ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐのレビュー・感想・評価
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タイトル変えて欲しい
たいして話題になっていないけどどう考えても好きそうな話だったので観て大正解。
タイトル前から泣きそうになる。天才を見つけた時の芝居ほど好きなものはない。もう矢吹丈を見つけた丹下段平ですわ。配役もしっかりしていて意外に(失礼ながら)しっかりとドラマを見せていく。
しかし、劇中でタイトルが重要って、言ってんのになんでこんなタイトルになってんのかな。日本の配給会社の品性は相変わらず酷い。ヒットさせたいんならしっかり宣伝する、ヒットは無理ならせめていいタイトルにして欲しい。配給会社に、この映画をしっかり見直して欲しい。
Genius
日本はとにかく洋画の公開が遅くて腹立たしいですが、この映画は初秋にぴったりだと思うのでこの時期になってよかったなあと。
トマスウルフがメインですがフィッツジェラルドとの関係が添えられていることでストーリーに深みがでていたなと思います。
鉛筆のすべる音がとても心地よくコリンファースの声の魅力も生かされています。
早速原作本も購入。この勢いで登場してきた作家の作品もマックスの影を感じつつ読みたくなってしまいます。
満点じゃないのはタイトルを原題と変えてしまったこと・・・
チケット買うときに「ベストセラー」っていうのすごく抵抗ありました。
近すぎても離れすぎても
すごく良かったです。
人との距離感の難しさを痛感しました。人との距離を縮めたり、距離をとったりするのは、決して冷たく見放すとか、あからさまに態度を変えるみたいな意地悪ではなくて、距離を取ることによって見えてくるものもたくさんあるのだと思いました。
小説を書き、編集する。作家と編集者による試行錯誤の繰り返しの結果、本が出版され、人々のもとに届きます。
作家と編集者の距離は近すぎてもいけないし、遠すぎてもいけない。バランスが難しいのです。仕事と家庭の距離感も大切です。知らない間に周りの人を深く傷つけてしまうこともあり、また、周りの人の言葉に励まされることもある。勘違いに気づくときもある。丁寧に修正していくことで見えてくるものもある。トマスの書いた小説は、人々の心に生き続けるのだなと思いました。
天才作家と敏腕編集者
実在の作家トーマス・ウルフと実在の編集者マックス・パーキンズの友情を描いた作品。
作家は名前が出ますが、編集者は名前がでません。でも、作家の名作の裏には、名編集者ありということが良く分かる作品ですが、これ、邦題だと『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』となっていて、マックス・パーキンズを描いた作品のように思えますが、実際には原題の『Genius』の通り、トーマス・ウルフを描いた作品だと思います。完全に、邦題あるあるです。
と言う事で、やっぱりウルフは(原題の通り)天才だったんだと思います。天才であるがゆえに周囲に理解されない。ちょっと判ってくれる人(マックスやアリーン)が出たと思ったら、執着してしまう。それと、才能に恵まれているのに、若くして亡くなってしまう。ウルフに、もう少し常識があって、もう少し社会性があって、もう少し社交性があったのであれば、もっともっと成功していたのでは無いかと思いました。でも、ウルフの亡くなった理由が脳腫瘍と言うことでしたので、彼の衝動的な行動の遠因は、脳腫瘍にあったのかもしれませんね。
加えて言うと、恋人のアリーン・バーンスタインもウルフには合わなかったんじゃないかなぁ。18歳も年上であったということだそうですが、彼女の衝動的な性格は、ウルフに良い影響を与えたとは思えません。もしかしたら、彼女も天才で、天才と天才で惹かれ合ったのかもしれませんが、CHEMISTRYは上手く行かなかった様に見えました。
対する“大人の”マックス・パーキンズ。彼を演じたのはコリン・ファースですが、大人の紳士を非常に上手く演じていますね。抑えた演技は、非常に良かったです。彼で、この作品は締まりましたね。
F・スコット・フィッツジェラルドや、アーネスト・ヘミングウェイなど、後世に名を残している名作家も出ています。このパーキンズと言う編集者は、超一流だったんですね。
どちらが主演男優賞⁉︎
皆さまご指摘の通り、人間にはやはり『物語り』が必要なのですね。物語りのなかで語られる、愛しさ、切なさ、哀しみ、嘆き、喪失感‥‥‥等々、様々な感情がその時々の自分の状況に応じて、共鳴するからだと思います。
優れた作家の感情表現や登場人物の言葉に触れると、
まさに今の自分の思いはこれだ、と感じたり、何となくもやもやしていたことは、こういうことだったのか、とすっきりすることが多々あります。
パーキンズさんは、多くの人びとの共感を生むであろう文章力や表現力を持つ作家を見抜く力と、それをより多くの人に分かりやすく伝えるための物語りの構成力が天才的だったのですね。
ヒットしている作品に対して、大衆受けを狙って、とか、大衆迎合だ、みたいな批評を見かけることがありますが、文学や映画のような芸術作品においては、的外れな気がします。多くの人が必要としている物語りが含まれているからこそ受けるのであって、その物語りで救われる人(たとえば、自分の喪失感もこの主人公と同じことだったんだ、と思えることで気持ちが軽くなったり、自分ひとりではないんだ、と思うようなことです)がそれだけたくさんいるということだと思います。
そのヒット作品が自分にはしっくりこないという人は今現在、その物語りを必要とする状況にはないということだと思います。勿論、芸術作品としての出来不出来は大いに語られるべきですが、ヒット=受け狙いという観点はまた、別の話なのかな、と思います。そうでないと、パーキンズさんだって、大衆の受け狙いで削除しまくったことになってしまいますよね。今必要な物語りを誰にでもわかる表現で伝えることが編集者としての務めだと考えているのだと思います。
アカデミー賞の主演男優賞や助演男優賞にノミネートされるとしたら、どちらがどちらになるのでしょうか⁉︎
やんちゃ演技が可愛いl
主役の二人の演技が素晴らしい。堅実なコリン演じるパ-キンス,やんちゃで奔放なトマス演じるジュ-ド、好対照的で実に宜しい。
スト-リ-としては、淡々としていて盛り上げに欠けるが、天才って短い一生を送る作家が多いですね。まぁ、行き詰って自殺するよりは幸せでしょうから。
genius
2016.10.03 試写会にて
コリン・ファースとジュード・ロウの夢の初共演ということ、文学ファンとしては見逃せない題材ということで鑑賞。結論から言えば良い意味で期待を裏切ってくれた。
まずそもそもが実在した天才小説家トマス・ウルフを私の中で美形俳優という認識であったジュード・ロウが演ずるということに少々の無理を感じていたのだが(何故ならばトマスは大層な巨漢の大食漢であったから)、そんなことは彼の演技を見た瞬間に吹き飛んでしまった。それほどに見事な演技だったからだ。溢れる才能やエネルギー、鋭い感性、繊細さ、無邪気さ、極端な社交性の欠如、傲慢、そして見え隠れする天才が故の不安…どう言い表せば良いのかはわからないが、そんなトマスの魂をジュード・ロウから見て取ることができた。
そしてコリン・ファースもまた、素晴らしいの一言である。カリスマ編集者マックス・パーキンズという役柄上、演じ様によってはストーリー全体を支配できたのかもしれない。だが今作のマックスはそうではなかった。常に作家たちを静かな愛を以ってして支え励ます「黒子」のような存在だった。トマスにとっては同時に友であり父でもあった。そんな難しい役どころをコリン・ファースはなんとも絶妙に抑えた演技で表現している。
相反する二人を喩えるのならば静と動、理性と感性といったところだろう。そこのところのコントラストが実に面白い。編集部の一室で無言でペンを走らせるマックスと、感情が昂り地団駄を踏むトマス。ジャズバーで音楽には興味がないと黙り込むマックスと、そんな彼をも巻き込んで「芸術家」たちの奏でる音楽に興じる自由奔放なトマス。対極しているかのように見える彼らが、次第に打ち解け、互いを認め合い、やがては父と子のようにかけがえのない存在へとなっていく様は観る側を温かな気持ちにさせてくれた。そしてニューヨークのアパルトマンの屋上で二人が肩を抱きながら書くことの意味や物語の持つ力を語り、アメリカを一望するシーンではこの時代ならではのアメリカの影を見た気がする。
また、この作品は構成も秀逸だ。劇中にマックスがトマスの草稿に対し、ハイライトをより効果的にするには無駄なものを削げ、ブレずにシンプルであれと助言するのだが(細かな台詞などは違うが)、これはこの作品自体にも言えることだろう。稲妻のような初恋を表現するのに誇張した形容詞が要らないように、二人の物語を描く上で無駄な美化は要らない。だからこそああいったラストの展開になったのだと思う。トマスの死を変にドラマティックに演出することはせず、死後の描写を無駄に長引かせることもしない。茫々とトマスの死を傍観していたマックスが、二人で声を張り上げながら作品を推敲していたあの編集部のデスクの上で独り、彼が死の瀬戸際に書いた「もう一度君に会いたい」という手紙を読み、堰を切ったように大粒の涙を流す…ただこれだけだ。これだけのシーンで、彼らのすべてが描かれていた。
すぐに切り替わったエンドロールを眺めながら、私は泣いていた。
鮮明に残るのは病により突然倒れてしまったトマスの瞳のアップ。あの時あの瞬間、彼は何を思ったのだろう。誰を想ったのだろう。
この秀作にただ一つ難癖をつけるならば、何故原題であるGENIUSをそのままつけなかったのかという点だ。geniusには「天才」と共に「守り神」という意味がある。映画の内容から言ってもこちらの方が相応しいように思えてならない。劇中あれほどマックスがタイトルの重要性を語っていたのだからこそ、私は尚更に思う。
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