「人が登り詰め、転落していくさま」日本で一番悪い奴ら 幸せなひまつぶしさんの映画レビュー(感想・評価)
人が登り詰め、転落していくさま
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人が、登り詰め、そして転落していくさまを、リアルな演技力でみせつけられた。
1人の人間が、10年20年かけて素直だがうだつのあがらない青年から、警察の闇の世界に疑問を抱く間も無くまっすぐ飛び込みその世界で変化していくさまを、見事に、ストイックに、演じあげた綾野剛、さすがです。
特に、ラストに近い場面で、ほぼ放置ぎみだった自分の女がシャブ漬けになってしまったことを知ったときの、女を泣きながらひっぱたきながらセックスするシーン。。女や自分に対する怒りと、悲しみと、愛おしさと、なんとも言い難いほど複雑に絡まりあったあの激しい表現の仕方は、監督の指示なのか、綾野剛のアイディアなのか、とにかく、切なすぎて胸が痛かった…。
シャブを初めて打ったときの表情など、
自分はプライベートでそんな場面見た事もないのに、あぁ、実際ほんとこんな感じなんだろうなぁと思わずこちらにまでズシンとくる重さ。
綾野剛に魅せられ、痛々しく苦々しい思いを抱える、素晴らしい映画でした。
それにしても、白石監督の作品で感じることだけど、普通に考えたら闇や悪の世界にいる人間にも、当然のことながら、人間関係や、絆や愛、友情があって。そこを否定することは誰にもできないなと。
悪が100%常に悪で満たされているわけではない、逆に善も常に善でいられるわけではないのだなと感じました。
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