教授のおかしな妄想殺人のレビュー・感想・評価
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不合理な男?そんなタイトル誰が見る
最近見た人間ドラマを描いた作品の中では群を抜いて面白い映画だった。
殺人を題材にしてはいるが、男と女の出会いと、別れ、不義、不実、倫理観の違いを照らし出す傑作で、見終わった後では誰かに話したくて仕方のない一本になることだろう。
「この映画、どう思った?」それは、真に罪があるとしたなら、動機のない教授よりも、動機そのものになった直情型の女こそが、なにより許せない、罪深き存在なのだと、確かめずにはいられないからだ。
現に私がそうなのだから。
許せない女。
教授の気をひこうとして、ありとあらゆるアプローチを試みる女。
好奇心旺盛で、恋愛に対する自信もあり、興味のあるモノには首を突っ込まずにはいられない。
そうして、生きる気力をなくした皮肉屋の教授に魅かれ、彼の著作を読み、授業を取り、恥ずかしげもなく愛を告白もする。
そしてついには肉体的関係を結ぶ。
その時付き合っている本命の彼から別れを告げられ、ある仮説にたどり着くが、それを突き止めた途端に、自らの正義感に従って、通報すると言いだす。
無害の、いや、無益のとでも言おうか、文字通り「役に立たない」男を犯罪に巻き込み、動機を与え、殺人者に仕立てた挙句、突き放すのだ。
妄想癖の教授から見た、この罪深き学生は、こんな風に映る。少なくとも、セックスに関してあまりにも直情的で、だらしない。
こんな奔放な女を、エマ・ストーンは直感に従って見事に演じ、我々観客をエンディングまで一気に連れていく。
彼女が演じた役とは言え、現実にいたら、ちょっと許せないし、男として軽蔑せずにはいられない。
ホアキン・フェニックスはどう見ても犠牲者。
さえない大学教授に過ぎないのに、彼を危険人物に仕立て上げ、それが成立したとたんに奈落に突き落とす。
映画の冒頭に、わざわざアルファベット順に出演者のクレジットが並べられ、終演後には登場順にキャストが並べられる。
それを見て、ある仮説に至った。
監督であり、脚本も自分で書いたウディ・アレンは、可能な限り順撮りで、この撮影を終えたんだ。と。
こんな繊細で、上質のドラマを、俳優たちが役柄の変化を追って、その役になりきれるように。
そのほうが、結果的に、作品の質を高められるし、早く撮り終わるんだと、知っているかのように。
もちろん、事実がどうなのかは私には知りようがないし、知ったところで何も始まらない。
でも、そう思うことで、ウディ・アレンの映画人としてのこだわりを感じられて、作品に対する理解も深まるのだ。
たぶん、何気なく食事をしていた時に、隣のテーブルから聞こえてきたのっぴきならない話に、気を取られ、そこから着想を得るなどしたのだろう。たまたま隣に座っただけの、それでいて聞き流せないほどの重みをもつ社会悪、これを放置していいものか?逆に、そこから犯罪行為に走るとしたらどんな男だろう?動機は?なんて思いつきを、一本の映画にしてしまうのだ。
最後に、見始めた時には日本語吹き替えで、気楽に見終えるつもりだったのが、途中から字幕スーパーに切り替えて見終えました。
この教授が、若い学生から好奇心たっぷりにアプローチを受け、誘惑されほど魅力的には、とても見えなかったから。
せめてホアキンの、声、セリフも含めて、女性が惹かれるものがあるとしたらそれを逃すまいと。
彼の演技、そして魅力は疑いようもないが、気取って魅力的にふるまおうとするその声が、どうにも鼻についたから。
だからこの作品に限っては、字幕スーパーのほうが、絶対に出来がいいと言い切ります。
吹き替えを担当した三上哲さんには、申し訳ないとしか言いようがない。
それから、邦題に関しては絶妙のネーミングだと言っていいでしょう。
これ以上、いじりようがないし、興味をひく、それでいてウディ・アレンのテイストを実に見事に表現したタイトルでした。
味気のない、「不合理なおとこ」irrational manなんてタイトルだけは間違っても避けたいところ。だって、そんな作品誰も興味わかないでしょう。
ウディ・アレンのおかしな妄想と哲学
ウディ・アレン×ホアキン・フェニックス×エマ・ストーン!
2015年時、ホアキンとエマはまだオスカー俳優ではなかったが、それでも豪華なトリオ。
しかし、この3人を以てしても…。
大学の哲学教授のエイブは無気力な日々。死すら望んでいる。
ある日悪徳判事の話を聞き、妄想で殺害を計画した事から、生き甲斐を見出だしていく…。
どーゆー事…!?
妄想殺人計画で人生上向き…?
私だって心の中で“あ~コイツ死んでくれないかな”と思って憂さ晴らしくらいはするけどさ、それで人生上向きなんて意味分からん。
百歩譲って妄想までは分かるとしても、ましてや本当に実行…! ヤベー度ではジョーカーレベル…? しかもそれを罪とは思わず、人助け。
死すら望んでいた男が、妄想殺人をする事で生きる意味を見出だし、本当に実行してバレないと余裕ぶっこいてたが、バレそうになったら教え子まで殺害しようとするも、罰が当たって最後は…と、アレンらしい皮肉は効いているのかもしれないけど…。
唯一の救いはキュートなエマだけ。
でもエマ演じる教え子もおかしな殺人妄想教授に恋するも、殺人実行で倫理観を訴える役柄なのだろうが…、彼女のキャラもいまいち分からん。
何だかこんなにもイミフな作品は久しい。
アレンの作品の中でも難解とされる『インテリア』や『スターダスト・メモリー』の方が意味あった。
才人アレンも哲学や妄想に迷走した…?
シリアスになりすぎないジャズ効果
面白かった。(って言葉を使いづらいけど笑)
全体的にジャズの軽い音楽のおかげで、シリアスになりそうなシーンも「シリアスに見なくていいですよ〜」って誘導してもらってる感じで、重すぎない「とあるお話」みたいに見ることができた。ウディ・アレンの作品ってそういう感じだよな。
音楽の効果ってすごいなと、改めて感じる作品だった。
エイブ(ホアキン)の登場から、最後の最後まで
どういう展開になっていくか先が楽しみだったし、
テンポよくいろんなことが進んでいくから楽しく見れた。
ホアキンさん、なんかずっと見てるとやっぱり色気あるなと思ってくるんだよなあ。なーんか人を引きつける強いものがあるんだよなあ。
やる気がない無気力モードのホアキンも、
活力に満ちたエネルギッシュなホアキンも、
事件後のいつも通りな、いやむしろ生き生きとしたところも、
全部なんか「ホアキン感」「ホアキン色」になるというか。説明難しいな...ホアキンがやってるからホアキン色になるのは当然なんだけど
「今作ではふつーな人の役かな?」と思って見てたけど
やっぱ狂気的になっちゃうのねーー!ってなった笑。
狂気的で、精神的にもろさもある、そんな役。もしかしたら自死してしまうかも、みたいな。でも「これだ!」となったらそこにすんごいエネルギーを向けて突進する。
とにかくそういう、エネルギーが強くて狂気的な役が多い!笑
最近ホアキン祭をしてるから余計それを強く感じる。
ホアキンにそういう狂気的な役のオファーが来やすいのか、
それともホアキンがやるから狂気的になるのか。
どうなんだろうね。
ぜ〜〜んぶどこかにJOKERを感じる。笑
JOKERがいるのよ。
JOKERはそういう意味で本当に適任だったし、狂気的ホアキン・フェニックスの集大成のようにも感じる。
p.s.
エマ・ストーン、綺麗なお顔立ち。
ただ、怒ったエマストーンはパワーがすごいな笑
すっごい怒ってるエネルギーが強い人だな、と毎回感じる。
エマストーンは怒らせたくないな。
エマストーンには笑っててほしい。笑
現実は本質を凌駕する
「教授のおかしな妄想殺人」という邦題がつけられているが、原題は「Irrational man」直訳すると「不合理な男」だ。
主演のホアキン・フェニックスが哲学教授であることを考慮すると、この映画は「生の哲学」を扱ったものなのだろう。
察するにエイブは「生の哲学」そのものだ。理性によって定義できない「不合理さ」が彼を支配している。「智」を愛する哲学者でありながら、思考によって捉えることの出来ない「不合理な生」に翻弄される悲哀。
そんな彼に恋をするのがエマ・ストーン演じるジルだ。ジルは哲学史になぞらえるなら「実存主義」にあたる。本質よりも現実の存在を優位とする考え方だ。
そもそも哲学とは、人間にだけ許された「己の存在を考える」学問だ。学校で習わなくても、普段あまり内省的にならなくても、誰もが一度は考えることじゃなかろうか。
「自分は何のために生まれてきたのだろう」と。
仕事としてそんな命題に打ち込むうちに「不合理さ」に捕らわれ、生きる意味を感じられないエイブ。そんな彼に繊細さと純粋さを感じ、夢中になってしまうジルには共感できる。
難解なことを考えている悩める男は魅力的だ。少なくとも若い時は、同世代の男はなんだかガキっぽく物足りなく感じるし。
ジルは現実的だからこそエイブの浮世離れした魅力に傾倒し、エイブは現実の中に「生きる意味」を見出だせたからこそ活気を取り戻す。
そのすれ違いが何とも皮肉。
ストーリーの他にも、ホアキンの徹底した役作りは素晴らしい。生に懐疑的で希死願望のある役どころを、観るものを惹き付けるリアリズムで演じている。
対するエマも夢見る少女を魅力たっぷりに演じていて、24通りもの衣装を見事に着こなしている。そんなにパターンがあるのに、3回も着ている衣装(白のミニワンピ)があるのだが、あれはどんな意味があるのだろう?
ものすごく可愛らしくて、ふわふわした乙女チックな服だから、ウッディ・アレンが気に入ったのだろうか?
エンディングのマニッシュで大人びたなファッションと絡めると、「少女」らしさが一番出ていたから、なのかもしれない。
「生の哲学」が哲学という学問の中でどんな位置づけなのか?それを知るとなかなかに良くできたエンディングだ。
私はあまりウッディ・アレン推しじゃないが、テーマ的には楽しめた。
あまりにも邦題が内容とあってなさすぎて、ちょっと肩透かしなのが残念。
え?うーん…らしくない。
実行しちゃったんだ…
ウディさんらしくあくまで妄想でとどめると思ったのに。
だからか、ウディさんらしからぬ作品だと感じました。
コメディっぽいライトなお話を期待したのに残念。
エマさんの演技、おおげさ…だし
ホアキンさん、シリアス過ぎて画面重いよ
すいませんが、なにも残らない作品でした。
恐ろしい男女
エマストーン演じるジルの「私って普通の女だったわ」というセリフもこうしてまとめられると怖いなあと。活き活きと殺人計画を立てているときに色気が薄れて、自壊願望のある沈んでいるときになぜかモテまくるというのが面白い。ただ演出があまりにもこざっぱりしすぎていてシニカル。遊園地での鏡のシーンで歪んだ小人のように映るとき、「歪んだ鏡でもあなたは美しい」というところ、あれは2020年代はダメかもとおもうた。
ホアキンのビールっ腹はよかった。
【矛盾だらけの僕達】
ウッディ・アレンらしいシニカルさ。
皮肉たっぷりで、笑わせられる。
本来人々を苦悩から解放するはずの宗教が、人々を救済せず、独善で雁字搦めにしてる状況を鑑み発展した学問が、哲学だったはずだ。
ところが、哲学も、人々どころか、自分自身をも解放出来きず、それどころか、苦悩のどん底に突き落とすだけなのだ。
法治国家とは言うが、今も昔も、世の中には不正義が溢れている。
もし、単純に正義という価値観だけで、不正義に天誅を下せれば、正義の味方気分で、それは気持ちが良いかもしれないし、解放感が得られるかもしれない。
だが、そのモチベーションのきっかけが、ルーレットの当たりだったとしたら、悲しいではないか。
こんなものはシンクロニシティではない。
それに、そもそも哲学とシンクロニシティは対立するもののはずだ。
僕達の周りは矛盾だらけだ。
不正義もその一つかもしれないし、欺瞞や、自分自身を客観視出来ず、自己肯定を繰り返すことも実は矛盾の一つのように思う。
ジルが一人の人に決められないというのも、実は、単に自分勝手なだけだ。
正義が大事なんて言ったって、自分自身がモラルをないがしろにし、正義やルールを破っていたらしょうがない。
この映画、哲学も、独善の恋愛も、独善の正義もまとめて皮肉ってみせている。
皆、自分勝手で、実は世の中そのものがろくなもんじゃないのだ。
そして、エンディング。
僕は、これを観て天罰だと思ったであろう人達のことも、ウッディアレンは皮肉たっぷりに影で笑っていると思う。
「ほら、すぐ何かに原因を求めようとする」と、「これは、単なる偶然なのだ」と。
ウッディアレンは、僕達を救えるのは、宗教でも、哲学でも、そして正義感を振りかざすことでもなく、ごく当たり前のモラルやルールの下で熟慮できる僕達自身なのだと言いたいのではないか。
そんな風に思う。
じゃないとスパイラルは、いつまでも、いつまでも続くのだ…。
いや、もしかしたら、もう抜け出せないのかもしれない。
タイトルなし
何故、人生に絶望している哲学の大学教授に惹かれていくのかわからない。殺人の計画立て妄想していくうちに生きる意味を見出していく。ラストは祭で当てた実用的な懐中電灯に足を滑らせエレベーターから落ちて死ぬとは予想できなかった。
ウディアレン
なんだか軽快な音楽と独特の雰囲気、ウディアレン監督作品は自分に合ってるなぁと思う。
でも、色々都合よすぎるんだよな
エマストーン、推理完璧すぎる。あんなトントン推理できる?
そして彼氏と堂々と二股してたくせにちゃっかり戻る。
俺だったらおんな女嫌だわ。
犯罪も完全犯罪と言ったわりにほとんど関係ない人間を捕まえる警察。
どうにも話の筋道を立てることを優先したせいでそこに事象をはめ込んでる感じがちょっと萎える。
まあ、面白いは面白い。ジョーカーでホアキンフェニックスを知った人ほど、このお腹だるだるホアキンをぜひ見て欲しい
邦題に騙された…笑 妄想じゃなくてほんとに殺してるじゃん! 全体的...
邦題に騙された…笑
妄想じゃなくてほんとに殺してるじゃん!
全体的に登場人物の感情面が希薄。
教授と生徒が付き合ってるのに周りは誰も(親さえも)気にしてない。いいの?
リタとも寝てること知っても全然気にしない。いいの?
彼氏も教授の方が好きなら別にいいよってあっさりお別れと思ったらあっさり元さや。
とにかくみんなリアクション薄め。
けど最後まで見てみるとあえてあっさりさっぱり描くことでエイヴのネガティブからポジティブへのコントラストやクレイジーさが際立つようにも思える。
ウッディ・アレンにしては...
題材はウッディ・アレンっぽいが、ウィットに富んで皮肉めいた登場人物の会話はどこへ行ってしまったのだろう。
エマ・ストーン演じるジルが最後に自身も認めるようになんだかんだで普通で、教授も人物像として魅力に欠けていて残念だった。
特に、ご贔屓の監督ではないけれど、面白かったですよ。 ただ、これは...
特に、ご贔屓の監督ではないけれど、面白かったですよ。
ただ、これはもう“妄想”ではないよね(笑)。単なる“計画殺人”。
エマ・ストーンのキャラも、ホアキン演じる教授が言う様に、教授に恋してる自分に酔ってるだけだから、それ故、後半はウザさがパない。
リタも海外生活に憧れ、エイブに乗っかった(乗っかろうとした)だけだと言う…。
凄く希薄な人間関係だけど、実際には案外こんなもの。
ウディアレンはウディアレンだねー。 俺は何のために生きてるんだ的な...
ウディアレンはウディアレンだねー。
俺は何のために生きてるんだ的な鬱になったことある人は身につまされる。デスノート手に入れたら鬱も治るよね。
ホアキンフェニックスだけ別の映画みたいになっちゃってた。
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