スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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low&order svuのよう
結論から言えば、Blu-rayを待ってもよかったかなという感想。ケーブルテレビでオンエアしてる「low&order svu」のような作り、内容。正直な話、low~のほうがあの手の話をうまく見せてくれるし、中だるみせずに見られるなと思った。
スキャンダラスなネタを扱っているわりには、前編通してなんか「のんびり」して見える。いや、あくまでノンフィクションなんだからそこは仕方ないのかもしれない。でも、さんざん伏線として「教会にバレたらただじゃすまないぞ」と言い含めてきたのなら、せめて何か起きてくれよ(笑)。なにも起きないまま、「他の新聞社にすっぱぬかれないように慎重にやれよ」ってだけじゃ、観てる方としては、「特大スクープを物にした新聞社の物語」として見ていいのか、「首や身の危険を省みないジャーナリストの生きざま」として見た方がいいのか、はたまた両方なのか(それだと大分物語の軸が定まらない気がするが)分からず仕舞いだった。
ほかにもいろいろ突っ込みたい部分はあるが、そこはノンフィクションとして、目を背けよう。
最後に、記事を見た被害者から多数の電話がかかってきたという事実だけ、ほんとうにそれだけが救いになった。
地味ながらいい作品だった。
カトリック教会が隠蔽している、多数の神父による児童への性的虐待という醜聞を白日ものとに晒すために、ひたすら取材を重ねていきゴールにたどり着くはなし。ストーリーとしては大きな盛り上がりもなく地味ではあるものの、逆に無駄な演出もなく、記者たちの情熱が現れていてよくできた映画だった。
カトリック教会の組織的な側面や、地域社会とカトリック教会とのかかわりなどがハードルになっていたけれど、自分のようなカトリック教会とは何の縁もない立場でなく、実際のカトリックの信者などがこのスクープ記事によって受けた衝撃はどれほどのものだったか。
最後に同様の事件があったことが判明した地域の一覧が出てくるけれど、その量の多さが衝撃。ただ、その後のボストン・グローブ紙ではこの件について600本ほどの記事が掲載されたらしいものの、そのあたりは物語には描かれてなく、初報に対する思いがけない社会の反響があった、ところで終わってしまっていたのはちょと物足りなさを感じた。
知っておくべきカトリック教会に纏わる真実
アカデミー賞の受賞作であることや日経の映画評が高評価であることから期待の大きい作品でした。やはり観て良かった。最後まで緊張感が途切れない、タイトルロールなくエンドロールの一瞬にタイトルが現れるところが渋い作り。またラストシーン後に示される驚愕の事実、そしてエンドロール中に流れる「同様の経験をされた方はこちらまで連絡下さい」とのクレジットまで、恐るべき事実に驚きを隠せない。
文句なしの作品賞
もうこれは賞を取らせないという選択肢はない、という出来栄え。
というよりも、元ネタの社会的意義がとても高い。
神父による子供の性的虐待を 教会中枢が隠蔽し続けてきたという構造問題をボストン・グローブ紙が丹念な調査に基づいて長期連載した、その過程を描いている。
映画化にあたって派手な演出は控えられ、地道な調査と関係者の小さな勇気が重ねられていった様子が描かれているのが良い。
さて、なぜ、これまで、長きにわたる教会の構造的問題が表沙汰にならずにきたのか?
教会の規律の前時代性、被害者がメディアに出たがらない、関係者による告発の不調、情報をもらったジャーナリストの迂闊、どれも悪意によるものではない。
その根底には欧米人にとってカトリック教会というものの存在感がある。
日本人の感覚にたとえていうなら、いったい何に相当するのだろうか?あの信頼感はいったいなんなのか? 弱い者の立場にたつ機関であるということだろうか?
その感覚はわからない、別世界のものだなぁと感じずにはいられない。
ただ、わからないながらも、教会の暗部をあばくことに対するためらいは十二分に伝わってくる。
だからこそ、報道機関は書くべきなんだ、という”よそ者ユダヤ人”局長の台詞が主題そのものであった。
Spotlight (2015) Quotes
Marty Baron: Sometimes it's easy to forget that we spend most of our time stumbling around the dark. Suddenly, a light gets turned on and there's a fair share of blame to go around. I can't speak to what happened before I arrived, but all of you have done some very good reporting here. Reporting that I believe is going to have an immediate and considerable impact on our readers. For me, this kind of story is why we do this.
権力と闘うジャーナリズム
このとんでもない事件をあえて淡々と描く。
被害者の悲劇や加害者の糾弾より、権力と闘うジャーナリズムが焦点。
語り口があっさりのため一回では分かりづらいところも。ボストンの地政学的基礎知識も必要。
特にカトリック関係。日本人には想像もつかない価値観。
期待通り
満足出来る作品だった。
ストーリーは単調に進んでいったが、かえって一つ一つの台詞が入ってきたし、事件の深刻さ伝わってきたと思う。
キャストも皆素晴らしい演技で、特にマークラファロの演技には鬼気迫るもの感じた。
人間という生き物は面倒なことに向き合うと”誰かがやってくれる”と責任転嫁するものだ。
教会という組織は普通じゃ相手にしない相手かもしれないが、それに臆せず立ち向かって行く姿に、改めてそういった行為の未熟さを痛感させられた。
アカデミー作品賞受賞には納得だ。
見応えのある作品
なんだけど、日本人だからか、クリスチャンじゃないからか今一つ来るものがなかった。信者にとっては人生を狂わせるほどの事件なんだろうけど。スゴく期待していた作品だったけど残念。
途中あまり明らさまな協会側の妨害や、ライバル社の動きもなく、意外とアッサリな感じ。
また、もう少しそれぞれの記者の個々の描写があってもよかったと思った。
地味ながらも骨太な銘品
まず、ボストン・グローブの記者たちとボストンという街そのものの活気が本作の屋台骨になっていると思います。神父たちによる児童性虐待という重いテーマを掲げながらも、最初から最後まで躍動的なエネルギーがこの作品には溢れています。
想像するに、実際の記者たちの取材活動は、それこそ地味で心が蝕まれていくような道のりだったに違いありません。
この映画は、被害者たちの心情を描くでもなく、神父たちの罪を裁くでもなく、記者たちのガッツを賞賛するものでもありません。ハッピーエンドが待っているわけでもありません。
終盤にゆくにつれ、我々はなぜ目の前の問題から目を逸らし続けるのか、という問いかけがのしかかってきます。教会の問題を浮かび上がらせるだけでなく、記者たち自身がこの教会の暗部に背を向けてきたという、もう一つの事実が明らかにされます。
苦いドラマではありますが、その分深みが生まれていて良かったと思います。
とはいえ、記者たちの活躍は目を見張るものがあり、映画とはいえ彼らに畏敬の念を払いたくなります。
何度も事件の当事者の元へ足を運び、信頼関係を築きながら真実が解明されていく場面は、まさにジャーナリストの本領を見ているようでした。
今で言えば、パナマ文書問題が明るみに出たのも世界のジャーナリストのおかげなのかなとも思いました。
事件柄、たくさんの人物が複雑に登場してくるので、追うのが大変でしたが、徐々に増えていく被害者、加害者の数字がこの事件の深刻さを物語っていて、この辺の脚色は上手いな、と感じました。
記者たちを演じた俳優陣の熱演は見事でした。
昨年の「バードマン」と比べれば地味な印象の今作ですが、(MMFRが獲れなくて悔しいけど)オスカー作品賞も納得のいく、本当に骨太な作品でした。
実直な映画
地味な映画かもしれない。奇を衒わない演出で、ものすごく「普通」の映画と言ってもいい。だけど「普通」だからこそ響いてくることもある。「実直」だからこそ心動かされることもある。
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加害者が一番悪いし、それを意図的に隠蔽しようとした教会も勿論ものすごく悪い。
ただ、それ以外の人たちがみな清廉潔白かというとそうでもなく。
地域・コミュニティに波風たてたくない…そんな消極的理由で事件をスルーする地元民。アッパークラスになればなるほど失うものも大きいから慎重になる。告発する奴は空気よめないバカだ的な雰囲気。そんな長年の積み重ねが、事件の温床となる。私もその場に居たら、長いものに巻かれるだろう、そう思うと怖い。
記者たちが暴くのは加害者や権力だけではない。自ら属する共同体の弱点も暴かざるをえない。
そして事件が暴かれる何年も前から、新聞社には断片的な証拠は届いていた。大きな記事にすることもなくベタ記事だった。私は、意図があって隠蔽していたのだろう、教会か誰かに頼まれたのだろう、その悪徳記者は誰だ?と思いながら観ていたのだが…。
終盤明かされる結論はそうでは無かった。意図的な隠蔽というよりも、記者の「無関心」がきっとそうさせたのだ。自覚なく空気を読んでしまったのだ。普通の人の悪気のない行動。そのことへの深い自省、苦さが、ものすごく胸に響く映画だった。
「遠い海の向こうの怖い話」ではなく、私ら自身も知らずして陥っているかもしれない苦さ。その苦さを乗り越えるからこそ一条の光が射す。「権力に屈せず事件を暴いたジャーナリストはエラい」というだけではない映画だった。文章に纏めるとものすごく説教くさいが、映画は淡々と淡々とそのラストに至るので、素直に心動かされる。とても実直な映画だったと思う。
作品賞???
仮に枢機卿を一般の人に置き換えると、作品的価値が、かなり下がると思う。つまり、カトリック文化に興味のない者として、薄っぺらい内容であった。
単なる虐待事件のドキュメント映画にしか映りません。
信仰心の違いか?
それなりに難しくそれなりに震える
キリスト教にゆかりの深い国・地域に身をおく者ならば、深い感情が生まれるように感じた。自分は信仰は持たない身であるから、衝撃度は低かったと勝手に想像する。しかし、聖職者の児童虐待という衝撃は、信仰云々関係なく、ショッキングなもの。これを隠蔽しようとする理由や隠蔽可能な力学的なところはなかなか理解に苦しむ。それは信仰に大いに関係してしまうと思ってしまう。
それでも、社会の腐敗を追及しようとしたジャーナリズムと、戦い続ける被害者とその弁護士の思いもよく理解できる内容だった。
アカデミー賞作品賞というのは理解しかねるが、アメリカ人(のセレブ)が好きそうな内容だったと思う。まぁアカデミー賞もアメリカの賞レースだから外国人の自分などが文句を言ってもねぇー。
確かに衝撃のスクープだが、そんなことがあったことさえ分からなかったし、今も変わらずカトリックの組織が世の中にはびこっている現実に愕然としてしまう。
皆が知っていることに敢えてふみこむ
アメリカ国内では少数派であるカソリックが多数派を成すボストン。そこでは以前から神父による子どもたちへの性的虐待があった。しかし、司法もマスコミもそれに対して何ら行動を起こしてこなかった。
そこに大きな変化をもたらしたのが地元新聞ボストングローブに新しい編集局長としてきたバロン。
やはり硬直したものをかき回して変革を起こすのは「部外者」なのだなと。
しかしバロンがあのウルヴァリンの彼とは。あの映画とはまるで違って理知的で意志が強く人を動かす人物を好演してました。
いい役者です。
アカデミー賞作品賞も納得
カトリック教会の神父達による少年少女への性的虐待と言う一大スキャンダルを暴いた、ボストン・グローブ紙の記者たちの活躍を描いた作品。第88回アカデミー賞では作品賞、脚本賞を受賞した。
そうかぁ。この作品でそのシーンを見るまで、この話が9.11を挟んでの出来事だったということに気が付きませんでした。9.11の発生で、世の中は、そしてボストン・グローブ紙もテロとの戦い一色になってしまい、それまで積み上げてきた事が、一時棚上げになりそうになるんですよねぇ。あの雰囲気を考えれば、それも致し方無いのかもしれませんが、そのままボツになることがなくて、良かったです。
この作品に対する、カトリック教会の反応がなんとも・・・。一応、このボストン・グローブ紙による調査報道で「一連の過ちが明らかになって、罪を認めて責任を取ることが出来た」みたいなコメントをしているようですが、本音ではどうなんでしょうね?この作品でも描かれているように、もみ消そうとしていたくらいですからね・・・。
宗教に寛容というか鈍感な日本人には、分かり難いテーマの作品だったかと思いますが、それでも、心の拠り所になっている組織・施設・人物たちに寄る、これらの出来事は、非常にショッキングだし、スキャンダラス。それを、よくここまで描いたと思います。そう言う意味で、アカデミー賞作品賞も、なっとくかな。
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