リップヴァンウィンクルの花嫁のレビュー・感想・評価
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しあわせに包まれながら
この映画は不条理である。そして、不条理はその中に一遍の真理や真実があったりもする。
七海の父は言う。「(結婚で)しあわせになって欲しい」と。
そして七海は結婚した。「男性」とではなく「不条理」とだ。
そして最後に正体不明だった安室が涙を流しながら素っ裸になったことで誰もがこの「不条理」が「悪意」ではなく「やさしさ」で作られた事を知る。
つまり七海は「やさしさ」と結婚したのだ。と。
わからないまま押しきられる
安室が依頼されて黒木華に目をつけたのがどの段階からなのか?彼女のもともとの生活を破壊したのは彼ではないのか?
ストーリーは余白というか余韻が多くて
もやもやするけど黒木華やリリィの演技や映像で魅せられる。
退屈はしなかったけど、好き嫌いが別れそう。
真白が七海に[この涙があればいつでも死ねる]話した言葉が好きだったけど、
自分が死ぬと知っていたのが映像で分かってからは遺言だったんだと気づいた。
個人的には、健康体の彼女に、思いの強さとして表現して欲しかったけども。。
リリィ達と位牌を囲んで、裸で飲むシーンは、予想できなくてやるせなかった。
なにか、さらっと流れずに、心にひっかかる感じです。この感じは、忘れられない日々を過ごした誰もが持ってるデジャ・ビュに触れられてしまったからかな。
劇版がすごい of 2016
黒木華演じる皆川はとにかくあらゆる事象(仕事、結婚など)に対して受動的であり、匿名でSNSにホンネを吐き出す。誘われるがままに、結婚式の友人席には代理人を雇い、「旦那が浮気していますよ」と突然家に訪ねた男をおいそれと部屋にあげる、珈琲かお茶を淹れようとする。見ているこちらはイライラする。「なぜ自分で考えないんだ」「どうして何でもかんでも人の言いなりなんだ」物語が進み、それまで一切かからなかった劇中歌、メンデルスゾーンが流れてふと気づく、同族嫌悪だなと。
本当に劇中歌(劇版)の使い方が素晴らしかった!特に開始1時間程度だろうか、僕のイライラが最高潮に達していた時に初めてかかる劇版、ドローンによる不思議な浮遊感のある映像、黒木華の神がかった演技、万歳!生きててよかった!ありがとう岩井!最高だ!蒼井優を躍らせた時からお前のことが大好きだ!これだけで1,800円の価値があると思った。
皆川を離婚に追いやった張本人は安室なのか、クライアントは母なのか、なぜ皆川が真白のパートナーに選ばれたのか、なぜ真白は皆川を生かしたのか、分からないことだらけの映画ではあるが、満足感がすごい。わからないことは、パンフレットをじっくり自宅で読みながら、考えることにしよう。本当に幸せな映画だった。
-0.5は、やっぱり180分は長いよね、ということで。
3時間見せきる。
ストーリーテラー岩井俊二がその本領を発揮した。
とかく映像のセンスで語られることが多いと思われる岩井俊二だが、映像センスだけでは3時間はもたない。
「Love Letter」にしろ「スワロウテイル」にしろ「リリィ・シュシュのすべて」にしろ、そのストーリーテリングがものをいっている。
七海(黒木華)が鉄也(地曵豪)と出会って、結婚し、離婚するまでの物語の転がし方はあざやかというしかない。
翻弄される七海もかわいそうだが、ひと役かっている風の安室(綾野剛)がまたあやしげである。
そう、安室はあやしいのだ。七海が浮気しているかのような写真や動画を鉄也の母(原日出子)に送ったのは安室なのだ。
夫の浮気相手の彼氏(和田聰宏)ともつながっている。
この一件の解決を見ないまま、映画は終わってしまう。
安室が、里中真白(Cocco)の依頼を受けたのがいつだったのか。
これはもう想像するしかないのだが、七海は結婚式を憂鬱がっていた。それはSNSのブログで安室は知ることができる。
披露宴の代理出席を提案し、鉄也のことを調べ、、、いや、安室が真白の相手として七海を選んだのは、もっと前か。
そういえば、安室と七海が初めて会ったとき、安室はすぐに七海とわかった感じだった。
もしかすると、冒頭、七海と鉄也が初めて会うところも安室は見張ってた?そんなカメラワークにも思える。
このわからない、というのがなんともいい。いくらでも考えることができる。
そして、りりィである。
岩井俊二は、またひとつ傑作をものにした。
受身の主人公にいらつく
なんだよナナミ、いらっとする。
自称・夫の浮気相手の彼氏なんて、家に上げるか?バカすぎる。話聞くなら外で聞けよ。
なんでいつもいつも考えなしに愛想笑いして適当に肯定の返事を言わされる?受け身にも程があろうよ!!!バカか!バカなのか!?
ということで、こっこが出てくるまでずーーーーーーーーーっと、ナナミにイライラしました。
こういう人がとっても嫌いなんでね。
確かに姑はきつい人だけど、ナナミの自業自得も結構あるよね。って思いました。
こっこが出てきてからちょっとイライラは収まりました。
が、こっこがリップヴァンウィンクルとわかり、こっこに死ぬフラグがたって、オチがちょっと見えて、、、でした。
リップヴァンウィンクルの花嫁とは、こっこの花嫁だったってことなんですね。なるほどーと思いました。
こっこの演技がうまくてビックリしました。
泣いてる人が結構いましたが、私ははまれず。
アムロを紹介した友達って誰なんですかね?
アムロは最初からこっこの心中相手を探すためにナナミの結婚式代行出席を仕組み、姑から別れさせ屋として雇われ、全てを失ったナナミに月収100万のバイトを紹介したんでしょうかね。
りりぃと綾野剛の裸で泣くやつとか、わたしはただただドン引きですわ。
紀里谷和明と野田洋次郎がちょろっと出てきたのが、一番盛り上がりました。
黒木華の演技はよかったです。
AV女優×エキストラ派遣×教師
現代のリップヴァンウィンクルが見た三時間の夢。いや、その花嫁が見た数ヶ月の夢か。
監督インタビューを読んで納得したが、これを撮るのに少数精鋭でノーライト、八ヶ月の撮影期間と、撮りながらストーリーを考えてゆく手法を選んだのだと言う。最初の結婚の出会いの場面の隠し撮り、豪華な結婚式が二回、いや、三回。そして葬式が一回、引っ越しが一回。リアルな学校の教室の場面、ノートパソコンでのオンライン家庭教師、別々のホテルの一室での二つの重要なシーン、友人の自宅でのお鍋、新居での生活、にせのアルバム写真、結納、義母からなじられる夜の部屋、夫との携帯でのやりとり、夜のタクシー、お屋敷の掃除、真白との共同生活、毒をもつ海中生物、真白の秘密、ラストの真白の母の怒りと涙。そして新しい生活。
低予算作品とはいえ、準備や段取りが必要な場面ばかりだ。安室がどこまで仕組んだのか不明ではあるものの、我々は複数の安室的な力によって翻弄される七海と大して変わらないちっぽけな存在である。
長い。
けど、たっぷりと岩井俊二の世界を堪能できた。
初めは暗くなるばかりだったが、彼女の人生をなぞっていくうちに、惹かれていった。おそらく別れさせたのもコッコなのかな?綾野剛、悪いやつ。
黒木華はもちろん、コッコの存在感は凄い。何も知らなければ、誰だこの女優は?!とんでもないのご出てきた!!と思ったことだろう。歌だけではなく、演技でも人を魅了する人なのだと思った。
よかった
特に深い感動があるわけではないのに、あまり長く感じなかった。充実していたのだろう。
coccoが本名でAV活動をしていたことに驚いた。突然お母さんが服を脱ぎ始めたところもびっくりした。
黒木華さんがとても可愛らしく、特にホテルで宿泊しながら勤務しだす感じがたくましくてよかった。幸せになって欲しい。
よくわからない。後味悪かった。
3時間という長い映画だからか、前半と後半のつながりが、よくわからない。前半で、黒木さん演じる七海は、なぜ離婚させられなければならなかったのか。それを仕組んだのは誰なのか(新郎の母親か?)。よくわからない。七海にアルバイトを斡旋し、すべての黒幕のような安室は悪人なのか、何者なのかもよくわからない。
後半部分で、AV女優の真白と七海は同性愛者のように描かれ、真白が死んだ時、その遺骨の前でお母さんと安室が裸になり、酒を酌み交わし、泣きじゃくり、七海はそれを見て感動している様子。このラストのシーンは何なのか。私のような中高年のおじんには、イマジネーションを働かせてもよくわからない世界だ。
結局、監督は何を言いたかったのか?あまり突き詰めても仕方ない映画なのかも知れない。
しかし、主演の黒木さんといい、安室役の綾野君の演技は良かった。
長いけど観ていられる
最後に黒木華が大きな声で、ありがとうございます。と言うシーンが印象的でした。
役者さんが皆さん良かった。
悪意のある嘘も時に人を幸せに導くこともある。
すべて主人公が望んだ選択だと思いました。
泣ける、、
ある意味、凄まじく怖ろしくて哀しい物語を、切なくて愛らしくて希望すら感じさせるものに昇華させてるのが凄い。
前半は、主人公の数奇な運命にたじろぐサスペンスタッチともいえる展開。
うって変わって後半は、充ち満ちた愛情と哀感につつまれて涙、、、
登場人物は、この人しかいない!って感じの絶妙キャスティングかと。
音楽も効果音も素晴らしいし、映画館で観るべき一本。
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