「主体性のない女性が、ひとりで歩きだすまで」リップヴァンウィンクルの花嫁 hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)
主体性のない女性が、ひとりで歩きだすまで
誰が見てもそう思うだろうが、黒木華がとても可愛い。
まるで黒木華のPVのようなスローの映像と淡い光。
岩井俊二の映画の中の女の子たちは、いつも本当に可愛く魅力的に映る。
それはそれで映画として大きな魅力だけど、そのせいで映画のテーマのようなものが見えづらくなっているようにも思う。
黒木華演じる七海はあまりにも主体性がない。
好きなのかもよく分からない男と、なんとなく結婚する。
どう考えても危ないのに、怪しい男がいるホテルの部屋に入る。
綾野剛演じる安室に言われるまま、謎の仕事に足を踏み入れる。
「いやいやこんな女、世の中生きていけないでしょ」と思っていたが、25歳ぐらいならこんな人もいるかもしれない。
そして実際、次々と酷い目や危険な目に遭う。
その中で様々な出会いと別れを経験し、いっぱい泣き、笑い、彼女は少しだけ強くなり、ひとりで歩きだす。
…とまとめるとありがちだが、場面場面を切り取ると、絵面はかなりエキセントリックだ。
特に、Cocco演じる真白の実家でのシーン。
私は正直、あまりの展開に笑いを圧し殺していたが、隣の男性は泣いてるようだった。
人により全然違う感情の動きが起きるのは、とても健全で良い映画だと思う。
綾野剛の世渡り上手っぷり、表面的なにこやかさと内面の冷たさは印象的だった。ビジネスですんごい困った時にとりあえず「あーなるほど〜」って言う人、いるいるw
あと、数日前に同じ劇場でリリィ・シュシュのすべてを見て、私の中でリリィ・シュシュはCoccoのイメージだったので、同じ監督が彼女を起用したのは勝手に納得感があった。
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