リップヴァンウィンクルの花嫁のレビュー・感想・評価
全52件中、21~40件目を表示
些細な嘘から「普通」の日常が壊れていく。壊れた生活の果てに女は小さな幸せを見つける。
2時間59分と長い作品。途中で長いなと思う瞬間があり、終わって時間を見たらそういうことか、と納得。
七海の性格からくる物語の展開がなんとも情けなくもあり、苛立たちさを感じさせる場面あり。こういう女を見ると腹が立つ。それくらい描写が優れている。
七海と真白のキスシーン(ウェディングドレス姿)がとても綺麗でその辺は岩井俊二監督作品ならではといった感じ。
七海役の黒木華さんのメイド姿もコスプレ的な要素として可愛くて好き。
真白の母(りりィ)のシーンは圧巻。深い悲しみ、怒り、後悔、行き場の無い想いが「人前で裸になる」という行動を引き起こす。そこには激情がある。ただ、音楽とスローモーションで誤魔化されてしまった感も否めず、改めて芝居をもっと、もっとじっくり見てみたいと思った。
意外にブラックユーモア多くて面白い。
どんな作品か全然知らずに見に行きました。直前で3時間もあると分かり驚きです笑
もうやりたい放題感が出てましたね。代理出席とか結婚式の感じとか世の中への皮肉ぽい感じも出てて楽しめました。
個人的に一番好きなのは葬式に結婚式の代理家族が呼ばれて本物の家族やらなければならなくなるとこ。最後燃やすとこで気まずそうにしながらやり切るシーンあれば最高だったなー。もう一つ好きなのはやはり最後の母親とのシーン。お母さん裸になって、綾野剛裸になって、そこまで乗り切れてない黒木華の私も!?的な表情が最高でした!もう一つ3p頑張ったんだもいいね!3時間でしたが楽しかったですね、そしてなにせ美しい!
うさんくささが最高
大好きな岩井俊二監督作品。。。
やっぱりツボだった。。。
黒木華、Cocco、綾野剛、
主要人物はこの2人なんやけど
華ちゃんの透明感とCoocoの存在感と
綾野剛のうさんくささ(笑)がいい具合に不思議さを
演出していてストーリーに一気にひきこまれた。
内容は所々えぐくて精神的にくるものもあれど
岩井俊二の描くえぐさって嫌いじゃないんよなーなぜか。
弔いのシーンがすごかった。
りりィさん、名演技すぎ。
綾野剛の詐欺師感がめっちゃはまっていて
怪しいけど全く嫌いになれんかったw
Coccoのセリフすべてがぐっときた。
華ちゃんが歌うぼくたちの失敗が印象的。野田さんでとるし。
もうなんていうか大好きな作品でした。
さいごの猫のお面?みたいなやつかぶってるシーンが
なんとも劇的にかわゆかった。
踏み絵のような映画!!
黒木華は「ソロモンの偽証」の大人しい教師役と似たような役作りなのですんなり入り込む事が出来ました。3時間は長いですが、映画というよりはドラマスペシャルを前後編連続で観ているような感覚でした。主人公は何の問題意識も持たないため手配師に騙され続けている事に気付かず、何の成長もなく爽やかなラストシーンを迎えます。観客も良い映画だったね心が温まる素晴らしい繰り返し観たいと何だか見当違いの事を言う。いわゆる意識高い系の方々を識別するための踏み絵のような映画でした。
強く儚い。
フワフワと流されて、新婚なのに人から誤解されるような行動を次々と取る黒木華の役にドキドキ、イライラしましたが、そのフワフワのまま、目まぐるしく変化する環境の中で、常に同じでい続ける姿に、段々と引き込まれていきました。
その変化は、綾野剛演じる安室が仕組んだこと、だったんだけど、裸になって泣いてる姿と、廃棄予定の家具を持ってきたときの服装や話し方がそれまでと違っていたこと、きっと彼も、フワフワと流されながら芯のある姿に、何が感じ入るものがあり、心境の変化があったんじゃないかな、そうであって欲しいなと思いました。
家族を演じた人の再会、Coccoがベッドで言っていた、優しさを受け止めきれないからお金払うって話、要所要所に泣かされて、ジワジワと心の深くに沁み入るような映画でした。
人は儚くて、でも強い。
幸せは形じゃなくて、気持ちに宿るもの。
静かなメッセージを受け取れるかどうかで、評価の分かれる作品だと思います。
何を幸せって感じるかで何もかも変わってくる
久々の岩井俊二作品にワクワクし、物凄い朝早くから起きて初日の舞台挨拶後の回に鑑賞。
ユーロスペースが規模がそこまで大きくないのもありますが、満員+階段に座る人も多々。
通路側に座っていたので、異様にギュウギュウ感を感じながら映画を鑑賞。
最初は上映時間が180分という情報を見て、「180分て…3時間( ゚ ρ ゚ )」と心配でしたが、作品を通して2時間にも感じない位。
どこか現実離れしているのに現実感のある世界観。
劇中内で登場するLINEとTwitterの間みたいなサービスが妙にリアル。
「嗚呼、Twitterでこういうつぶやきしてる人いるなぁ」とか思いながら、ちょっと斜めに観ていたものの、どんどん引き込まれ。
綾野剛演じるの安室の胡散臭さと何気に何でも出来るマルチ具合は劇中で「俳優兼何でも屋」が妙に納得できるほどの絶妙ナイスな存在感。
安室のやっている事に腹立ったりするもののなんか憎めないし、正しくも感じたり、安室の波がとにかく凄い。
何でも屋でちょっと働きたくなったりする自分がいて、でも嫌で、でも魅力的に感じたりと、どのシーンを観ても感情が動く映画でした。
ちょいちょいクスクス笑いが散りばめられてて3時間あっという間だった!
取りあえず、観終わった後はCocco~!!!!!!!!て言いたくなる。
にしても上映館もっと多くていいと思いました。
世間知らずが知る世界。
ありがちな話から怒涛の如く転落の一途を辿る主人公のサバイバル
悲(喜)劇というのでこれはいいんだろうか。あっという間に離婚を
されてしまったヒロインはまさかそれが仕組まれていたとも知らず
に突然の変化に流されていく。世間知らずがいきなり放り込まれる
世界を取り仕切る綾野剛が絶品!後半は大笑い(だってあのシーン)
故りりィの姿が頭から離れない。Coccoが台頭してからはどんどん
浮世離れしていくのだが、常に流されつつ相手を恨まぬヒロインの
逞しさを優しく体現した黒木華はお見事。でもやっぱり長いなぁ(^^;
「クラムポン」「リップヴァンウィンクル」
映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」(岩井俊二監督)から。
タイトルに惹かれ観始めたが、180分という長さを感じず、
切ない気持ちが胸を占領して観賞を終えた。
ストーリーから外れてしまうが、ネットの話になると、
どうしても。実名で登録するFacebook以外の「SNS」で使われる、
ネームが気になって仕方がない。
たとえハンドルネームとはいえ、本人にとっては、
ずっと使っていくネットの世界での名前だからこそ、
何も意味がないわけがない、と推察する癖がついているから。
黒木華さん演じる、主人公は「クラムポン」。
木管楽器製作のフランス企業「ビュッフェ・クランポン」か、
氷や氷化した雪の上を歩く際に滑り止めとして靴底に装着する、
金属製の爪が付いた登山用具(アイゼン)の別称である。
なぜその名前を使ったのかは、ちょっとわからない。
また、タイトルになっている「リップ・ヴァン・ウィンクル」は、
Coccoさん演じる「里中真白」さんのハンドルネーム。
これは、アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングによる
短編小説、および主人公の名前なのたが・・・。
「主人公にとってはいくらも経っていないのに、
世間ではいつの間にか長い時が過ぎ去っていた」という例えから、
「アメリカ版浦島太郎」と呼ばれているらしい。
アメリカ英語では「時代遅れの人」「眠ってばかりいる人」を
意味する慣用句にもなっている「リップ・ヴァン・ウィンクル」。
これが、ストーリーにどう絡んでいるのか、実に興味深い。
う〜ん・・私には、まだその全容が見えてこない。(汗)
んー、長い。てか長く感じた!! 黒木華さんがえっあっあのそのとオド...
んー、長い。てか長く感じた!!
黒木華さんがえっあっあのそのとオドオドしてるのにイライラ。意思のない弱い世間知らずの主人公。
綾野剛さんがイイヤツなのか悪いヤツなのかハラハラ。上手ですね!!こういう人居そうだし、最後までどっちなんだと疑ってしまいました。でもそこでハラハラさせる必要はあったのだろうか。なんか綾野剛に騙される話かとおもってそっちに意識集中しちゃったらあんま本筋に関係なかった。ちょっと綾野剛を濃く描きすぎた??
全体的に雰囲気よく幻想的に仕上がっていて、黒木華さんの美しさ魅力たっぷりの映像にはなっているんですが、ストーリー的にはちょっとまとまりがなくて長くなりすぎな気が……。ドレスをきて家の中でパーティーするシーン、正直長くて次のシーンまだ?と思ってしまった。coccoに出会うまでが長い。無駄が多い気がする。
前半は世間知らずの主人公がはめられてどんどん落ちていく暗い話かと思いきや後半で全く違う雰囲気に。なんか違和感があるなー。
それとcoccoの死後の黒木華の心中描写が足りないかなーと思いました。なんか、家具選んでるシーンより全然そっちの方が大事じゃない?と思ったんですが……。
まあ長いぶん細かい所も描かれていてナチュラルではあるけどね。好みがあると思うけど、私はちょっと物足りなかったです。
180分と長い作品なんだけど……
騙されているのか、いないのか、先が見えなくて、見いっちゃった。胡散臭い、綾野剛が最後まで普通何でも屋の人だったのにもちょっと驚き!?何でも屋が、誰と繋がっているのかも見えてこなかった。ただ、七海(黒木華ちゃん)は、成長したな。
はじめは微妙
最初らへんは昼ドラみたいで嫌でした
coccoでてきたらへんから世界がくるくるるきらきらして台詞も綺麗で、 よかったです
この映画すきです
coccoがすごいハマリ役
演技してないんじゃないかって思っちゃうくらい
内容は
coccoが余命宣告をうけて一緒に死んでくれる相手がほしい→1000万で綾野剛に依頼→綾野剛が黒木華に目をつける→姑のせいにして黒木華の結婚生活をめちゃくちゃにする→行き場をなくした黒木華は綾野剛を頼る→coccoのもとへ送る→メイド
って内容です
はじめは綾野剛の狙いがわからなさすぎてなんだこの映画…?と思ってました
でも見終わると見て良かったと思いました
綾野剛も悪い人ではなくて、ただ単に依頼を遂行してる感じ
そして黒木華がかわいい!あのふわふわな髪たまらんです!私もあんな髪の毛になりたーい!!!*ଘ(੭*ˊᵕˋ)੭* ੈ✩‧₊˚
黒木華の「3P頑張った?」って台詞が笑っちゃいました。
イギリスの『浦』ちゃん?
岩井俊二監督の作品をガッツリ観たのは初めてである。テレビ露出の多い監督の割に映画での評価はどうなんだろうと思ったのでノーチェックだった。
で、結論から言うと、幻想的で哀しい、なかなかのファンタジーな作品だ。
主人公と強く結ばれる友人のハンドルネームが『リップバンウィンクル』。
現実と虚構がどこまで混じり合ってるのか、それを演出する重要な役目を綾野剛が演じている。狂言回しであり、しかし主人公をどんどん深淵に堕としていく様は非常に不気味で寒気すら感じる。ホラーファンタジーなのかもしれない。
ストーリーも、カメラワークも巧くまとまっていると感心している。黒木華の微妙な容姿がこの作品の緻密なキャスティングを突いていて秀逸である。
存在価値
冒頭一時間くらいは七海のダメっぷりの解説でしたが、そこから少しずつ再生していくお話。
ほんの少しずつの変化ではあるが、表情だったり声だったり、自分自身の存在価値を感じながら、自分を取り戻していく姿は好感が持てました。
自分がどれだけ必要とされるか、
大切と思う人に大切と思われるか、
映画の中では、薄っぺらい人間関係が多かったけれど、そういう関係性の中にも『大切』と思う瞬間があるものなんだと感じました。
長かったけれど、観て良かったと思えました。
ただ、綺麗な映像を意識しすぎたかなぁとは思いました。
母
所謂「良い」母親が一人も出てこない。
七海の母…子どもを捨て出奔。
鉄也の母…異常な過干渉。
真白の母…子に捨てられたのか、子を捨てたのか。
なりたい母親像がない。なりたい大人のモデルがいない。その世界で子どもはどうなるか。
七海は典型的な「成熟拒否」の少女だ。(社会人だが見た目も中身も少女だ。)
どんな大人になりたいのか何がしたいのか自分でもサッパリ分かっていない。
母に愛されなかったのではないか、必要とされなかったのではないか。その怖れに無意識に捕われている。世から必要とされてない代わりに七海も誰かを強烈に必要としていない、無くすのが怖いから誰の事も愛せない。
そんな七海は、安室の紹介する仕事にホイホイ乗る。必要とされることが嬉しい、役目を与えてくれることが嬉しい。だからついていってしまう。
真白と出会うことで、理屈とは関係なしに強烈に必要とされていることを知る。何者でもない自分を無条件で受け入れてくれることを知る。
そして七海も無条件で真白を欲する。今まで誰かを強烈に愛せなかった七海が、殻を破って一歩踏み出す。初めて真剣に一人の人間と向き合う。「愛されたい」「庇護されたい」とばかり願ってきた受け身の少女が、初めて主体となって誰かを愛する。「少女」からの脱出。
最後、七海は、真白の「母」と対峙する。真白の代わりに。そして自分の母と対峙する代わりに。
「母」から庇護してもらいだけの「少女」ではもうない。「母」を赦し受け入れ、自分も赦される。母親からの独立。ささやかな成長。
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心理学では、「成熟拒否」と母娘問題はセットで語られる事が多い。「成熟拒否」の少女の成長物語として、ものすごく理にかなった、筋の通った映画だなあと思った。安室は変種のカウンセラーだなあと。
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「理にかなった」映画だから良いと思ったわけではなく。
ビジュアル的にもストーリー的にも大島弓子さんの少女漫画のような世界だなあと(そういえば大島さんの漫画も「成熟拒否」と母親のモチーフが結構多いなあ)。大島さんの世界は、あのフワフワした線の絵だからこそ許されるのであって、その雰囲気を実写映画で成立させるのはなかなか難しい。それを成立させているのがやっぱり凄いなあと。若い頃は流行ものに対する反感でどうしても岩井俊二監督が好きになれなかったが、ここにきてそういうわだかまりも溶け素直に鑑賞できた。
よくよく自分が巻き込まれた状況を確認してくださいよ、君は被害者なんですから。
「リップヴァンウィンクル」のタイトルだけに、おとぎ話のようなフワフワ感がある。
・・・と、思ったら大間違いだよ、あなた。
なんで七海は、自分が騙されていることに気付かないの?
ラスト、自分は幸せ者だ、的な終わりでいいの?
君が頼りにしている安室は、詐欺師だよ?
しかも、君の人生を壊した張本人だってわかってる?
ああ、だめだ。
黒木華が好きなので、彼女のPVだと思えばあきらめがつくが、それにしても3時間は長い。
主演が彼女じゃなければ、途中退席してただろうな。
で、友達に聞かれたので映画のタイトルを言ったら、
「ユウサクが室田を脅した話の続きか?」と返ってきた。
まあ、世間ではいいとこそのくらいの認識だよ。
不思議な気分に包まれます
様々な事象と運命が重なり合って、
物理的にも精神的にも”居場所”を無くした主人公・七海が
少しずつ生きる意味や居場所を見つけていく物語。
最初の1時間は七海の受け身さにもどかしさといらだちが募りますが、それ以降の真白と出逢ってから亡くなるまでの展開はとても素晴らしかったです。
「友達が欲しい」という真白に”ずーっと一緒に”と言った七海。
ずっと一緒にいてくれる=死ぬまで一緒にいてくれる、と言ってくれた人と結婚式場で花嫁になれたこと。
それが真白にとって最高の幸せで、それによって人生を終わらす決意ができたのだと思いました。
そしてそれが彼女のトンネルの出口だったのだと。
最後、真白の母と会うシーンもとてもよかったですが、
安室まで裸になったのは笑いを通り越して個人的には醒めてしまいました(笑)
物語の最初と最後の七海の手の振り方や、
前後半での不登校の生徒とのやりとりの違いから、七海の成長・変化を感じることができて温かい気持ちになりました。
こういう部分の何気ない表現、
さすが岩井監督といったところでしょうか。
明けない夜はないし、止まない雨はない。
そんなようなことを伝えたかったのかなあと個人的には解釈しました。
観る人ごとで大きく感想が変わってくる善い作品だと思います。
ただ、やっぱり180分はちょっと長い。。。
伏線と回収、取捨選択。
伏線とその丁寧な回収を期待してみる映画ではないのはわかっているのだけれど、前半のイライラさせられる部分を耐えた割に後半特に主人公の成長を見られるわけでもなく、辛い。その見る辛さの表現力は役者の演技と共に良かったけど、それならなんらかのカタルシスがほしい。
また、雑に放り込まれる登場人物の多さと、薄っぺらさが居心地悪かった。バイト中に出会う同級生や通信で教えるこども、偽装親族になった家族、マネージャーやAV女優仲間。葬式屋。本当に必要でなさそうな役者が登場しては放つセリフのひとつひとつが薄っぺらく場を回すためのものにしか思えない。
最後の母親の所はセリフも含め悪くなかった。取捨選択というか力を入れる部分とそうじゃない部分の差が激しすぎるというか。
自転車で草むらを歩くシーンやウェディングドレスで水槽に囲まれベッドで寝転ぶシーンなど綺麗で印象的なシーンもおおいけど、そういう画を撮りたいからと無理やりな舞台転換をすることも居心地が悪い。
ファンタジーに突っ込むのもあれだけど、非常勤も公務員だからアルバイトはできないし(私立の派遣みたいな形なのか?それならそれで特殊すぎる気が)、もっと設定にリアリティ持たせて欲しかった。
ファンタジーを無理やり押し込すぎたかな
『この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ』
岩井俊二ワールドなのか・・・正直よくわからない。ただ世間の評価はかなり高くて、みんながいい感性しているのか僕と感覚が違うのか。
SNSで知り合った男女がまるでネットショップのような安易さで交際しそして結婚に至る。ネットでの出会いは男女が出会うツールとしては特別なものではない。凡庸ではあるがイライラするくらい不器用な、黒木華演ずる七海はSNSの中に自分の本音を閉じ込めている。SNSでの自分と、リアルな世界での自分にどれだけの乖離があるのか・・・たぶん実はそんな表裏はなく、そこには同じ自分が同じ息を吸っているんだと思う。それがSNSのダイナミズムなんだろうな。
この映画は、綾野剛演ずる「アムロ」に象徴されていた。結婚披露宴出席者代行業、別れさせ屋、友達代行業・・・イージーでお手軽で、まるでワンクリックのような安易さで人生まで買えてしまう。そして後腐れのない人と人との距離感や関係性の薄っぺらさを自覚しつつも、そこでもがき苦しみながら自分の居場所を探し求めている人たちに、そのツールをひょうひょうと宅配便的な手軽さで提供していく。そして現代社会に生きる人たちの細い細い繋がりを補強していくのだ。Cocco演ずるAV女優、真白は「お金すら買うんだよ」といってファンタジーのようなシチュエーションの中で自死する。アムロが七海を連れ添って荼毘に付された真白の遺骨を母親に届けるが、はじめ投げやりに死んだ娘をののしる母親だが酔いにつれて少しでも娘の気持ちを理解しようと裸になって死んだ娘を共有し寄り添おうとし、それに感銘したアムロが裸になって一緒に泣きむせぶ。ただアムロの演出は少々くさかったが、まぁ監督の意図は伝わった。
映像美や挿入される音楽はすごく快かったし映画としては3時間の長編なのだが退屈せずに観ることができた。ただ、岩井俊二のファンタジーなイメージの枠に無理やり押し込めようとした感が否めない。期待していただけにちょっぴり残念な映画でした。
何もなかったように
うまく言葉に出来ず2週間たってしまいました。
・・・人は無くしたものを、胸に美しく刻めるから、いつも、いつも、何もなかったように明日を迎える・・・劇中歌「何もなかったように」を聴くと映画を思い出して泣けてきます。それは決して悲しい涙ではなくあたたかく幸せな涙です。
この歌詞のように、七海も明日からまた、これまで起きたことすべてを胸に抱いて、前よりも少し元気になって生きて行くのでしょうね。
映画の冒頭、ポストでの待ち合わせの時に小さく手を上げ声を出すことも出来なかった七海と、最後に明るく手を振り大きな声でありがとうございましたと言う七海との対比が印象的で観終わった後優しい余韻がずっと心に残りました。
3時間があっという間で観終わったあとすぐにもう一度観たいと思いました。映像もすごく綺麗でずっと観ていられます。
黒木華さん綾野剛さんCoccoさんもこれ以外考えられないぐらいのはまり役で素晴らしかったです。
特に綾野剛さんの何でも屋の七変化振りがなんとも楽しく、胡散臭さ満載で酷い人なのに、困った時にはすぐに駆けつけてくれる頼りになるヒーローのようでもあり、くすっと笑えて飽きませんでした。
岩井監督が途中からあてがきしたと言うだけあって彼にしか出来ない役だと思います。
無駄が多いんじゃない?
個人の感想です。
真白とクライマックスに向かっていく過程、
ドレス姿で洋館で食事をするシーンは素敵でした。
クラシックの使われ方もよかったです。
しかし、この物語において序盤の結婚式のシーンや両親とのやり取りは必要なのでしょうか。
新郎新婦の不協和音がこれでもかというほどに描かれ、それはそれでキャラクター性を伝えるには必要かもしれませんが、役者をふんだんに使うほどのことか?と。
あそこでボリュームをもたせすぎていることで、
真白との出会い以降とのバランスがいびつで、
視聴者が混乱してしまうのではないでしょうか。
安室や真白がいつから関与していたのか、
それは最後まで語られぬ謎部分ですが、
セリフ等から最初から仕組まれていたように想像できます。
そうだとしても、元夫や自分の家族との関与シーンが長い!
真白と出会って以降、
話は少しのミステリーを以ってドラマチックに展開していき、
楽しめるようになります。
しかし、クライマックスの真白の母との飲酒シーンの白々しさは受け取れない…
全員で泣き笑いしながら酒を飲む、それを演出で綺麗なものに仕立て上げてますが
あのシーンは主人公にそんなに意味を与えうるものでしょうか。
ナナミというひたすら主体性のない女が、安室(悪)に助けを求めながら、ひたすら周りに流されていく。その過程で出会った真白という女性との愛を機に自分を解放することに成功し、1人で希望をもち生きていく本作。
小さな嘘を繰り返し、同調しかできずに本音は全てWEBで語るのみな主人公にフラストレーションが溜まるだけ溜まってカタルシスはうすい。
本作を観て涙が止まらなかった〜とか言ってる人の、なきポイントがどこなのかを説明されてみたい。
全52件中、21~40件目を表示