体の体質や体制といったところを表現すべきだったのでは。
ただし、悪のりしていく諸星達は非常に滑稽で、エンターテイメントとして楽しめます。抑え気味の演出がどこか昭和の実録映画感というかVシネ感があり、笑えてしまう。アホだろ、こいつら。主人公達が破滅に向かうのは目に見えている訳ですが、警察組織が何ら処分を受けていないことが最後に明かされ、現実を突き付けられる。そうだ、これは実話ベースであり、ある意味現実なのだと。これ、笑ってていいのか?
全43件中、21~40件目を表示